【イベント】

プロカメラマン山田久美夫の
CESフォトレポート 最終回

拾遺 編


会場前 「1998 International Winter Consumer Electronics Show(CES)」
'98/1/8~1/11 開催(現地時間)

開催地:米ラスベガス CESレポートの締めくくりとしては、やはり今回のメインとなったWindows CE関連の製品について紹介しておこう。また、家電系イベントであるCESならではの、PCやデジタルカメラ系以外の展示品なども簡単に紹介しておこう。


●カシオ、NECからカラー版のWindows CE2.0対応機が登場

□NEC
NECマシン  各社のH/PCが並ぶなか、NECは国内未発表のカラー液晶採用のH/PCモデルを展示。もともと同社は英語版のWindows CE2.0を搭載したDOS版モバイルギアをベースとしたモデルを発売している。だが、このモデルはそのカラー版なのだが、外装やキーボードの色使いなどは98NXのMobioに近い印象だ。液晶は斜め方向からの視認性が今一つでSTN式のようだ。Windows CEのH/PCモデルは携帯性ばかりを重視し、キーボードを軽視する傾向があるが、このモデルはキーボードの操作感もなかなかよく、テキスト入力用にも使えそうな魅力的なH/PCといえそうだ。

□カシオ
カシオパネル カシオペア カシオペア
 カシオは自社ブースでWindows CE2.0英語版搭載の「Colar Cassiopeia」をアクリルケース越しに参考出品。こちらは説明パネルにもあるようにN-VGAサイズのSTN式カラー液晶搭載機で、256色表示。ベースになっているのはもちろん、現行のモノクロモデルであるA-51タイプで、キーボードなども同一のものと思われる。

 今回のCESで発表された話題の「Palm PC」。最初に目にしたのはカシオのブースだったのだが、E-10を見て、一瞬「なんでPalm Pirotがここにあるの?」と思ってしまったほどに、Pirotに似通ったイメージだった。もっとも、よくみれば、操作部も違うし、画面表示などはもちろん別物。また、写真で分かるように、ドッキングベースのスタイルはこのように自立するタイプで、机上での視認性も考慮されたものになっている点が好ましい。英語版のOSということもあって、動きは実に軽快で気持ちよく、メモ用機としてとても魅力的なモデルだった。


●家電への積極的なアプローチを展開したMicrosoft

Windows 98 Windows CE Microsoft Home
Auto PC搭載Porsche Boxster Auto PC


 

 メイン会場の中心にあるMicrosoftブース。ここでは今回発表になった「Palm PC」や「Auto PC」をはじめ、各社のWindows CE2.0対応のH/PCが一堂に展示されており、自由に触れることができるようになっていた。まあ、COMDEX/FallのようなPC系イベントでは実機に触れるのも一苦労するMSブースだが、CESではそれに比べると意外に空いており、混んでいるときでも少し待てば容易に体験できる程度だった。

 ブースは「Auto PC」「Palm PC」「H/PC」はもちろん、「Windows98」、WebTV関連を含めた「Home Theater」などいくつかのテーマ別に積極的なデモが行われていた。しかも、Win98など一部の展示スペースでは、パソコン本体の姿やWin95のデスクトップの姿もほとんど見られなかったのが、妙に印象的。いかにも家電イベントらしい展示内容となっていた。

 会場での人気は「Palm PC」よりも「Auto PC」のほうが高い感じで、ステージでのデモでは毎回立ち見客がでるほど。このあたりはいかにも自動車文化が生活のなかで完全に定着しているアメリカらしい反応に思えた。また、写真で分かるように「Auto PC」自体はほとんどカーステと見間違うようなデザインで、ディスプレイもかなり小さく、日本のカーナビの大画面を見慣れた目から見ると、ちょっと不思議な感じもする。もちろん、盗難が多いお国柄だけに、PCといってもさほど目立たないようにという配慮のデザインといえそうだ。

 また、ブース中央には、Auto PCが装備された、アメリカでも人気の高いポルシェのオープンモデル「Boxster」が展示されており、注目を集めていた(もっとも、オープンカーだけにAuto PCの耐水性や防塵性などのほうが気になるが……)。

 このほか、「Home Theater」のデモではテレビの大画面とPCとの融合やWeb TV関係のデモも行われおり、あらゆる方向からの、家電へのアプローチを展開していたのがとても印象的だった。


 また、シャープ、クラリオンの各ブースでもH/PCおよびA/PC関連の展示がみられた。

sharp Windows CE クラリオンAuto PC



●Audioから望遠鏡、AdultsoftまであるCES

車 天体望遠鏡 カーオーディオ
インテリア マランツ B&W


 CESというイベントは、家電系列の店で扱う可能性のあるものなら、何でも揃っている。まず、CESといっても、いくつかの会場がある。まず、メイン会場となるラスベガス・コンベンションセンターではいかにも家電系イベントらしい、テレビやビデオなどの展示が行われており、Microsoftブースや以前レポートしたデジタルカメラ系もすべてこの会場に集まっている。また、同会場には電話機や天体望遠鏡などの展示もあり、CESというイベントの奥の深さを感じさせる。

 さらに、同会場に隣接したラスベガス・ヒルトンホテルの会場では、オーディオ系の展示が集められており、日本でも有名なオーディオメーカーのブースが立ち並ぶ。オーディオマニアならこの展示を見るだけで一日楽しめそうなボリュームがある。


ナカミチ クラリオン AUTO MEDIA
 そのうえ、これら本会場から車で15分くらい離れたサンズ・コンベンションセンターではCar audioやAdultSoftなどの展示が行われていた(もちろん、この二つの会場間は無料バスが頻繁に運行されている)。なかでも、Car Audio系では通常のセダン系はもちろん、RV車から巨大なトレーラーまでを会場に運び込んでの派手なデモが繰り広げられていた。しかも、今回はWindows CE搭載の「Auot PC」が登場したこともあって、こちらの会場でも「Auto PC」の姿を見ることができた。なかでも印象的だったのは自動車系メディアの専門誌の表紙を、ビルゲイツが飾っていたこと。「Auto PC」の登場は、PCと並ぶ、アメリカ最大級の規模を誇る自動車産業に、Microsoftが参入したことを意味するんだなあ~ということを、実感してしまった。


□「1998 International Winter Consumer Electronics Show(CES)」ホームページ
http://www.cesweb.org/
□参考記事
【1/16】1998 International Winter Consumer Electronics Show(CES)レポート インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980116/ces_i.htm

('98/1/26)


[Reported by 山田 久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp