後藤弘茂のWeekly海外ニュース
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正月明けにWindows CE 2.0版ペン入力デバイス“Gryphon”が登場か


●正月明けはWindows CE 2.0ニュースで

 来年の正月明けは、どうやらWindows CE関連ニュースで明けることになりそうだ。というのは、'98年1月8~11日にラスベガスで開催される家電関連ショウ「Consumer Electronics Show (CES)」で、Windows CE 2.0ベースの新しいデバイスが発表されると見られているからだ。これは、「WinCE-based Gryphons to compete with PalmPilot」(InfoWorld,12/12)などが伝えているもので、Windows CE 2.0版PDAである「Gryphon」(コード名)がいよいよ登場するという。これは、最大240x320ドットのディスプレイを備えたペン入力デバイスで、CompactFlashカードなどもサポートされるそうだ。W/PCと呼ばれるこのタイプのデバイスは、Windows CE 2.0の発表時に予告されていたにも関わらず、COMDEXでは試作品もほとんど見ることができなかった。しかし、MicrosoftがCESでWindows CE 2.0関連の発表を行うというウワサは、9月頃から流れておりCESでは登場するだろうと予期されていた。Gryphonは、Windows CEプロジェクトの初期からの計画のひとつであり、CESで実機が登場する可能性は高いだろう。問題は、それ以外のWindows CE 2.0デバイス--サブノートや車載タイプといった展開がどれだけ具体的に見えるかにある。このあたりのデバイスの進展は、今のところ情報が交錯していてまだ見えない。


●Intelは低価格Pentium II用チップセットを投入か

 さて、このところ何回か米Intel社が来年中盤から投入し始める低価格版Pentium IIの話題を伝えているが、これに関して新しいニュースが出てきた。「Intel readies chip set, motherboards for cheap Pentium II systems」(InfoWorld)によると、Intelは新MPUに合わせてチップセット「440LXR」とマザーボードフォームファクタ「Micro ATX」を発表するという。これは、COMDEXの際に行われたQ&Aセッションで米Intel社の副社長兼Business Platform Group本部長、パトリック・P・ゲルシンガー氏が語っていた「マザーボード、パッケージ、システムアーキテクチャ、冷却システム、電源などあらゆる要素において、コスト削減を考える必要がある」というコメントとも一致する。Intelがこうしたローコスト版チップセットやマザーボードデザインを提供するのはほぼ確実と見ていいだろう。この記事によると、440LXRは現行のPentium II用チップセット440LXから機能を削ったものとされているが、これもかなりありえるだろう。実際には、440LXから若干の機能を削ったとしてもそれでチップのコストが大きく下がるわけではない。しかし、既存のチップセットビジネスに影響を与えないで、低価格チップセットを提供するには、機能制限版を出す必要があるのではないだろうか。ちなみに、このチップセットに関する記事は「Intel Shows Low-End Chip Set For Stripped-Down Pentium II」(Electronic Buyers' News,12/9)にもある。


●Intelチップのグロスマージンは80%

 こうしたローエンド市場制覇にも向かうIntelの戦略を総合的に分析しているのが「INTEL Can Andy Grove keep profits up in an era of cheap PCs?」(businessweek)だ。この記事にはとびきりのスクープはあまりないが、ともかくよくまとまっていて証言も豊富で、Intelがローコスト版Pentium IIを出さざるを得なくなった理由などがよくわかる。Intelと各社の主要チップの推定製造コストと推定グロスマージンの表「Intel's Best Margins Come from Its Newest Chips...」もついているので、Intelの高利益が最新MPUを高価格で売ることで成り立っていることがよくわかる。この構造では、確かにPCの平均売価の下落は恐いだろう。もっとも、そうしたトレンドに対して、方法はどうあれ、これだけ迅速に反応できるというのも、やはりIntelならではかも知れない。


●MicrosoftはIEバンドル版とIEなし版の2バージョンのWindows 98を用意?

 ところで、先週の衝撃的な連邦裁判所による司法省対Microsoft裁判の仮決定は、どんな波紋を業界に呼んだだろう。意外だったのは、Microsoftの株価があまり落ちなかったことだ。これはウォールストリートのアナリストにも意外だったようだ。「Ruling on Web-Browser Market Hurts Microsoft -- but Not Much」(The Wall Street Journal,12/15、有料サイト、 http://www.wsj.com/ から検索)によると、投資家はこの程度ではMicrosoftの予測利益は変わらないと判断、パニックにならなかったということらしい。つまり、Microsoftは製品(Windows 98)をそのまま出せるだろうと見なしたということだ。

 こうした楽観的な見方は、経済紙ではかなり広まっている。「Microsoft Seen Shipping 2 Versions Of Operating System」(The Wall Street Journal,12/12、有料サイト、 http://www.wsj.com/ から検索)では、Microsoftはまずい場合でもInternet Explorerをバンドルしたバージョンとバンドルしないバージョンの2バージョンのWindows 98を出せるというアナリストの予測を紹介している。また、Windows 95のOEM向けマイナーバージョンアップである「Windows 95 OEM Service Release (OSR) 2.5」もIEを同梱する予定と言われているが、「Judge bars Windows bundling as new OS ships」(Electronic Engineering Times)によると、こちらも同様に2バージョンが登場する可能性が記事では示唆されている。


('97/12/12)

[Reported by 後藤 弘茂]


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