後藤弘茂のWeekly海外ニュース
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Intelの新MPU?「PentiumAE II」


●IntelがPentium II高速版を8月のカンファレンスで技術発表

 「PentiumAE II」って何だ?
 これは先週明らかにされた半導体関連のカンファレンス「HOT Chips IX」のプログラムに載っていた、米Intel社が発表を行う新MPUだ。Pentium IIの高速版と見られ、Intelが'98年に投入する「Deschate」か「Katmai」だと思われるが、まだ詳細は明らかになっていない。HOT Chipsは、研究発表の場なのでこの名称が即製品名という話ではないのだが、名前がつけられているのが気になるところだ。また、もしこれが「MMX2」をインプリメントしたPentium IIだとすれば、MMX2の内容がある程度は明らかになるかもしれない。ちなみに、Intelの発表項目には「Intel 82440LX PCI Chipset」も入っている。通称440LX、AGP対応のチップセットだ。しかし、ということは8月24~26日のHOT Chipsまでは、440LXの正式出荷はないということ?


●10月にはMercedの命令セットを発表

 Intelは、さらにHOT Chipsの次のMPU関連のカンファレンス「Microprocessor Forum」(10月13~16)では、Pentium IIの次世代の「Merced」の概要を明らかにするらしい。これは「Intel and HP to reveal more about 64-bit Merced chip」(InfoWorld Electric News Brief,7/9,この記事はすでにサイト上にない)が伝えていたもので、Mercedの採用するIA-64アーキテクチャの64ビット命令セットに関して発表を行うようだ。また、このカンファレンスでは、IntelはDRAM設計メーカーの米Rambus社とともに、彼らが次世代のPC用メモリの標準として開発を進めているDirect Rambus DRAMについても発表が行われるらしい。やれやれ、相変わらず半導体業界も忙しい状態が続きそうだ。


●San Jose Mercury Newsがアメリオ氏独占インタビュー

 さて、先週から吹き荒れる米Apple Computer社関連ニュースの嵐はまだまだ止みそうにない。じつにさまざまなニュース・観測・ウワサが乱れ飛んでいるが、なかでも目立ったのは、元CEOギルバート・アメリオ氏のインタビューに成功したのは地元紙のSan Jose Mercury Newsだった。アメリオ氏は、San Jose Mercury Newsが(シリコンバレーの)コミュニティ新聞だからインタビューに応じることに決めたと言っている。このあたりは、さすがだ。インタビュー記事は「Amelio: 'I know that I've rescued this company'」(San Jose Mercury News,7/11)で、完全なインタビューのテキストは「Transcript of Gil Amelio's interview with the Mercury News」(San Jose Mercury News,7/11)にある。内容は、辞任前後のてんまつから、見通しなどで、本人の口からなので結構迫力がある。もっとも、インタビュアーは結構突っ込んでいるのだが、アメリオ氏が慎重な答えをしているので、いまひとつ食い足りない部分もある。例えば、辞任は極めて平和的で、経営陣も自分の努力は認めているはずだとしきりに強調。「ジョブズとは親しい友人だと思うか」――つまりジョブズ氏と敵対し始めていたのではという質問に関しても、「彼ら(Appleの幹部)はみんな友達……」とつまらない回答しかしていない。しかし、今回の事件が友好的に行われたという点をあまりに強調するあたりが、逆にきな臭くも見える。問題の、スティーブ・ジョブズCEOという説をどう思うかという件に関しては、「わからないが、そうは思わない」「彼はPixerのCEOで満足しているとマスコミに何度も語っている」といった紋切りの答えしか返していない。


●AppleのボードメンバーがジョブズCEOを否定

 ジョブズCEOの可能性の件に関しては、MSNBCにスクープがある。「Amelio resigns as Apple's CEO Jobs gains expanded role in boardroom overhaul」(MSNBC)では、ケーブルニュースのCNBCがAppleの経営陣で米DuPont社のCEOであるエドガー・ウラード氏にインタビューした内容を伝えている。そのなかで、ウラード氏は、ジョブズ氏はCEOの座を求めないと明確に言ったと強調している。このコメントに関しては、ごていねいなことに肉声もRealAudioで提供されている。また、「Board member's inside story on Amelio」(CNET NEWS.COM,7/10)でも、同じような発言をしている。このウラード氏は、アメリオ氏のインタビューを読むと、辞任を求める経営会議に出席するようにアメリオ氏に連絡してきた人物だ。今回の、CEO交代劇のカギの人物だと思われる。その彼が、ジョブズ氏のCEOはありえないと、ジョブズ氏の言質を取った上で言っているのだから、その可能性は低いのだろうか。実際に、ジョブズ氏も火中の栗を拾いたくないのかもしれない。


●ヴォズニアック氏はかやのそと?

 ところで、今回、ジョブズ氏と並ぶApple創設者スティーブ・ヴォズニアック氏はいったいどこへ行ってしまったのだろう。ぜんぜんニュースにも出てこないと思ったら、「Wozniak Role At Apple Uncertain」(COMPUTER RESELLER NEWS,7/11)というニュースがあった。この記事の中で、ヴォズニアック氏はアメリオ辞任に関して、経営陣のだれからもコンタクトを受けなかったと答えている。これが本当なら、彼は、完全にかやの外に置かれていたことになる。


●MicrosoftはIE 4.0のβ版の提供を開始

 ところで、米国時間で7月15日、つまりもうそろそろ、MicrosoftのサイトではInternet Explorer 4.0のβ版(実質的には2つ目のβ)のダウンロードサービスが始まるはずだ(正確な開始時間は不明)。「Explorer beta ready to channel」(CNET NEWS.COM,7/14)などが伝える通り、今回のβ版からはプッシュやJ/Directなどの技術も加わる、より完成形に近いバージョンになる。これでようやくIE 4も製品版が見えてきたわけだ。まだ公式には最終版は夏の終わりに提供することになっているが、それより遅くなったとしても、9月頃には見えているだろう。そして、これは、IE 4の開発チームには夏休みがないことを意味している。ご愁傷様。

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('97/7/15)

[Reported by 後藤 弘茂]


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