会場:池袋サンシャインシティ・コンベンションセンターTOKYO
開催期間:3月5日~3月7日
連絡先:日本工業新聞社 東京事業部
Tel.03-3273-6184
春の写真関係イベントの締めを飾る国際プロフェッショナル・フォト・フェア(IPPF1998)が、9日まで、東京・池袋のサンシャインシティーで開催されている(入場料1,000円)。このイベントは名称で分かるように、写真のプロ機材を一堂に集めたもので、今年はデジタルフォト関係の出展がきわめて多い。出展されている機材も、パーソナル機はもちろんのこと、普段目にする機会の少ない高価なプロ機材も数多く、なかなかマニアックな楽しさを感じさせるイベントとなっている。
プロ向けのイベントといっても、まだまだプロカメラマンや写真館などでは、デジタルはやや遠い存在。それだけに展示機材はハイレベルだが、交わされる質問はごく初歩的なものも多い。とくに、デジタル担当のブースの説明員も、PC系イベントとはまったく違った側面からの質問に戸惑う場面も見受けられた。
そこで今回は、一般のPC系イベントでは見られないIPPFならではのデジタル系機材を中心にレポートしよう。
●富士写真フイルム:「FinePix700」から3Dプリントまで網羅
IPPFでももっとも広いブースを構える富士写真フイルム。銀塩システムはもちろんのこと、デジタル化にも熱心なメーカーだけに、パーソナル向けデジタルカメラから業務用プリントシステムまでを一堂に見ることができる。
やはり、ここでもなかなか人気を博しているのが「FinePix700」。さらに、同機ベースの「BIG JOB DS-250HD」もそれと同じくらい手にする人が多かったのが印象的。
また、カメラ店向けに店頭で簡単に、デジタルカメラやカラープリントからプリクラ風シールがつくれるシステムの実演も行われていた。
このほか、テーマパークや観光地、結婚式場などで、デジタルカメラから短時間に大量のプリントを作製するための、一種のプリントサーバーシステムなどもあった。これはTA式プリンターを最大7台接続し、空いたプリンターにPCカードから順次プリントデータを送るもので、別々の画像でも1時間当たり180枚、同じ画像なら1時間で340枚ものプリントができるという。また、同じTA式でも業務用モデルだけに、パーソナル向けの「TX-7」とは比較にならないほど画質も良好だ。
ユニークなところでは、業務用プリンター「ピクトログラフィー」を使って、簡単に3Dプリントが作製できる「ピクトロ3D」などもあった。これは一時期流行ったレンチキュラーレンズを使ったもので、人物だけを撮影しておき、それをPhotoshop上でレイヤーを使って背景や近景を合成して立体写真を作るもの。手軽に3Dができるこんなシステムが発表されると、近い将来、観光地や遊園地などでもこの手のサービスが広まりそうだ。
●コダック:200万画素一眼レフ「DCS520」からLEDプリンターまで
業務用のデジタルフォトシステムの世界でも、幅広い展開を図っているコダック。IPPFではPC系イベントでは見る機会が少ない、先だって発表されたばかりの200万画素デジタル一眼レフ「DCS520」(198万円)を実際に手にすることもできる。さらに、同社の業務用モデルに採用されている、パーソナル機の数倍もある巨大なCCD素子の現物まで展示されていた。
また、現像所用のプリントマシンではあるが、デジタル画像をLEDを使ってカラー印画紙にプリントする、超高画質プリンター(1,700万円)の姿もあった。実際にプリントを見てみると、その画質には目を見張るものがある。
●コニカ:ネットサービスからペーパーまで幅広く
富士写真フイルムやコダックとともに、デジタル化に積極的な姿勢を見せるコニカ。今回は、同社が他社に先駆けて手がけていたインターネットを使った写真閲覧サービスである「インターネット・ピクチャーボックス」(カラーネガフィルムをスキャンして、ネット上で閲覧できるもの)や、フィルムからのフロッピー書き込みサービス「PCピクチャーショー」をデモ。
さらに、自社開発の高画質インクジェットプリンター用紙や、耐久性を高めた昇華型プリントシステムなどもアピール。もちろん、ブースには同社のメガピクセル機「Q-M100」の姿もあった。
●ソニー:140万画素3板式スタジオ用モデル
ソニーは今回、アメリカで昨年、先行発表された140万画素CCDを3枚使ったスタジオ用デジタルカメラでの撮影デモを展開。このシステムは、アメリカでのポートレートスタジオ(日本の写真館のようなもの)を重視して開発されたもの。もともとPCを直結して使うことが大前提のため、スタイルはテレビカメラ的なもので、ファインダーも外付け式の液晶モニターを採用。140万画素で、しかも3板式CCD採用機だけに、その画質には目を見張るものがある。
さらに、画質に定評がある業務用の昇華型プリンターも一堂に展示されており、同じく業務用の高速スキャン可能なフィルムスキャナー(35mm版とAPS共用)も出品されていた。
●HP:「PhotoSmart」シリーズとA0版インクジェットプリンターをアピール
このイベントには初参加のヒューレット・パッカード(HP)。今回は昨年から日本国内での展開を開始した、フォトクォリティーの「PhotoSmart」システムとA0版の巨大なインクジェット型プリンター「DesignJet 2500CP」などを展示。
アメリカでは大手のPCショップでよく見かけるようになった「PhotoSmart」シリーズ。国内での知名度は低いものの、同シリーズのフォトスキャナーとフォトプリンターの組み合わせは、パーソナル向けモデルながらも、きちんとしたカラーマネージメントがとれたシステムとして秀逸な存在。ブースでは再現性の高さもさることながら、システムとしての完成度の高さを積極的にアピールしていたのが印象的だった。
また、A0版対応のインクジェットプリンター「DesignJet 2500CP」もなかなか人気が高く、ブースには同じ画像を印画紙にプリントしたものと、同プリンターでプリントしたサンプルが並べて展示されており、その自信のほどを感じさせた。
●ノーリツ鋼機:デジタルカメラの同時プリントもOK! 500dpiのミニラボ用CRTプリンター
IPPFのなかでも異色のブースだったのが、世界最大級のミニラボメーカー「ノーリツ鋼機」。今回はミニラボでもデジタルデータのプリントができる、高画質なミニラボマシン「QSS-23CRT」を出品。これはCRTを使ってカラー印画紙にデジタルデータをプリントするもので、解像度は300dpi。今年発売される後継機「QSS-23 HR CRT」では500dpiになるという本格的なデジタル・ミニラボ。もちろん、フィルムからのプリントも可能だ。
このようなプリンターが市中のミニラボに普及すれば、従来の1時間仕上げと同じ感覚でデジタルカメラからのプリントが可能になるため、今後の展開が注目されるマシンといえる。
●その他:驚異の1,680万画素ワンショットモデル、連写もOKの400万画素モデル
このほか、普段、まず見ることのできないモデルも数多い。なかでも、現在、エリアCCD採用でワンショットでのカラー撮影できる市販モデルとしては世界最高の画素数を誇る、1,680万画素モデル「DICMED BigShot」(980万円也!)。4コマ連写もOKで12bit出力もでき、バッテリーパックにより屋外での撮影にも対応できる400万画素エリアCCD採用機「メガビジョン S2」(350万円),ワンショットと4ショット式の両方に対応できる400万画素モデル「カーニバル2020」といった、業務用デジタルカメラバッグも展示されている。さすがに、このクラスのモデルになると、プリントや印刷物を見ても「これが本当にデジタル?!」と、目を疑うほどの画質を実現しており、プロ機材ならではの懐の深さを感じさせる。ややマニアックではあるが、これらのプロ用モデルを見るだけでも、IPPFに足を運ぶ価値があるだろう。
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm
('98/3/5)
[Reported by 山田 久美夫]