【イベント】

プロカメラマン山田久美夫の

「ビジネスシヨウ '98 TOKYO」デジタルフォトレポート 2

会期:5/19~22日
時間:午前10時~午後5時
会場:有明 東京ビッグサイト 東棟
出展社数:467社




●日本IBM:デジタルカメラに特化した新感覚アプリを出品

デジカメの達人
 日本IBMはソフトウェア「デジカメの達人」を参考出品。これは、レタッチ、電子アルバム(画像整理・管理)、デジタルギャラリーなど、デジタルカメラをはじめとしたデジタル画像の統合ソフト。会場でのデモを見る限り、なかなか良く考えられており、各機能とも使いやすそうで、インターフェイスもユニーク。



アルバム機能 レタッチ機能
 アルバム機能は、このソフトに画像を登録した日ごとに、自動的にアルバムが作成され、簡単に一覧表示が見られるもの。しかも、一覧表示画面では登録した画像すべてのサムネールが広大な仮想エリアにずらりと並んで表示され、マウスでスクロールしながら全ての画像を見ることができる。そのため、一日数百枚単位で撮影した画像データも簡単に見渡せるというのが大きな魅力。もちろん、単純にアルバムに登録するだけでなく、あとで検索しやすいようにテキストデータを添付することもできる。

 また、レタッチ機能も充実しており、Adobe Photoshopに近い豊富な機能と、初心者でも使いこなせるように、目的別に順を追って処理することが可能なガイド機能が設けられている点も大きな特徴といえる。

デジタルギャラリー デジタルギャラリー
 さらに、デジタルギャラリーでは、登録した画像をさまざまなスタイルで連続表示することができる。それもポピュラーなスライドショー形式だけではなく、画面の中を登録した画像が動きながら流れてゆくような、実に不思議な感覚での表示も可能だ。しかも、見たい画像をマウスで選んでクリックするだけで、その画像を拡大表示することができる。そして、そのギャラリー自体もファイル出力することができ、プレーヤーといっしょにCD-Rなどに書き込んで配布することもできるという。


分割印刷  このほか、印刷機能も充実しており、画像の一覧印刷はもちろん、一枚の画像を分割してプリントすることで、手持ちのカラープリンタを使って巨大なポスターを作成する機能なども備えている。

 今回はまだ参考出品で、正確な発売時期や価格は未定ということだが、発売は今夏を予定しているという。ユニークな視点で開発された個性的なデジタルカメラ用アプリケーションということで、発売が待たれるところだ。



●ミノルタ:6×9cm版フィルム対応のフィルムスキャナ発表

Dimage Scan Multi  ミノルタは先だってシカゴで開催されたCOMDEX/Springで参考出品したフィルムスキャナ「Dimage Scan Multi」を正式発表。スキャンできるサイズは、6×9cm版までのブローニーフィルム、35mm、APS、16mmのほか、電子顕微鏡フィルム、プレパラートまで対応する。最大解像度は2,820dpi(35mmフィルム時)で、ブローニー版では1,128dpi。A/D変換はRGB各色12bitと本格的で、12bit出力もできるという。価格は298,000円、発売は6月5日となっている。

Dimage Scan Multi  現時点では、この価格帯でブローニー版フィルムまでスキャンできる本格派スキャナはなく、ブローニー版ユーザーには待望の新機種といえる。



●ビビター:ペーパー自体が発色する方式を採用したデジカメ用カラープリンタ

ビビターブース  デジタルカメラ用のプリンタ関係で、今回最も注目される存在だったのが、ビビターが参考出品したサイカラー方式の小型プリンタ「DIP-01」だ。

DIP-01  これはバッテリー駆動でき、携帯可能なモデルで、最大の特徴はやはりそのプリント方式にある。本機が採用しているのは、同社系列会社となるサイカラー社が開発したサイカラー方式。これはインクもトナーも必要なく、ペーパー自体が発色するという独自形式だ。プリントサイズは88.9×127mmとほぼサービス版サイズ。しかも、解像度は150dpi、階調もCMY各256階調のフルカラーで、色再現性にやや癖があるものの、パッと見た感じは銀塩プリントに近い雰囲気を備えている。

 今回参考出品された「DIP-01」は、携帯型のモデル(幅×奥行き×高さ:169×86×56.5mm、重量:430g)で、本体に直接、デジタルカメラのCF(コンパクトフラッシュ)カードを差し込むだけでプリントできるもの。また、シリアル転送で「リコー DC-3」シリーズからのプリントもできるという。もっとも、CFカードでも、キヤノンや松下のデジタルカメラの一部が採用している「CIFF」フォーマットのモデルでなければプリントできず(普通のJPEGは不可)、シリアル経由でのプリントも「リコー DC-3」シリーズのみと、機種が限定される点が気になるところ。やはり現時点での普及度を考えると、Exif2もしくは標準的なJPEGファイルのサポート、スマートメディアへの対応などを真剣に考える必要があるだろう。また、ペーパーが特殊なので、価格はもちろん、入手が簡単かどうかという心配もある。

DIP-01 プリントサンプル

 このほか、プリントするコマ選びをするためには、いちいち一覧表示のインデックスをプリントする必要がある点も気になるところだ。

 ブースでの説明員によると、今回は参考出品ということで、発売までに改良される部分も多いという。もちろん、具体的な発売日や価格はアナウンスされていないが、現時点では年内発売で、価格は2万円前後というあたりを目標にしているという。

 デジタルカメラの普及で、今後、この手の携帯型プリンタへの需要が高まることが予想されるが、なかなか適当な方式がなく、各社が試行錯誤をしているところ。サイカラー方式も、比較的現実的で、ペーパーの価格や再現性についても、一応のレベルはクリアしていることから、今後の展開が期待される。



●キヤノン:ネット経由でのデジタルイメージングシステムを提唱

キヤノンブース CanDINet

 キヤノンブースでは、なかば構想発表に近い形ではあるが、「CanDINet」と呼ばれる、インターネットを中心としたネットワーク上でのデジタルイメージングサービスを発表していた。これはインターネットを使って、デジタルイメージングをもっと手軽に、しかも高いクオリティで利用しようというシステムだ。

 今回の発表では、個人もしくは企業ユーザーが撮影したデジタルデータをもとに、それをCanDINet上で加工(デザイン処理)したり、展示したりすることができ、それを最終的に同社の業務用インクジェットプリンタ「HYPERPHOTO」やカラーレーザーの「PIXEL」で出力することができるというもの。さらに、同ネット上にはさまざまなテンプレートやクリップアートのほか、プロの写真家やデザイナの作品などを利用することが可能な場も設けられている。

 会場でのデモなどを見ていると、すでに開始され、具体化されたシステムのような印象を受けたが、具体的に取材してみると、実際にはほとんど構想段階。しかも、ネット上でのサービスに不可欠な課金システムやセキュリティーの問題、さらには、プリント時のカラーマネージメントやプリント自体の保存性といった問題に対しても、あまり明確な回答が得られなかったのが残念だ。



□「ビジネスシヨウ '98 TOKYO」デジタルフォトレポート 1
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980520/biz_cam1.htm
□「ビジネスシヨウ '98 TOKYO 」ホームページ
http://www.noma-businessshow.or.jp/index98.html

('98/5/21)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp