【コラム】


スタパ齋藤

月1回連載:スタパ齋藤のパソコン的衝動買い的日常コラム

第6回:超気に入ってるFinePix700の画像を
    TX-7で印刷しまくっている最近の俺




■コンピュータ野郎の傲慢

 俺の場合、できることなら机上から一切の紙や筆記具をなくしたいと思っている。非常に強く思っている。どうにかならないものかと常々考えている。

 なぜかと言うと、例えばメモ用紙の場合。まず、キーボードよりも記述に時間がかかる。つまり、漢字は思い出せねえわ字を間違ってグジャグジャって消すから読みづらいわで、コンピュータを使った方が遙かにスンナリ文字が書けるのだ。また、検索性も非常に低く、メモ用紙枚数が10枚を超えたりすると、もはや情報の読み出しが不可能だと思えるくらい、用件を探すのがかったるくなる。さらに、情報のリサイクルがしづらい。メモ用紙上の情報を別のメディアへコピーしようと思ったら、それを肉眼でスキャンし、いったん脳内へバッファリングし、手や口などから出力しなければならない。肉体疲労時における俺の脳は、動作クロック周波数が2Hzくらいにまで低下するので、データのコピー中にエラーを起こして寝てしまう可能性すらある。クロックアップするためにリポビタンD4本一気飲みが必要だ。ちなみに、タウリン2,000ミリグラム配合のリポビタンD2000なら2本でよい。ていうか何の話だかよくわからなくなってきたが、要するに、紙に字を書くのは効率が悪いと思っている。

 他の多くの紙メディアに対してもそう思う。まず、基本的には体積や重さなどとはまるで関係のないものである情報を扱っているのに、かさばったり重かったりするとは何事か!! しかもそういうモノをバラまくために、製紙会社や出版社や印刷会社や運送会社や小売店が必要だとは何たるか!! さらにそういったシステムの片棒を担いで稼いでいる俺ときたら、自己矛盾も甚だしいわけだが、ついでにプリンタやファックスやコピー機まで使っているのだから、深刻な矛盾人間だとも言える。あ。また何の話だかよくわからなくなってきたが、とにかく紙メディアは俺にとっていまひとつ納得できない非効率的なモノなので、ぜひ俺の部屋からは排除していきたいと思っているわけだ。

 こーゆーふーに考える人は俺だけではなく、けっこういたりして、中には過激かつ極端なコトを言う人もいる。例えば、コンピュータを使わない人に対し、「いったん紙に印刷してから渡さないと情報読めない奴らなんか愚民でしょ。愚民愚民。愚かな民って感じだよね~っていうかもはや人間未満だよね~あいつら。人類の進化を邪魔しないでいただきたいよね~。類人猿と遊んでろって感じぃ!?」などと言ったりする。

 そーゆーコトを言われると、俺としては立場上肯定できず、肯定したりなんかすると、「一部記事中に不適当な表現がございましたので削除させていただきました。なお、筆者の都合により『スタパトロニクス』はしばらくの間お休みさせていただきます」といった小さな一文がPC Watchのトップページに付加されたりなんかするが、でもまあ言い過ぎではあるにしても、ホントだよないちいち紙にしなきゃダメなんて面倒でしょうがねえよな、とか思ったりする。


■衝動買い野郎の理屈

 しかし、汎用的ノイマン型電子計算機を使わない人は、世の中にヒッジョーにたくさんいる。俺の周囲にもたくさんいる。そういう人々を敵に回して戦おうと思った瞬間三途の川が見えてくるほどだ。だからそういった人々とはぜひ仲良くしていきたい。それが長生きの秘訣だと言えよう。

 で、そういった人々と仲良くするためには、まずプリンタが必要である。俺のコンピュータ内にある最強に強まった情報を愚……じゃなくて親愛なる民に伝え、情報を共有し、おもしろおかしく生活するためには、印刷することが必要だからだ。

 とかいう理由でいつもプリンタを衝動買いしている俺がつい最近買ってサイコーにハッピーな気分になれたのが、フジフイルム製のハガキサイズカラープリンタ、TX-7だ。
 最初は、もちろん、コンピュータを使わない愚……ではなく親愛なる民に、いろんなカラー画像を印刷してさしあげて見ていただいて喜んでいただこうという理屈で買ったのだが、印刷して見て喜んだのはまさに俺であって、周囲の人はふぅ~んハガキみたいな写真だネくらいの感想しか言わないとは何事かーッ!! さっきまでデジカメの中にあったJPEG画像データを、この凄まじくナイスなプリンタに転送し、さらにものの約98秒で写真みてえにキレイな印刷物にしたってえのに、その全然驚いてない態度たるや、もはや許せんてめえら人間じゃねえ叩き斬ってやるから日本刀貸してちょんまげ~、と、またもや何の話だかよくわからなくなってしまうほど、TX-7は痛快なプリンタであらせられた。



■全部型カラープリンタTX-7

TX-7
富士写真フイルムのビデオ/デジタルプリンタ「TX-7」
標準価格58,000円
 TX-7はハガキサイズのフルカラー印刷ができるプリンタだ。このプリンタの偉いところは、WindowsマシンでもMacintoshでも使えて、ビデオデッキにつなげればビデオプリンタにもなって、さらにスマートメディアスロットがあるのでデジカメ用プリンタとしても使えるということ。つまりコレ一台でたいていの映像ソースを印刷できる、全部OKな全部型カラープリンタというトコロが偉い。

 で、まず良いのが、スマートメディアを直接挿せる点。記録画像フォーマットにExif(JPEG互換のデジタルカメラ向け画像フォーマット)を採用しているデジカメのスマートメディアに対応していて、スマートメディアをサクッと挿してすぐに印刷できる。コンピュータに画像データを転送し、TX-7をコンピュータ用プリンタとして使って画像を印刷することもできるが、デジカメ画像をすぐプリントしたいという場合には非常に手っ取り早くて良い。

 次に良いのが、コンピュータ用のプリンタとしてしっかり使える点。TX-7にはWindowsマシンと接続するためのパラレルポートと、Macintoshと接続するためのシリアルポート(RS422/8PINミニDIN)があり、もちろんWindows 95用・MacOS(7.1.2~7.6.1)のプリンタドライバも付属している。内容的には145dpiのフルカラープリン タで、1枚印刷するのに約98秒かかる。用紙はTX-7専用のTAペーパーを使う。プリンタの印字方式は、TA方式。

 TA方式は、フジフイルム独自の印刷方式で、専用用紙のみでカラー印刷できるのが特徴。専用紙自体が発色するしくみなので、昇華型熱転写カラープリンタのようなインクカートリッジが不要だ。昇華型プリンタにはつきものの、空きカートリッジゴミが出ないことや、用紙とカートリッジを同時に交換するなどの手間がない。TAペーパーは、ノーマルタイプ(A-20、20枚入りで980円)、16分割シールタイプ(A-20S16N、20枚入りで1,950円)、4分割シールタイプ(A-20S4N、20枚入りで1,950円)の3タイプがある。なお、印刷時には、用紙が専用トレイから自動給紙されるので楽であると同時に、印刷時に本体から漏れる薄紫色の光がサイバーである。

 その次に良いのが、ビデオ入力端子がある点。ビデオカメラの映像などを入力すれば、好きな場面を写真にでき、つまりビデオプリンタとしても使えるのだ。フジフイルムのフォトビジョン(ネガやポジのフィルムをテレビで見たりできる便利装置)やフォトプレイヤー(APSフィルムをテレビで見たりできる楽勝装置)とつなげれば、手軽にフィルムをプリントできる。

 スマートメディアスロット、コンピュータとの接続、ビデオ入力。何でもアリの接続性の良さは、なんつーか、MDもCDもカセットテープも使える一体型コンポみたいで、とても便利である。また、本体が平べったくて上にモノを置けるところもよく、さらに、本体サイズが幅260×高さ100×奥行248(mm)で、いわゆるミニコンポサイズなので、置き場所に困らないという工夫もイカス。ソニーのVAIOのM300シリーズの上にソニーのMDデッキのMDS-PC1を置いたその上にTX-7を置けば、もはや趣味の世界にどっぷり浸かれるホビーコンピュータ環境ができそうなので、思わずソニーのVAIOのM300(液晶ディスプレイモデル)を買おうとしたら在庫切れだったので、俺の危うい衝動買いの連鎖を未然に防ぐことができた。



■使い勝手など

 TX-7をコンピュータ用プリンタとして使った場合は、まあ単なるプリンタなので別段使い勝手がどうこうということはない。が、単体で使った場合は、ちょっと使い勝手にクセがある。

 単体で使う場合(スマートメディア上の映像印刷やビデオ映像の印刷時)は、各種設定や映像の選択などを、本体前面のボタンを使い、テレビ画面に表示されるメニューを操作して行なう。プリントスタイルをいろいろ変えられたり、色調補正などができたり、画面の表示モードも変えられたりと、けっこう多機能なので、ボタンをいじくる機会が増える。が、ボタンとメニューの関連が、最初、イマイチわかりにくかった。まあ、慣れればスムーズに使いこなせるのだが、慣れるまでちょっと戸惑う。例えば、画面表示モードの切替や、マルチプリントの設定などをする場合、キカイにヨワいオトーサンやキカイがキライなオカーサンだったら、かなりマジメにマニュアルを読まないとナニだ。まあ、マニュアルがわかりやすいので、四苦八苦するようなことはないと思うが。

 それから、専用紙であるTAペーパーは、その方式上、強い光や熱に弱い。直射日光に長時間さらしておいたり、熱を受けたりすると発色してしまうことがある。でもまあ、常識的な使い方をしていればほとんど問題は起きない。

 また、TAペーパーは、発色は問題ないのだが、画像のシャープさがほんの少し足りないような気がしなくもない。昇華型のカラープリンタと比べると、画素のエッジがいまいち立っていないような気がしなくもない。まあ、145dpiなので、ピクセルのエッジが立っていない方が写真として自然に見えるからこれでもいいような気がしなくもない。要するに、じーっくり見なければ気になることは見えてこない程度なのだと言えるような気がしなくもない。



■紙も、けっこう、いいスね

 というわけで、超気に入ってるFinePix700で撮った写真を、かなりイイ感じのTX-7で印刷しまくっている最近の俺思うに、紙メディアというのもやはりけっこう案外いいモンだ。当たり前のことだが、紙に印刷された情報は、特に何か操作しなくてもすぐ見られる。手軽でいい。紙というのはなかなかよく考えられたメディアであるっていうか考えられてるとかられてないとかいうコトじゃないだろ>俺。

 フジフイルムは、近未来に訪れるであろうフィルム式カメラの衰退を見越してか、最近ではこういったプリンタやデジタルカメラに力を入れたり、さらにデジタルデータのプリントサービス(F-DI)を始めたりもしている。そんな雰囲気のなか、TX-7のような装置を使うと、なんか、ホントに、近い未来には写真屋さんとゆーのはナンだなあとか思ったりする。

 かつて、目の前の光景を動画として記録・再生するためには、例えば8ミリカメラ(ビデオじゃないヨ)とフィルムと映写機と銀幕と暗闇と、さらにかなり面倒な手順が必要だった。が、現在ではハンディビデオカメラの電源を入れて撮影してすぐに再生できる。10年未満で、8ミリという言葉がフィルムサイズじゃなくてビデオテープサイズを意味するようになっちゃったことを考えると、来世紀にはカメラというのはデジタルカメラを意味するようになるように思えてならない。

 例えば21世紀のカメラ屋にて。
「ん~と、旅行に持ってくんで、小さいカメラ探してんですけど、なんかイイのあります?」
「小さいのね、じゃあ、これなんかどうです。画素は1,677万でちょっと画質悪いけど、フル充電で8時間使えて最高1,024枚撮れますよ」
「あっ、そーゆーんじゃなくて、ホラ、フィルム使うタイプの」
「ああ、フィルム式ですかぁ。ウチじゃあアレは扱ってないんですよ~。その路地入った骨董品店に何台かあったみたいですよ」
「はぁ、そうスか。じゃあふつーのでいいです」
「はい、ふつーのね。9,800円です」

 そーゆー時代が来るのかーッ!? 来るかも。いや、来る。だってたったの1年で最高機種が誰も欲しがらない旧機種に成り下がる世界だし。モデムなんかほんの10年前は300bps程度ですよ。なんスか56kって、重さですか? みたいな。10年前はメモリなんか640KBの広大なユーザーエリアとゆーことだったし、20MBのハードディスクで若手サラリーマンの1カ月分の給料が宇宙の彼方に吹っ飛んでしまったのだ。ところが現在は普通に64MBで2GB。メガとかギガってなあに? コジラの敵かなんか? みたいな。

 四半世紀前の俺ならば、きっと現在の俺が信じられないだろう。ヘンなボタンだらけの板をいじくって何してんのかなあのおじさん。あの人、町中で突っ立って耳に手ぇ当ててしゃべってる~コワ~い。ああっ、テレビが自然についたー、超能力だー!! 一昔前の信じ難い光景が、現在の当たり前になっている。

 この調子で考えると、もしかしたら紙なんかすげえマイナーなメディアになったりしてるかも!!

俺 「昔はな、紙なんかどこにでもあったんじゃ。おじいちゃんの若い頃は紙でお尻を拭いとったんじゃよ」
若者「うそつけこのジジイ!! ていうかカミってナニ」

 と、そーゆー時代が来るかもしれん!! そうだ来るかもしれねえんだよアニキ!! きっと来るんだよブラザー!! そうだそうなんだ完全ペーパーレス時代は間近なんだ!!
 ていうか紙がないと鼻がたれたとき困ると思った。あと紙がないと天ぷら食うときも困ると思った。そして紙がないと硬貨ばっかで重いと思った。だから紙は有り難いなあと思った。をはり。


[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp