【コラム】 |
話題の10円メール端末ゲット |
NTT DoCoMoのメール端末、PocketBoard。実売価格は9,800円程度。スケルトンモデルも発売されている。CM効果か、かなり売れているらしく在庫のない店が多い。液晶の文字表示は全角25文字×7行。電源はアルカリ単4電池2本を使用、連続動作時間は非通信時で約23時間 |
PocketBoardは半年くらい前に発売されたガジェットで、NTT DoCoMoのデジタル携帯電話専用の電子メール端末である。つまりDoCoMoの携帯を持ってる人しか使えないメール端末なのだ。さらに1回たったの10円でメールを送受信できるシステムこと10円メール専用の端末ということで、マスターネットというプロバイダーに加入していないと使えないのでもあった。
コレが登場した当初、スゲエよあんなちっこいメール端末が出ちゃったよ、と思うと同時に、セコイよアレってDoCoMoの携帯持っててしかもマスターネットに入んなきゃ使えねえときた、と半分羨望・半分侮蔑の見解を示した俺であった。で、その時の結論としては、あんな規制ばかり(というか使用条件が細かい)メール端末なんか要らないもんねー俺はフレキシブルに電子メールできるサブノートとかザウルスとかでやるもんねーとか、ケッ10円メールがなんぼのもんじゃい(だから1回10円だよ>俺)とか、あんなモンはガキのおもちゃでしょとか、悪びれつつPocketBoardを買わずにいた。
が、最近の本連載を読んでいただいている読者の方なら既にご存じのとおり、最近の俺はにわか携帯電話マニアであり、携帯電話に関わるデバイスに手を出さずには居られないのであった。というハコビで、半分嬉々として半分渋々、PocketBoardを購入した。
コレだけでメールが読めるというのはかなり強力。機能が少ないので、使い方も簡単 |
便利な点その1。携帯性。重さ約235gのPocketBoardとDoCoMoのデジタル携帯電話さえ持ち歩けば、いつでもどこでもサクッとメールの送受信ができること。俺がメインに使っているモバイルメール端末のパワーザウルスよりずっと軽量・コンパクトだ。というのは、ザウルスの場合は、まずPocketBoardより重いし、携帯電話とザウルスを接続するケーブルが必要になる。しかしPocketBoardは接続ケーブルを内蔵(というか収納)しているので、PocketBoardと携帯電話だけで完結する。これがいい。持ち物的に軽快だと気分が軽くなる。ちなみにPocketBoardの本体サイズは、166.5×85×23mm(幅×奥行き×高さ)。パワーザウルスとほぼ同じサイズである。
便利な点その2。操作性。単一目的、単一プロバイダー、単一通信手段のためのハードウェアなので、家電的にワンタッチで使える。メールの送信も受信も、ほぼワンタッチ。使い始めの一番最初の設定さえ済んでしまえば、あとは何も考えずにボタンをポポンと押すだけで、新たなメールを読み出せるし、送れる。携帯電話との接続も、PocketBoard本体に収まっているケーブルを引き出してカチッとつなぐだけ。それまで俺が知っている中では最も楽勝感の高いメール端末である。
便利な点その3。機器として。まずは前述した“接続ケーブルが本体に収まっていること”である。この点は「ほほう、なるほど」程度にしか思われない小さなアイデアに見えがちだが、使ってみると非常に大きな魅力になる。スコッと収まるケーブル(もちろんDoCoMo端末専用コネクタ付き)は、精神衛生上すっげー好ましいうえ、バッグの中をとてもスッキリさせてくれている。それから、比較的マトモなキーボードがあること。サブノート慣れしたユーザーからすればオモチャみたいなヘボさ(失礼>DoCoMo)だが、それでもメールを書くには十分実用的だ。メール入力時の漢字変換性能は、Windows慣れしたユーザーからすれば3世代前のワープロ専用機未満の賢さしか持たないが(失礼>DoCoMo)、ふつーのメール文章作成にはそれほど支障がない。まあ、読むのに30秒以上かかるような長文メールを、やや難しい漢字を交えつつ書いたりすると疲れるわけだが、それでも出先でのメール処理をサクッとこなせる実力は保たれているのは評価できる。
単刀直入かつひらたく、このPocketBoardの総評を言えば、それは“いつでもどこでも誰でも簡単にインターネットメールできるモノ”ということ。決して高度な機能はないのだが、サブノートコンピュータなどの高価な機器がなくても、コレと携帯電話だけでモバイルメールできるというのは偉い。例えば友達とメール交換して遊んだりする向きにはうってつけの端末になるし、あるはビジネスマンが出先でメールをチェックしたり簡単な返事を書いたりするのにも使える。考えようによっては、下手なサブノートよりもずっと柔軟性のある端末かもしれない。
『コニーちゃんのPocketBoard』という名の通り、起動時と終了時にはコニーちゃんが出てくるほか、ご覧の「ジャカジャカじゃんけん」ゲームも入っている。ゲームといっても、本当にじゃんけんするだけ。勝つとコニーちゃんが成長するとか変身するとかいうことはない |
この“10円メール端末になり得る装置”とは、今回紹介したPocketBoardであり、DoCoMoのモバイルZであり、10円メール用ソフトをインストールしたパワーザウルスでありサブノートパソコンなどだ。そして“携帯電話”は、9,600bpsデータ通信に対応したDoCoMoのデジタル携帯電話であり、他キャリアのケータイではダメ。DoCoMoだけのサービスだ。それから10円メールを使えるインターネットサービスプロバイダーはマスターネットだけということになる。既に多用するメールアドレスを持っているユーザーは、何らかの手段(foward等)を使って、マスターネットのアカウントにメールを転送するのが手っ取り早い。
10円メールはその名のとおり、1回のメールの送信または受信が10円コッキリでできる。そのシクミは、まず携帯電話からマスターネットへの通話料が無料であること。課金されるのは、マスターネットへの接続料のみである。マスターネットは10円メールで入会を申し込むと自動的に、完全従量制(基本料金等はナシ)の「エレメンタリー会員」となる。接続時間が長ければ長いほど料金がかさむのだが、10円メール利用時には一定の時間しか接続されないシクミになっている。具体的には1回の接続は12秒まで。これじゃあ大した量のメールが送受信できないのでは、と思いがちだが、そうでもなくて、9,600bpsなら12秒で2KB程度(日本語で1,000文字程度)のメールを送受信できる。というわけで、1回10円。
アレレレ、ちょっと待ってよ、2KBよりデカいメールはどうなるの? 2KBくらいのメールが複数来てたらどうなるの? という疑問が残る。例えば3KBなど比較的デカいメールが複数来ていたときに、10円メールでメール読み出しを行った場合、メールの先頭の一部だけ(もしくはタイトルや発信者だけ)が受信され、続きのメッセージがある旨が知らされる。そんな場合は、1回のアクセス時間の制限をなくす“全メールモード”で受信すればいい。このモードで受信すると、料金は10円を超えてかかるが、メールの頭からお尻まで全部受信することができるというわけだ。ちなみに俺の場合、俺に来るすべてのメールをマスターネットにも転送しているので、まあだいたい10円メールでは受信しきれない場合が多い。なので最近では常に全メールモードで受信している。なお、1,000行を超えるようなメールは10円メール端末では書かない(というか書くとかなり疲労する)ので、送信は10円メールモードだけでOKなのであった。
それから、10円メールはMIMEエンコード対応でもある。また、PocketBoardは受信したメールをそのまま転送することもできる。が、俺に届くMIMEメールはたいてい数十~数百KBのMIMEデータ(画像とかですな)がくっついているので、PocketBoardに受信しきれないのであった。というのは、PocketBoardのユーザーメモリは64KB。あんまりでっかいメールは端末からハミ出ちゃうのだ。
10円メールの基本的なナニはこんな感じ。ふつーにテキストな感じのインターネットメールしている人にとっては、DoCoMoのCMにあるように、ホントに安くて便利でカンタンなシステムだと思う。
それはpoboxというメールアカウントサービスのお陰である。poboxについての詳しい内容は、poboxのサイト( http://www.pobox.com/ )を読んでもらうとして、概要はこんな感じ。
poboxにお金を払うと、メールアカウントがもらえる。が、そのアカウントはいわゆるメールサーバへアクセスするためのアカウントではなく、メールアドレスとメール転送のシステム使用のためのアカウント。要するに、poboxのユーザーは、“ユーザー名@pobox.com”というメールアドレスと、そのアドレス宛に来たメールを転送(foward)する機能を使わせてもらえるというわけだ。
なんでこのよーなサービスがあるかと言うと、ひとつのメールアドレスを長期間使い続けたい人のため。例えば、通常は使うプロバイダーを変えたり、プロバイダーがなくなっちゃったり、プロバイダーから追い出されちゃった場合、そのプロバイダーがプロバイドしてくれていたメールアドレスもなくなってしまう。別のプロバイダーを使い始めると、メールアドレスが変わっちまうということだ。
が、poboxのようなサービスを使っていれば、メールアドレスは“ユーザー名@pobox.com”のまま。poboxからの転送先アドレスを変更するだけでいい。poboxを利用し続ける限り、生涯同一のメールアドレスでいられるのである。名刺に刷ったメールアドレスに斜線して新たなメールアドレスを書く必要も、激安&高速なプロバイダーを見つけて乗り換えたがために新アドレスを告知しまくる必要もない。ついでにpoboxはWebページ上でメールの転送設定ができるので、telnetしてシェルに入ってスクリプトする必要すらない。
てなわけで俺の場合、現在ではpoboxを使ってメールアドレスを一本化し、3つあるメールアドレスにメールを転送している。3つのメールアドレスとは、10円メール(マスターネット)、J-PHONE(携帯電話端末)、それから常用のサービスプロバイダーである。
ちなみに、なんでそんなにいっぱい同じ内容のメールを転送しているのかというと、まずメールが届いた瞬間音で知らせてくれ(て200文字くらいなら表示してくれ)るJ-PHONEで、メール着信を知る。これはほとんど専用線メール野郎の感覚で、相手がメールを出したとほぼ同時(か時々は数分~数十分後)にメールを受けられるので便利なのだ。でもJ-PHONEではたいていはメールの全文までは読めないので、着信を知ってからすぐにPocketBoardで受信。これで全文が読める。なので、外出中にメールが着信しても、速攻で読んで返事が出せるのだ(けどそんなにいつもは返信してませんが……)。また、家にいる時も、J-PHONEがメールの着信を知らせてくれるので、速攻でデスクトップのコンピュータでメールに反応することができる。
この3本立てメール受信方法により、俺はホントに速攻でメールを受信する人となっている。こないだは、メールが来て1分しないうちに返事を書いて送ったら、相手が専用線の人だったので、「齋藤さんもしかしたら最近専用線引きましたぁ? 引いたでしょ~。さっき出したメールの返事がもう来たってトコが怪しいなぁ」とか(電話で)言われたほどである。
ともかく、10円メールを使ってみる気があって、主にメールだけ使えればいいやと考えているモバイラーの人は、ぜひPocketBoardを使ってみていただきたい。けっこうイイですから。
最初は10円メールなんかと疑っていたにも関わらず、今では10円メールでしょ10円メールとか言いまくる人になってしまった俺。もちろんPocketBoardは必要不可欠な情報ガジェットに……なっているはずなのだが、実はPocketBoardばかり使っているわけではなかったのであった。何を隠そう俺は、いつか書いていたJ-PHONEのDP-212(パイオニアのでっかい液晶がついた端末なんダ!!)を手に入れると同時に、NTT DoCoMoの知る人ぞ知る端末であるPeterpan(電子手帳内蔵型10円メール端末的デジタル携帯電話だゾ!!)を使い始め、なんつーかマニアックな携帯電話端末ばっかり持ってる通信野郎になったからである。DP-212やPeterpanの話はまた今度ってことでひとつ。
□NTT DoCoMoホームページ
http://www.nttdocomo.co.jp/
□PocketBoard製品情報
http://www.nttdocomo.co.jp/mobile/lineup/poke/index.html
□10円メールサービス情報
http://www.nttdocomo.co.jp/products/10mail/index.html
□マスターネットのホームページ
http://mas01.masternet.or.jp/index.html
[Text by スタパ齋藤]