【業界動向】 |
株式会社野村総合研究所(NRI)は19日、'97年の全世界のPC出荷台数の速報値と'98年の出荷見通しを発表した。これによると、'97年の全世界のPC出荷台数は前年比14.1%増の8,390万台。'97年の同社発表の見通しに比べ、デスクトップPCはほぼ予想通りの前年比13.1%増の6,880万台だったが、ポータブルPCは予想を大幅に下回り、前年比13.0%増の1,390万台だった。
ポータブルPCが下回ったのは、デスクトップPCに1,000ドルPCなどが登場したことで、コストパフォーマンス差が拡大したことが要因。また、ポータブルPCの比率の高い日本市場の成長が急激に鈍化したこと、Windows CEマシンなどのハンドヘルドPCに市場を奪われたことなども原因となっている。同社では、今後新しいアプリケーションが開拓されるまでは、これまでのような20%を越えるような成長は期待できず、年率10%台の安定した成長を続けるとしている。
メーカー別のシェアは、1位がCompaq 13%、2位がIBMとNEC&PB 8%、4位がDell 6%、5位がHP 5%だった。家庭向けに比べ落ち込みの少なかった企業向けに力を入れた、Compaq、HP、Dellがシェアを伸ばしているのとは対照的に、極端に不振であった日本市場が影響して日本企業がシェアを落としている。このように、好調とはいえない市場環境において、大きな企業間格差が生まれている。
なお、'98年の見通しは前年比17.5%増の9,860万台で、内訳はデスクトップ8,020万台(前年比 +16.6%)、ポータブル1,630万台(同 +17.3%)としている。
また、同社は、同時にPC関連のコンポーネントについても、'97年の出荷台数の速報値と'98年の出荷見通しを発表した(下表参照)。コンポーネント市場も明暗を分けており、ポータブルPCが大きなユーザーである液晶ディスプレイが低調であったのに対し、PCの新規出荷の影響が少ないZipなどのリムバーブルストレージは引き続き好調を維持したとしている。
HDD(3.5"<) | HDD(<3.0") | CD-ROM | 液晶(TFT) | 液晶(STN) | |
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'96年 | 9,140万台 | 1,310万台 | 4,990万台 | 630万台 | 540万台 |
'97年 | 1億1,290万台 | 1,490万台 | 8,250万台 | 890万台 | 620万台 |
'98年(見通し) | 1億3,250万台 | 1,710万台 | 8,870万台 | 1,180万台 | 610万台 |
□株式会社野村総合研究所のホームページ
(1月19日現在 この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.nri.co.jp/index-j.html
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970416/nri.htm
('98/1/19)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]