【イベント】


山田久美夫の
「MACWORLD Expo/San Francisco」デジタルフォトレポート(3日目)


「デジタルカメラ編」



 「MACWORLD Expo/San Francisco」は年始早々のイベントであり、Macintosh用の製品が中心ということもあって、デジタルカメラ関連の新製品は少ないが、いくつかの新しい動きがあったので、早速レポートをお届けする。


●PCカード搭載の98万画素CCDモデル、Polaroid「PDC-3000」

説明_1 PDC-3000_1 PDC-3000_2


 今回のExpoで唯一の新製品といえるのが、Polaroidの「PDC-3000」だ。このモデルは'95年に発売された、98万画素の長方画素CCD採用機「PDC-2000」の後継モデルだ。最大の変更点は記録媒体で、従来モデルの内蔵式ハードディスクやメモリーカード(交換・取り外し不可)から、コンパクトフラッシュカード(独自フォーマット)に変更された。

 基本的にビジネスユース向けの製品で、長方画素の98万画素CCDから、画像補間により最大1,600×1,200ピクセルの画像データが得られる。出力結果だけを見れば192万画素相当になる。実際には、そこまでの高解像度は得られないが、画質は現行のメガピクセル機と肩を並べる実力を備えている。

 しかし、レンズは単焦点式(交換不可)で、オートフォーカスも同社得意の超音波測距式。ファインダーは光学式のみで、価格(3,000ドル台を予定)を考慮すると、物足りない部分も多い。コストパフォーマンスの点では、日本メーカーの製品の方が上だろう。

説明_2 SprintScan 45Pro インクジェット用ペーパー


 なお、ブースでは、35mm版から4×5インチ版までのフィルムのスキャンが可能な新型フィルムスキャナー「SprintScan 45Pro」(2,000dpi)や、インクジェット用ペーパーなども展示していた。


●Apple製取り込みソフトをバンドルした“アメリカ版DS-30”

DX-9 ZOOM 取り込みソフト_1 取り込みソフト_2


 富士フイルムは、DS-30のアメリカ版である「DX-9 ZOOM」を展示していた。基本的には日本のDS-30と同じ製品だが、Appleが開発した接続ソフトをバンドルする点が異なる。

 このソフトは、Appleの「QuickTake200」にバンドルされているソフトをリファインしたもので、AppleのQTICを採用することで操作性を向上させている。特徴としては、シリアル転送時に、画面に表示されている画像サムネールを自動転送する機能や、パワーポイントなどで作製したプレゼン用データを転送用アイコンにドラッグするだけで、自動的にリサイズとExif変換を行ない、カメラにアップロードする機能などを備えている。さらに、カメラ側のビデオ出力をMacintoshのビデオキャプチャー機能を利用して取り込み、簡単な操作でQuickTimeムービーが作成できる。QuickTimeムービーを含めたスライドショー機能も搭載している。

 QuickTakeシリーズの今後の展開は全く聞こえてこないが、「DX-9 ZOOM」のように、Macintoshフレンドリーな接続ソフトをバンドルしたモデルが登場するのは大歓迎だ。なお、今のところ、日本国内での同ソフトのバンドルおよび単体発売の予定はないという。


●新製品「ePhoto780」も見られたAgfa

ePhoto1280_1 ePhoto1280_2 ePhoto780


 Agfaは、81万画素の3倍ズームモデル「ePhoto1280」をメインとした展示やデモを行なっていた。また、アメリカでは結構人気が高い、Appleの「e-mate300」とネーミングが似ていることもあって、ePhoto1280で撮影し、e-mate300上で再生する(といってもモノクロ液晶だが)というデモも行なっていた。

 また、ブースには展示されていなかったが、新製品である「ePhoto780」の姿も見受けられた。このモデルは35万画素CCDを搭載しているが、同社独自の補間技術(ジャギーの軽減など)によりXGA(1,024×768ピクセル)の画像が得られる。液晶モニターやスマートメディアカードなどを採用したスタンダードタイプの製品だ。

□関連記事
【'97/11/19】山田久美夫のデジタルカメラレポート:この秋注目の新製品が総登場!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971119/digi01.htm


●人気のオリンパスブース

受賞カップ_1 受賞カップ_2 オリンパスブース_1


オリンパスブース_2  MACWORLD誌で「D-600L」(日本名C-1400L)が'97年のBest Digital Cameraを受賞し、アメリカでも人気の高いオリンパス。今回はコダックやミノルタ、ニコンなどが出展を控えたこともあって、会場内でのデジタルカメラ人気を独占していた。

 さすがに、今年は日本人以外でもデジタルカメラを持った人を会場内見かけるようになり(大半はプレス関係者だが)、デジタルカメラの知名度も高まりつつあるようだ。日本と比較すると、アメリカのデジタルカメラの価格はかなり割高だが、オリンパスの製品は、あまり値引きをしなくても売れていることから、ブランドが定着し始めたのだろう。




●その他メーカー、ショップなど

DC-3
 リコーは今回も「DC-3Z」と「DC-3」がメイン。そろそろメガピクセル機の噂が聞こえてきそうな時期だが、今回のイベントでは残念ながら展示はなかった。




富士通ブース_1 富士通_2
 富士通は、主にデバイス系の展示を行なっていたが、同社のチップを使った各社のデジタルカメラが一堂に展示されていた。これらのモデルの共通点といえば……。




dc Pro アダプター
 デジタルカメラ用アクセサリーの専門ショップである「dc Pro」は、今回もブースを構えており、なかなかの人気だった。コダックやエプソンなどのモデルは、各製品ごとに専用の周辺アクセサリーカタログが用意されているという充実ぶりで、日本国内で見かけないアダプター類もあった。写真は、エプソン「PhotoPC600」(日本名CP-500)用のフロントコンバーター装着アダプタ。




●盛んだったQTVR関連展示

 今回は「QuickTime3.0」が発表されたこともあって、QuickTimeテクノロジーを使ったバーチャルリアリティ「QTVR」関係の展示が目立った。中でも、比較的手軽に楽しめるようになった360度のパノラマ写真は、ポピュラーなものになりつつある。

 「KAIDAN」(カイダン)では、99ドルの簡易パノラマ撮影用雲台(台座)や、1,000万画素を越えるプロ用デジタルカメラを使った本格的なシステムまでを展示し、ブースも賑わっていた。

パノラマ_1 パノラマ_2 パノラマ_3

 また、Appleを始めとしたいくつかのブースでは、パノラマ作製用のアプリケーションのデモが行なわれており、「Spin O Rama」やPanimation「Nodester」、PictureWorks「Spin Panorama」など、比較的手頃な価格のソフトが揃っていた。

 最新版では、360度のパノラマ画像の中で前後に移動したり、特定の部分をクリックすることで別のVR画像にリンクできる機能なども備えており、今後はCD-ROMでのカタログ作製やWeb上でのQTVRデータを利用するケースが増えるだろう。



QTVR_1 QTVR_2

QTVR_3 QTVR_4



□MACWORLD Expo/San Franciscoホームページ
http://www.macworldexpo.com/mwsf98/index.html
□Macworld/Pro Conference情報ページ
http://www.macworldexpo.com/macworldpro/frame.html
□関連記事
【1/7】MACWORLD Expo/San Francisco現地レポート インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980107/macw_i.htm

('98/1/9)


[Reported by 山田 久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp