サラブレッドブリーダー97
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「サラブレッドブリーダー97 フォー・ウインドウズ」は、いままで発売されていた「サラブレッドブリーダー・フォー・ウインドウズ」のバージョンアップ版で、昭和39年~平成8年までの中央競馬レースの史実にもとづき進行していく競馬シミュレーションだ。その歴史の中でプレイヤーが生産した馬を走らせ、歴代の名馬たちと戦わせていくところに、このゲームのおもしろさがある。
●期間は33年間、その間に最強馬を作成する
なぜ、昭和39年から始まっているのだろうか? それは名馬シンザンが三冠馬となった年だからだ。正直にいってしまえば、この頃の競馬について、私もあまり詳しくはしらなくて、本で読んだり、ビデオで見た程度。だから、ゲーム初期に登場する馬名をみても、よくわからない。もちろん、シンザンは知ってるし、その後、五冠馬となったことも知ってる。でも、あんまり思い入れがないので、最初は淡々とゲームをすることになる。多くのプレイヤーもそうだと思う。でも、やってるウチに知ってる名前がぞくぞくと登場するため、燃えてくるのだ。
サラブレッドブリーダー(以下、サラブリ)の特徴は、なんといっても馬の表情で体調の変化を見るところ。調教の後、とくに調子に対するコメントが出るわけでもない。そのため、体重と馬の表情の変化を見ながら、調教やレーススケジュールを組み立てる。また、ダビスタなどに比べて、調教自体も見極めが難しい。調教は、坂路・本馬場・プールの3種類あり、それぞれ短距離・中距離・長距離向けの調教となっているが、馬の適正距離に合わせて調教を選ぶ。これによって、馬の能力が発揮できるようにするのだ。
サラブリでは、実在した馬が史実のとおりに走る。シンザンは三冠を達成し、メジロラモーヌは牝馬三冠を達成する。この史実の中で、プレイヤーが生産した馬たちがどの程度活躍するかによって、33年後の評価が決まるのだ。
●強い馬を作るには?
では、どのようにしたら強い馬を生産できるのか。競馬シミュレーションでは、みんなそうだが、これといった攻略法はない。ただ、サラブリでは代重ねが有効な手段として用いられている。代重ねというのは、たとえば、ノーザンダンサー系の種牡馬とノーザンダンサー系の繁殖牝馬の間に生まれた仔に、さらにノーザンダンサー系を掛け合わせることだ。これを4代くらい続けると、かなりの能力を秘めた仔が生まれることがある。ダビスタの場合、代重ねのメリットというのはない。というのも、系統の限界値が設定されているため、いくら血を重ねても、能力が伸びないのだ。ところが、サラブリでは限界値がないため、いくらでも伸びる余地がある。
サラブリでは、適正距離によって馬の強さが決定される。すべての距離に対応できればいいのだが、そんな馬は存在しない。したがって、馬の適正に合わせた調教が必要になる。適正距離は両親の能力を受け継ぐ。仔は影響力の強い親の能力を色濃く受け継ぐのだ。そして、成長力は距離適正の伸びを決定する値だ。この値が高ければ、産駒の能力は格段にアップする。
さらに、サラブリでは代替値という値が重要だ。これは、すべての距離の能力を伸ばす値だ。これは成長タイプによって変わってくるが、産駒の成長期の間だけ伸びる能力だ。ただ、この値は表面上に出てこないので、データベースで確認しよう。
33年という期間は、けっこう長いので、自家生産馬によるインブリード(近親交配)が発生するだろう。この影響はいくつかある効果の中からランダムで決められる。これを利用するのも、ひとつの手段だろう。もっとも、いいことばかりではないので、注意。
●ドラマチックなレースを再現できるのがサラブリ
トウショウボーイ、テンポイント、グリーングラス。この時代をTTG世代などといって、クラシック戦線を賑わせたのが昭和51年のこと。この時機から数年にわたって、これら名馬の時代が続くことになる。もっとも、グリーングラスに関していえば、菊花賞にやっと間に合ったという感じなのだが。
トウショウボーイとテンポイントは皐月賞、ダービーと戦っているが、結果は知ってのとおり、皐月賞はトウショウボーイ、ダービーはクライムカイザー、そして菊花賞はグリーングラスが勝っている。テンポイントが本格化するのは5歳になってからだ。5歳時のテンポイントは7戦6勝と無敵の強さを誇った。この年の有馬記念では、TTGの3頭が出走するのだが、トウショウボーイとの叩き合いの末、テンポイントが勝利する。ちなみに、この年マルゼンスキーは4歳で有馬記念に間に合わせようとするのだが、結局故障が再発し、そのまま引退する。もし、順調に調整が進み、出走していれば……。そして、翌年、昭和53年の日経新春杯であの悲劇の事故が起こるのだ。
こんなドラマチックなレースを再現するのがサラブリなのだ。強い馬を作るのもいいが、競馬の歴史を顧みるのもいい。いろいろな楽しみ方ができるのが、サラブリのいいところなのだ。ダビスタなどと比べると、知名度という点では劣るものの、おもしろさでは負けてない、と思うのは私だけだろうか。
[Reported by 尾道晃]
□Weekend Summary
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