「1998 International Winter Consumer Electronics Show(CES)」
'98/1/8~1/11 開催(現地時間)
開催地:米ラスベガス
●今年の米国コンシューマー市場を占う大イベント
アメリカ最大の家電関連イベントである「Consumer Electronics Show (CES)」が、1/8~11までラスベガスで開催されている。CESといっても、馴染みのない人がほとんどだと思うが、このイベントではテレビやカーオーディオ、PDAやゲーム機からインテリア、天体望遠鏡まで、ありとあらゆる家電関連製品が一堂に集う、COMDEX/Fallを凌ぐほどの巨大なイベントだ。なかでも年始に開催されるラスベガスでの「International CES」は、アメリカという世界最大のコンシューマー市場の一年の動向を占う、きわめて重要な意味を持つイベントといえる。
それだけに、各社ともCESでは今年発売する予定の新製品などを、とにかくモックアップでも、コンセプトモデルでも、プレゼン資料だけでも持ち込んで、大手ディーラーへの積極的なアピールを行うメーカーもあるほどで、アンダーテーブル(大手ディーラーやごく一部の業界関係者向けに商談用の個室や別室で見せる、超マル秘の内覧)ものも少なくない。 昨年のCESでは東芝がアレグレットを発表し話題となったが、今年のCESでも超弩級のモデルが続々登場した。今回はそのなかから、今年のデジタルカメラ関係の動向を占ううえで重要なモデルについてレポートしよう。デジカメ編1ではリコーとビクター、デジカメ編2ではカシオと日立を紹介する。
●ついに姿をみせたリコーのメガピクセルカメラ
プライスもすでに1,000ドル以下とアナウンスされており、価格的にも十分にリーズナブルなモデルになりそうだ(米国では総じて高価で、「オリンパス C-1400L」が1,299ドル、「コダック DC210」で899ドル)。
まず、スタイリングは横型デザインだった同社の従来モデルと違い、今回は縦型デザインを採用している。これはコンパクトカメラ感覚で撮影できることを多分に意識した選択といえる。とにかく、メガピクセル機のなかでもかなりコンパクトで、サイズは「DS-3Z」よりもわずかに大きい程度で、重さも現時点では最大でも10オンス(285g)に収まるという。
主だったスペック(製品版では若干変更される可能性もある)としては、まずCCDは正方画素の130万画素タイプ。出力サイズはSXGAモードで1280×960ピクセル(VGAモードもある)。記録媒体はスマートメディア(4MBカードを付属)しており、記録方式はJPEGのほか非圧縮のTIFFファイルもサポートしている。
レンズは非球面レンズを採用した、35mmカメラ換算で35~105mm相当の光学式3倍ズームで、最短8cmまでの接写ができる。また、レンズ部は180度の回転が可能で、それにともなって内蔵ストロボの発光部も回転する(正面から真上まで?)ようになっている。
ピントはオートフォーカス式。ファインダーは光学式がなく、液晶モニター専用だが、2インチの低温ポリシリコンTFTが採用されている。 気になる画像の記録時間は、現時点はまだFIXされていないが、メガピクセル機のなかでもかなり高速なものになるとアナウンスしている。
電源は単三型4本。このほか、音声録音機能も搭載されている。もちろん、DC-3Zと同じく、ホワイトバランスの固定モードや露出補正機能などもきちんと備わっている。
画質はまだ未知数だが、カタログでは「プロフェッショナルクォリティーであり、8×10インチサイズにプリントできる」とうたわれている。
発売はアメリカでは'98年のearly Summerとなっているが、今回の展示機の操作部が日本語表記だったため、日本向けを先行していることも十分に考えられる。日本では今春発売というところで、どんなに遅くても夏のボーナス前には確実に発売されていることだろう。
ファインダー形式こそ違うが、スペック的にはオリンパス C-1400と同クラスのモデルであり、それを気軽に持ち歩けるサイズで実現した、現時点でもっとも魅力的な1.3メガピクセルモデルといえる。ああ、いまから発売が楽しみだ!
●ビクター初のデジタルスチルカメラ登場
このモデルは、まだ正式なネーミングもないプロトタイプだが、ブースでの話によると、今年の夏頃には発売を予定しており、完全なスタディーモデルではない。しかも、展示機はすでに稼働しており、撮影もできるレベルであり、これはJVCがデジタルスチルカメラ市場に正式に参入することを意味するものといえる。
CCDは1/4インチの補色系・正方画素タイプ。補色系CCDは解像度は高いものの、色再現やダイナミックレンジなどの点で使いこなすのが難しいわけだが、そこはやはり同社がビデオで長年培った技術がベースになっているものと思われる。
厚みこそあるが、ボディーサイズはかなりコンパクト。しかもレンズは光学式のAF10倍ズームを搭載しており、明るさもF1.6と明るい。現在10倍ズームを搭載しているパーソナル機としては「ソニー デジタルマビカMVC-FD7」があるわけだが、それに比べると、遥かにコンパクトで持ち歩きも容易だ。レンズ光学系はビデオカメラのものを流用しているというが、もちろん、CCD回りは本機用に新設計されたものという。もちろん、レンズは180度回転ができ、自分撮りもできるが、ストロボ撮影は正面のみとなっている。
ファインダーは液晶モニター専用で、光学式は搭載されていない。
記録媒体はコンパクトフラッシュ(CF)カードで、ボディー底面から差し込むようになっている。
“VGAで10倍ズームの小型モデル”という、いかにもビデオ系メーカーらしい発想が生きたモデルであり、価格的にも“VGAの上級モデル並み”ということ。このボディーサイズで10倍ズームならば、イベント取材用カメラ(講演などの撮影では超望遠が必要)としても便利そうだし、とにかく液晶を見ているだけでも楽しめる。既存モデルとは違った楽しみ方ができそうな、魅力的なニューフェースとして、発売が大いに期待される。
外観はアルミ素材でできており、質感もなかなか良好で実にオシャレな感じだ。もちろん、IrTran-P対応のデジタルカメラであれば、どの機種でも利用できる点も便利だ。
残念ながら、プリントの品質はあまり優れておらず、昇華型やインクジェット式に比べると明らかに劣るが、簡易プリント用と割り切れば実用レベルといえる。それよりも薄型でコンパクトで、重さもさほど重くないので、カメラといっしょに持ち歩くこともできるため、出先でプリントが欲しいときには重宝しそう。なにしろ、このプリンターをデジタルカメラといっしょに持ち歩けば、“デジタル・インスタントカメラ”的な使い方ができてしまうわけだから、これは魅力的だ。
価格や発売時期はまだ未定というが、そう遠くない時期に発売されそうな、ニュージャンルの携帯用プリンターとして、こちらも大いに期待したい!
□「1998 International Winter Consumer Electronics Show(CES)」ホームページ
('98/1/12)
[Reported by 山田 久美夫]
コンパクトな130万画素、3倍AFズーム「リコー RDC-4300」
メガピクセル機では沈黙を続けていたリコーが、今回ついに待望のメガピクセルモデル「RDC-4300」をCESで発表した。このモデルは130万画素CCD、AF式3倍ズーム搭載の、コンパクトなパーソナル向けモデルだ!
ブースでは、透明なアクリルケースにいれて展示されていたが、外観撮影のために、ごく短時間触れた感じでは、とても高級感があり、しかもコンパクトで手にしっくりとくる、実に感触のいいもの。とにかく、DC-3Zほとんど同じサイズで、130万画素の3倍ズームを実現しているのだから驚きだ。もちろん、レンズを上方に回転させればかなりの薄型になるので、背広の内ポケットなら楽に収納でき、十分に常時携帯できる。これならコンパクトカメラの代わりに気軽に持ち歩けるレベルだ。
光学10倍ズーム搭載のプロトタイプ
ビデオ関連の大手でほとんど唯一、デジタルスチルカメラ市場に参入していなかった「JVC」(日本ビクター)が、プロトタイプながらも、10倍ズーム搭載の小型VGAモデルを発表した。
本機の大きな特徴として、最近採用するメーカーが多くなった電子スチルカメラ用の赤外線転送規格である「IrTran-P」の採用があげられる。これを利用して、プリンターへの出力をおこなうわけだが、今回同時発表されたプリンターもかなり画期的なものといえる。
●電池駆動可能な超薄型プリンターも発表
同社は今回、デジタルカメラと同時に、超薄型で電池駆動可能な名刺サイズ用の携帯プリンターを発表した。写真でも分かるように、一見ポータブルMDプレーヤーのようにも見えるのが、「IrTran-P」対応の新型プリンターだ。 これは浸透溶融型という独特な方式を採用したもの。プリントサイズは名刺サイズだが、この薄さは画期的! しかも電池での駆動ができる、屋外でも気軽に利用できる“携帯プリンター”なのだ。
http://www.cesweb.org/
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