【イベント】

WINDOWS WORLD Expo/Tokyo 98 レポート デジカメ編

ボーナスシーズンにあわせ、各社新製品を展示

WINDOWS WORLD Expo/Tokyo 98 開催地:幕張メッセ
会期:7月1日~4日

 毎年恒例となったWindows World Expoが幕張メッセで開催された。ちょうど夏のボーナスシーズンということもあって、デジタルカメラ系メーカーは、この夏の商戦でメインとなるニューモデルを一堂に展示。まだ、店頭に並んでいないモデルもあり、デジタルカメラの購入を考えている人には必見のイベントとなった。

 とはいっても、今回のイベントで発表されたモデルや参考出品のみのモデルはなく、いずれもすでにプレス発表されているモデルばかりなのは、ちょっと寂しいところ。その意味ではやや盛り上がりに欠ける。次の新製品ラッシュは秋のイベントになりそうだ。




●東芝
Allegretto 5 & M1  久々にAllegrettoの新シリーズを発表した東芝。モバイル性重視のモデルという意味では、同社のノートPCの流れに沿ったものに仕上がっている。

 ブースには撮像素子にCMOSを採用し、液晶には話題の反射式カラー液晶を採用した35万画素(640×480ピクセル)モデル「Allegretto 5」と、手頃な価格の150万画素(1,280×1,02ピクセル)モデル「Allegretto M1」が並べられており、手にとって実写できるようになっていた。

 人気の中心は高画素でオーソドックスな「Allegretto M1」のほうで、さまざまな新機軸を打ち出している「Allegretto 5」は人気薄だった。やはりユーザーの関心はすでに高画素クラスに移行しているようだ。


Allegretto 5 表 Allegretto 5 裏

 「Allegretto 5」は話題の反射式液晶搭載機だが、さすがに会場内は暗いので、印象は今ひとつという感じ。もっとも、光学ファインダがあるので、実際にはさほど困ることはない。また、CMOSは初代モデルよりもかなり性能が向上しており、CCDモデルと比較してもさほど遜色ないレベルまで向上していたのには感心してしまった。


Allegretto M1 表 Allegretto M1 表

 一方の「Allegretto M1」は、後ろ姿からすると富士フイルムの150万画素低価格モデル「FinePix500」をベースに外観を変更したモデルと思われる。だが、どうみても、こちらの方が本家よりもスタイリッシュ。しかも、最初から8MBカードが付属しているので、なかなかお買い得。ブースで手にした感じもなかなかよく、この夏の大穴モデルになるかも……。



□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/



●ソニー
MVC-FD71  ソニーはフロッピー記録式のデジタルマビカシリーズの新シリーズ「MVC-FD71」を出品。恒例となった記念写真デモ(その場で撮影し、そのフロッピーをプレゼントしてくれる)を展開。もともと、コンセプトが分かりやすいモデルであり、しかも、今回のモデルは先代の欠点のほとんどが解消されていることもあって、会場での人気も上々だった。

 機能面では、透過式液晶モニタながらもバックライト部に外光を取り込める「ソーラタイプTFT」液晶がユニーク。会場内でも明るい場所なら、バックライトを消しても画像を確認できるレベルの性能を備えており、ブースでの説明では日中屋外ならバックライトなしでも使えるレベルで、液晶の見難さはないという。そのため、消費電力やスペース効率の点を除けば、反射式液晶の対抗馬になりうるものとして注目される。

 また、MVC-FD71は2倍速フロッピードライブの採用で、記録時間が約4秒と短くなっており、この点も見逃せない。

 また、同ブースではハイエイトビデオの技術をベースに開発された簡易アナログビデオカメラ「Ruvi(ルビー)」も出品されていた。これは、デジタルではなく、アナログビデオがベースであり、それをアナログ式のビデオキャプチャカードでPCに取り込む方式。

 ブースでの来場者の質問を聞いていると、大半の人がDV(デジタルビデオ)と勘違いしているようだった。また、テープも内蔵式(30分)で、それ以上の記録をするには、上書きするか、ヘッドとテープ一体型のユニットをサービスセンターで補修部品扱い(1万円前後)で交換するか、分けて貰うしかない点も気になる。

 電源は単三型2本でもOKという省エネモデルで、液晶は消費電力の関係で反射式カラー液晶を採用しているが、光学式ファインダも液晶ビューファインダもないので、屋内での撮影はフレーミングに一苦労しそう。また、レンズは手動式の3倍ズームで、ピントも固定焦点式(マクロモードあり)という割り切ったもの。面白いが、どのような用途に使うのか、今ひとつはっきりしない。

Ruvi Ruvi Ruvi


□ソニーの出展情報
http://www.sony.co.jp/soj/EventInfo/WinExpo/index.html



●富士フイルム
富士フイルムブース  FinePix700が人気の富士フイルムは、今回、低価格150万画素モデル「FinePix500」と、35万画素の普及機「CLIP-IT50」がメイン。ブース前面ではモデルを使っての撮影イベントもあり、なかなか楽しめるものとなっている。

 また、昨年春に高画素化の先駆けとなった業務用モデル「DS-300」の改良機「DS-330」なども展示されている。このほか、面白いものでは「FinePix700」の水中ハウジングの姿もあった。もっともこれは試作のみで製品化の予定はないという。

 また、同ブースでは普通のビデオカメラから簡単にMPEGデータを作成できるビデオキャプチャ機器である「ビデオ スフィンクス プロ」(69,800円/富士フイルム アクシア扱い)のデモも行なわれていた。操作も簡単で、画質もなかなか良好だった。


FinePix500 CLIP-IT50 DS-330
FinePix500 CLIP-IT50 DS-330
FinePix700用水中ハウジング ビデオス スフィンクス プロ
FinePix700用
水中ハウジング
ビデオ スフィンクス プロ

□富士フイルムの出展情報
http://www.fujifilm.co.jp/salon/ww98.html



●ニコン
NP-100  ニコンはCOOLPIX900や同600と、今回初公開の306dpiでオーバーコート対応のA6版昇華型プリンタ「NP-100」との組み合わせによる撮影デモが中心。

 この「NP-100」は、PCカードからダイレクトにプリントできるもので、解像度の高さも注目されるが、それ以上にパーソナル機では数少ないオーバーコート方式のプリントができる点でも注目される。このオーバーコートというのは、CMYの3色のインクリボンによりプリントしたあとに、保護層をさらに追加するもので、従来タイプよりも保存性が遥かに向上するもの。これなら指紋が付いても大丈夫だし、普通のアルバムに貼っても転写する心配がないので、取り扱いも容易になるというメリットがある。

 実際のプリントを見ても、実にきれいで解像度も高く、黒の締まりも上々。パーソナル用プリンタでこのレベルの画質になれば、一般用途では十分なものといえるだろう。

 また、同社ブースでは、このほかにも「LS-2000」や「COOLSCANIII」などのフィルムスキャナも一堂に展示され、人気を博していた。


□ニコンのホームページ
http://www.nikon.co.jp/main/index.htm



●キヤノン
キヤノンブース Powershot A5  キヤノンはデジタルカメラ関係では、今回も「Powershot A5」が中心の展開。ブースでの人気は上々で、やはり親しみやすいデザインとコンパクトカメラ感覚で気軽に撮れる点が好まれているようだ。

 一方、今夏発売予定といわれる「Powershot PRO70」は今回もその姿を見せなかったのは意外だった。時期的には今回のイベントでメインとなってもいいフラッグシップモデルだったのだが……。


PA-100  また、先だって発表されたPCなしでPCカードのデータをBJプリンタでプリントできるアダプタ「BJ PHOTO ADAPTER PA-100」(34,800円)も展示・デモが行なわれていた。これはPCMCIA Type2のATAカードに変換できるものなら、CFカードでもスマートメディアでも、パソコンなしでテレビ画面に画像を出力でき、同社のBJプリンタでプリントを楽しめるアダプタ。ブースではCFカードからポストカードにBJでプリントするデモが行なわれていたが、画質はなかなか良好。プリント時間も約2分程度と実用的だった。


ギャラリー  このほか、BJプリンタの実力をアピールするために、写真家の作品をBJプリンタで出力したギャラリー展示も行なわれていた。もっとも、スキャンにはきわめて高価なドラムスキャナが使われていたが、同社の家庭用スキャナを使った例もみたいところだ。



□キヤノンのホームページ
http://www.canon.co.jp/



●オリンパス
オリンパスブース  オリンパスは今回、デジタルカメラ以外の製品を多く出展。デジタルカメラの新製品はなく、「C-1400L」や「C-840L」などが中心の展示だった。もう一機種くらい新製品が登場してもいいのでは……と思っていただけに、ちょっと肩すかしを食った感じもある。

 そのなかで、積極的なデモを繰り広げていたのが、先だって発表されたばかりのデジタルフォトエディタ「CAMEDIA VS100ST」(49,800円)と、MOドライブがセットになった「VS100MO」(87,800円)だ。これはパソコンを介さずにデジタルカメラのデータを保存したり、画像補正したり、テレビで表示したり、アルバム整理することができるもの。ちょうど、リコーがCMODEX/Splingで発表したメディアステーションに似たコンセプトの機器といえる。

 基本的には、スマートメディアで撮影したデータを、同社のMOドライブに記録したり、同社の昇華型プリンタでプリントするもの。もっとも、メーカーでは保証しないが、保存媒体は指定のMO以外でもSCSI接続のものなら一部使える機器もあるという。

 デジタルカメラのPCユーザー以外への普及には欠くことのできない機器であり、より低価格で、もう少しインターフェイスを洗練させ、汎用の周辺機器との接続が容易になれば、デジタルカメラのヘビーユーザーにも便利に使えそうだ。

CAMEDIA VS100ST CAMEDIA VS100MO VS100MOデモ


□オリンパスのホームページ
http://www.olympus.co.jp/WhatsNew/ww98.html



●住友電気工業
 このほかで目に付いたものとしては、住友電気工業が出品していた「IPIX Suite」があげられる。これは魚眼レンズを装着したデジタルカメラで別々の方向を2回撮影し、それをもとに上下左右360度のQuickTime VR空間を作り出すアプリケーション。68,000円と高価でパーソナル向きではないが、バーチャル空間をPC上で簡単に作成できる点ではなかなか面白い存在だ。もっとも、ブースでは、アプリケーション自身よりも、それを撮影するための魚眼レンズつきデジタルカメラのほうが注目を集めていた。

魚眼レンズ1 魚眼レンズ2 魚眼レンズ3




□WINDOWS WORLD Expo/Tokyo 98 レポートインデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980701/wwe98_i.htm

('98/7/2)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp