【コラム】 |
リムーバブル勝負!!
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フロッピーからの95インストールは、(FDDがついた)AT互換機ならどの機種でもOKというオールマイティさはあるが、手間がかかるというよりもむしろ超スゴくひどい苦痛を伴う作業だ。時間はかかるわディスクの入れ替えは面倒臭ぇわで、ディスク10枚目あたりにさしかかる頃には殺気立ってさえいた。あっちょっとキミこれコピー10枚取ってきてくれよと上司に頼まれたOLがコピーを完了させて渡したら、あっキミごめんごめんこっちをコピーするんだったすまないねえと言われてややムカつきながら再度コピーを取って渡したら、おいおいわしゃ15枚と言ったんだよ足りないよこれじゃあと言われてかなりムカッと来たけど気持ちを抑えてさらに5枚コピーを取って渡したら、悪いねえついでにお茶いれてタバコ買ってきてくれよと言われつつお尻を触られてキレるのなんざぁメじゃないほとイラつく作業なのだ。
そういう地獄の作業を何度も何度もやってきた俺は、“95”と“フロッピー”という言葉を同時に聞いただけで悪い汗が滲み出るほどアレルギッシュな人になっていた。が、方法はあるもので、CD-ROMドライブのドライバがなくても、CD-ROMからWindows 95をインストールする方法があるのだった。
それは、Windows NTをインストールしてからWindows 95のインストールを開始するという方法。Windows NTの起動ディスクはまったく有り難い存在で、まず最初に(たいていの一般的な)CD-ROMドライブを認識してくれちゃうのである。まあそこで即Windows 95のCD-ROMを入れるというわけにはいかないが、ともあれサササッとNTのインストールを済ませて、問題なくCD-ROMが使えるようになったところでNT上から95をCD-ROMからサクサクッとインストールするのだ。ちなみに、NTをインストールする段階で、HDDのフォーマットやパーティション作成もできる。さらにちなみに、(ドライブC:に95をインストールするのが前提なので)NTをD:以降のドライブにインストールしたり、(後にNTを消し去るために)HDDのフォーマットをFAT形式で行ったりする必要がある。なお、この方法は船田戦闘機というWindowsインストール野郎の友人から伝授してもらった。
そこまでして95使わないでNT使えばいいじゃん、という話もあるが、Plug and Playのこととか各種デバイスのドライバのこととかを考えると、やはり95の方がわりと安楽であり、それと同時にわざわざNTを購入してまでCD-ROMドライブを認識させたくなるほど、フロッピーからの95インストールは地獄なのである。
あーこれでまた地獄から来たフロッピー版95で苦悩と悶絶のインストール作業をしなきゃなんないのかー、と一瞬思って憂鬱になったので酒かっ食らって寝ちゃおうかなと思ったが、幸運なことに、CD-ROMのドライバが見つかった。
で、DOS。DOSをコンピュータにインストールしてCD-ROMが使えるシステムディスクを作った。長いこと触れていなかったDOSだが、久々にいじくってみるといいものだ。config.sysやautoexec.batを書くのはけっこう楽しい。また、コンピュータを最初の一歩から自分で完全にセットアップしたのだという満足感もある。
そんな感じで順調に95のインストールを進めながら思った。DOS→Windows 95→Windows 95上の快適なソフトウェア環境や設定、という流れがあるが、おいおいこれってけっこう危ういぜ、と。こんなに時間をかけてセットアップした環境も、いつか絶対壊れる。いや、俺の経験では、近々絶対に壊れちまうのだ。OSとゆーモンは必ず具合が悪くなり、ハードディスクとゆーモンは必ずクラッシュする。これはトラブルなんかではなく、仕様なのだ。
そう思った途端、妙な脂汗が出てきて、肩が凝り始め、目がしばしばしてきた。コンピュータを使っている限り、俺は何度も何度もインストール作業を繰り返すのだなぁかったりいなぁ、と思った。
でも、そのかったるさを軽減させる方法もある。データのバックアップだ。バックアップを取っておけば、DOS→Windows 95→環境構築、という作業が、DOS→Windows 95で済むかもしれない。いや、OSの具合が悪くなった十数分後に、十数分前の快適なOSを取り戻せるかもしれない!! やっぱこれからはバックアップだ!!
と、いろいろ調べていたらアラ不思議。雑誌広告やカタログやWebサイトを眺めているうちに、バックアップの必要性を問う俺の理性がいつの間にか消え失せ、リムーバブルメディアそのものに対する物欲が俺を支配していた。なんか新しいリムーバブルメディアが欲しくて欲しくてたまらなくなっていたわけだ。ていうかそれだったらこの上にある長ったらしい話を書くなよ>俺、という感じですいません。
ともかくリムーバブル欲の塊になってしまった俺は、夕方5時から夜の11時までやっている極悪なほど便利なショップ、PCBuyking入間16号店へ出かけ、目に付いたリムーバブルドライブを買って帰ろうという気だったのだが、急に心が穏やかで質素になったので、何も買わないで帰って来た。
なぜかというと、俺はOLYMPUS製のMOドライブ(230MBのやつ)を1台持て余していたからだ。また、電子楽器用のZip(SCSIのやつ)もある。これらをバックアップに流用すればいいや、と我ながらずいぶん倹約的な考えに至ったのであった。
で、まず愛機に手持ちのMO、OLYMPUSのDELTIS230MO TURBO IIをつないで実験~と思った矢先、どうも調子が悪い。ファイルをコピーできたりできなかったりする。問題はケーブルか!? Windowsか!? それともドライブ本体か!? あるいはディスクか!? ケーブルを取り替え、ドライブの設定を確認してヘッドのクリーニングをし、ディスクも何種類か試し、最終的にはWindowsを再インストールしたが、まだ調子が悪い。が、他のマシンでこのMOドライブを使うと、うまく行くのだ。これって相性か!? そうかも相性かも。そうだよ絶対相性が悪いんだ!!
相性なんですよわかってくださいよふたつで十分ですよ!! くわッ!! 相性だけは努力や根性ではどうにもならん!! もうこれは新しいの買うでしょ!! 買う買う買うー!!
そんなわけで、やっぱり俺はPCBuyking入間16号店へ出かけて、新しいのを買
っちまったのである。
それから、クラッとキて、Zipドライブも買った。俺が買ったのは単なるZipドライブではなく、ZipPlusというドライブだ。従来のZipドライブは、SCSI接続タイプとパラレル接続タイプがあったが、ZipPlusはSCSIでもパラレルでも繋げられる。また、SCSI接続かパラレル接続かを自動的に判別するAutoDetect機能や、本体前面についた電源スイッチ(従来の機種にはなかった)がついたりして、こちらもかなり良い感じである。
写真上:アイオメガ 「ZipPlus」 写真右:オリンパス 「640MO TURBO」 |
とりあえず使ってみた感触だが、まずMOの方は、OWってなんか速い感じ、ということと、動作音が案外耳につくこと。230MBのMOドライブに比べると、速いけどちょっとガリガリ言い過ぎって感じ。でも、実用性は非常に高いと言えそうだ。容量も余裕があるし、読み書きのスピードも十分出ていて、イライラすることはなさそうだ。メディアがもう少し安くなってくれると嬉しい。
ちょっと不安だったのはZipPlusなのだが、これはこれで不満はなかった。どのコンピュータにもあるパラレルポートにつながるメリットは大きいし、第一、メディアが安い。パラレル接続なので、読み書きスピードは遅いが、でもフロッピーなんかより全然快適だ。Zipは遅いから、みたいな話をよく聞くが、評判ほど遅くはない。思ったよりずっと速いじゃん、というのが実感だ。なお、SCSI接続での使用はケーブルがなかったので試せなかった。
てなわけで、Shark250、640のMO、ZipPlus。なんか急にリムーバブル野郎になってしまった俺だが、とりあえず非常に嬉しいので、ぜひ各ドライブのベンチマークを取っていきたい!!
あ、そう言えば、前回の記事でShark250とバイオノートPCG-715のディスクの読み書き速度を書いたが、アレは俺が開発した俺独自のベンチマークテスト結果である。方法は、Adobe Photoshopをインストールしたフォルダを用意し、そのフォルダのコピー時間をストップウオッチで計るという、非常にいい加減で精度の低いベンチマークテストだ。が、この方法はけっこう現実的だったりもして、ベンチマークテスト専用ソフトを使って計測したのと実際の動作に大きな開きがあるというようなこともない。なので、今回もこの方法でベンチマークしていきたい!! ベンチマークに使うマシンは愛機のバイオノートPCG-715。コピーしたのは、約19MBのフォルダ(ファイル数203個でフォルダ数18)だ。なお、この独自の方法で計れるのは、ディスクへのデータ書き込み時の実際的で総括的な転送速度だけだ。
で、結果は以下のとおり。それぞれ書き込み時のデータ転送速度だ。
Shark250 | 約926KB/s |
バイオノートPCG-715のHDD | 約810KB/s |
ZipPlus | 約463KB/s |
640MO TURBO | 約270KB/s |
DISK | read | write |
---|---|---|
PCG-715のHDD | 3297KB/s | 3247KB/s |
Shark250 | 810KB/s | 1009KB/s |
640MO | 691KB/s | 357KB/s |
ZipPlus | 582KB/s | 417KB/s |
普通かつ無責任にオススメするなら、Shark250はモバイル派に、デスクトップ機ユーザーや画像保存に640MO、ノート機ユーザーや文書などのデータバックアップにZip、みたいな感じになる。あるいは、コストパフォーマンスを取ってZipだとか、容量や普及の度合いを取ってMOというススメ方もある。
でも、極端な話、どのリムーバブルドライブにも先はない。どのドライブもいずれ容量不足のドライブになってすたれるのだ。そろそろCD-RWが普及してきたかなと思った瞬間DVD-RAMが売れたと思った矢先に別の新しいメディアが登場する。まあ、MOやZipなどは、そういう流れの速いリムーバブルメディアのなかでもけっこうネバっている方だとは思うが、それでもフロッピーほどのネバりはない。リムーバブルメディアなんて、いや、コンピュータなんてものには、まだまだ永続性なんざぁ期待できないのである。いやいやそれでも1~2年くらいはもつだろうと、俺も思っていた。だが、それもどうやら違うようだ。
なんせ、これほど加速的にCPUのクロックや処理速度が上がるとは思わなかった。メモリの大容量化も進みまくっている。この調子で行くと……という期待を裏切って、きっと近い未来には現在の最速CPUがイマイチなものに成り下がり、64MBのメモリモジュールじゃあ全然足りないなんてことになるのだ。そこには当然、ストレージの巨大化がついて回る。例えば2年前のコンピュータ雑誌を開いてみよう。そこには、貧弱なハードウェアと異常に高い価格ばかりが並んでいる。すげえぜ俺なんか540MBのHDDだしメモリなんか48MBもあるぜ~、と喜んでいた自分を思い起こす現在の自分。まるで16ビットマシン時代とコンピュータ黎明期のようなギャップを感じる。しかし、現在はもっと速く、そのギャップが広がり続けている。
要するに今何を買おうと、何を考えようと、近い未来のコンピュータ環境では全然役立たないのである。だから、ぜひ、いちばんヒキが強いと思うドライブを買おう。おもしろいと思えるドライブを。あなたが楽しめるドライブを。どうせ先はないのだから刹那的に楽しもう、という気持ちがないと、後悔や怒りを感じるハメになる。
それでも将来性があるメディア、というならもう割り切って、どんな容量だろうと気合と根性で乗り切るつもりで、フロッピーディスクしかない。なんつったって全AT互換機と全98と全Macに標準装備されているリムーバブルドライブなのだから。
□640MO TURBO製品情報
http://www.olympus.co.jp/LineUp/Mo/640mo.html
□ZipPlusニュースリリース
http://www.iomega.co.jp/company/news/newszip/zipplus.html
□Shark250製品紹介(英文)
http://www.goavatar.com/products/
[Text by スタパ齋藤]