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Windows 98リリースは6月25日で決まりか? IntelがS3を買収?


●Windows 98リリースは6月25日で決まりか?

 Windows 98のリリースデイトのスクープが相次いでいる。先週は、「Microsoft Sets June 25 Windows 98 Retail Launch」(Computer Retail Week,3/11)が、関係筋からの情報として6月25日という日付をスクープ。その後、「With Justice watching, Win98 to debut June 25」(InfoWorld Electric,3/13)も、同様に関係筋からの情報として同じ日付を報じた。2社が同じ日付を特定したことで、6月25日説はかなり確実性が出てきたと言えるだろう。InfoWorldの方は、6月16日からニューヨークで開催されるPC Expoに出展されるのは、Windows 98のβ版だという情報でこのニュースを補強している。ただし、ニュースサイトの大半はまだ確証を得ていないか、秘守義務で縛られているかどちらからしく、この日付は報道していない。もっとも、「Microsoft To Unveil Windows 98 On June 25」(COMPUTER RESELLER NEWS,3/13)は、Microsoftが今週の"Marketing Day"イベントでリリースデイトを正式に明らかにすると報じているので、今週には明確になるかも知れない。このほか、「Microsoft To Offer Plus! For Windows 98」(COMPUTER RESELLER NEWS,3/10)などは、すでにベータテストに入った「Plus! For Windows 98」の概要を報道している。しかし、今回異様なのは、これだけリリースが迫っても、Windows 98に関する記事がWindows 95の時と比べて格段に少ないこと。Windows 95の時は、辛口の記事も多かったものの、雑誌には関連記事があふれた。今回のこの盛り上がらなさは、裁判の影響が出ているような気がする。


●司法省は手を出さず

 さて、こうしたWindows 98リリース報道を受けて、注目されているのは、もちろん司法省の出方。しかし、「Justice Will Not Force Microsoft To Separate Browser, Windows 98」(The Wall Street Journal,3/12、有料サイト http://www.wsj.com/ から検索)は、司法省の反トラスト局を統括するジョエル・クライン氏にインタビュー、司法省としては「どんなアクションをするべきか決定していない」という消極的なコメントを引き出している。同紙は、司法省がWindows 98を止めるのに積極的ではないのは、彼らが製品のデザイン決定に口出しするカタチになることを望まないからだという、関係者の見方を報じている。この問題については、このコラムでも以前に報じたように、Microsoftは裁判所の仮決定の下でも、Windows 98を出すことができると主張できる和解を引き出しており、司法省としては手を出しにくい状況にあると想像できる。

 一方、司法省が頼りにならないならと、ラルフ・ネイダー氏が率いる消費者活動団体Consumer Project on Technologyは、大手PCメーカーに手紙を送ったらしい。「PCs Without Windows?」(PC World,3/9)によると、手紙の内容は、コンシューマにMicrosoft以外のOSを選択できるように要請するもので、LinuxとかOpen DOS/Spiderとか、Rhapsody、BeOSなどを推奨しているという。もともと、PC AT互換機の世界で、OSも選択できるというのが理念だったわけで、この要請も心情的にはよくわかる。しかし、現実の市場がここまでWindowsに固まってしまっていると、こうした動きも実効性は疑わしい。むしろプラットフォームごと変えてしまおうというアイデアの方が、現実性があるような気がする。


●ゲイツ氏の2冊目の著作はビジネス書?

 こうした世間の騒ぎもあってか、ゲイツ氏は自己の主張をもっと世に知らしめるため、急ピッチで2冊目の著書の用意をしているらしい。「Gates to pen book sequel」(NEWS.COM,3/13)によると、2冊目は「The Road Ahead」のような万人向けの内容ではなく、テクノロジを使ってビジネスをどううまくやるかにフォーカスするという。となると、このところの持論にしている「Digital Nervous Systems」の話ということになるに違いない。この記事のベースになっているのは、ゲイツの著作を補佐しているMicrosoft幹部のコメントで、彼は昨年9月からフルタイムでこの本に関わってきているという。


●Appleの秘密プロジェクト

 米Apple Computer社の新プロジェクト「Columbus(コロンバス)」が、NEWS.COMでスクープされた。「Apple stakes future on new device」(NEWS.COM,3/10)によると、これはインターネットSTBとDVDプレイヤーを融合させたようなデバイスで、家庭で気軽にインターネットやマルチメディアを楽しめる家電になるらしい。いちおう、Appleのトップシークレットプロジェクトなのだそうだが、こうした「コンバージェンス」プロダクトは、今や何も珍しいものではない。それに、そもそもAppleは、こうしたプロジェクトをこれまでも何回も試みてきた。General Magicで開発していた「MagicTV」とかバンダイで製品化したBandaiが製品化した「PiPPIN」とか……。ところが、結局これらのプロジェクトは、いずれもうまく育てることができなかった。MagicTVにいたっては、メインの開発者が抜けてWebTVを開発、その技術はそっくりMicrosoftに取られてしまった。今回のColumbus、果たしてうまく育てられるのだろうか。


●Katmai関連ニュースが続々登場

 Intel関連では、次々世代MPU「Katmai」関係の情報がまた流れている。「Katmai goes dual mode」(InfoWorld,3/9)では、Katmaiのノートパソコン版がデュアルモードを持つと報じている。ようは、AC電源につないだ時は450MHzでフルパフォーマンスを発揮、バッテリで利用するときには350MHzに抑えて消費電力を抑えるというもの。確かに、これはいいアイデアで、ハイエンドMPUを求めるノートパソコンユーザーは、省スペースデスクトップとして使うというニーズにも合っている。しかし、結局、Katmaiでは少なくとも0.25ミクロンでは、消費電力を下げることに限界があるというのも明らかにしたと見ることもできる。少なくともモバイルユーザーにとっては魅力的なアプローチではなさそうだ。

 もっとも、0.18ミクロン版のKatmaiでは、その問題も解決するかも知れない。「Cache Strategies Key to Future CPUs」(MICRODESIGN RESOURCES)は、Katmaiは0.25版では2次キャッシュが外付け、0.18版では512KBの2次キャッシュをオンチップに統合するようになるだろうと予測している。ちなみに、同誌の予測では、そこから先は、オンチップに2次キャッシュを載せるのが当たり前になるらしい。


●IntelがS3を買収?

 米S3社の株価が高騰している。えっ、S3って最近、不振じゃないかって? そう。市場では苦戦を強いられているが、同社の場合、それが幸い(?)して、買収のウワサで株が高騰し始めた。「Takeover Rumors Bolster S3 As Investors Enjoy the Ride」(The Wall Street Journal,3/13)によると、S3株は、25%もアップしたという。このネタも、最初にスクープしたのはニューヨークの会員制情報サイト「Wall Street Securities」で、S3を狙っているのはなんと米Intel社だそうだ。記事によると、両社が特にウワサを否定しなかったため、憶測が膨れ上がったという。もっとも、2月に米Chips & Technologies社を買収したばかりのIntelが、同じグラフィックスチップメーカーをもう1社買うという報道には、否定的な見方も強いようだ。


●DDR SDRAMを推進する動きも活発化

 Intelと言えば、次々世代チップセットで米Rambus社の次世代DRAM「Direct RDRAM」のサポートを表明しているが、これに対してDRAMメーカーが他のDRAM技術にも期待をかけているという記事がまた出てきた。「DRAM Makers Divided Over Future Memory Technologies」(Electronic Buyer's News,3/6)によると、Direct RDRAMは64MビットDRAM世代では、1チャンネル当たりの最大メモリ容量が256MBに制限されてしまう(プロトコルの制約上)ため、ハイエンドPCやサーバー、ワークステーション向けにはDDR SDRAMを推進するという、DRAMメーカーのコメントを紹介している。結局、この記事にあるように、Direct RDRAMの技術的な先進性を認める声は多いものの、DRAM業界はRambusへの革新的なジャンプがうまく行くかどうかをまだ危ぶんでいるというのが本当のところらしい。こうした声は、Direct RDRAMのチップと対応チップセットが実際に出てきて、実装されるまでは続きそうだ。


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('98/3/17)

[Reported by 後藤 弘茂]


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