今年も昨年に続き「Windows World Expo」をターゲットに続々と新製品が登場。実質的に各社とも、今回のショーが初の一般公開というあって、話題のデジタルカメラを展示しているブースはかなりの賑わいを見せていた。
今回はその中から、主だった製品をピックアップして紹介しよう。
カラーザウルス発表時からデジタルカメラユニットを用意し、PDAとデジタルカメラという情報ツールとしてのデジタルカメラのあり方を提示していたシャープ。そして今回は、いよいよその本命といえるデジタルカメラユニット付きの「パワーザウルス」を発表。
ユニット自体はもちろん取り外しができ、別売もされるわけだが、35万画素で2倍ズーム付きというなかなか魅力的な仕様。しかも、本体自体が先代のカラーザウルスよりも大幅に小型化されPI-8000並み(厚みはある)になった。このサイズならPDAとして十分常用できるレベルだし、デジタルカメラユニットを装着すれば、パワーザウルス側のカラー液晶をモニター代わりに使えるので、使い勝手も上々。メモリ容量もかなり大きいため、デジタルカメラのデータをかなりの枚数記録しておくこともできる。ビジュアルを含めたトータル情報機器として、かなり魅力的な存在となっている。
残念ながら、ブースがかなり混み合っていたこともあって、使うことはできなかったが、完成度いかんでは、かなり魅力的なPDA&デジタルカメラとなりそうな気配を感じた。久しぶりに、「ぜひとも使ってみたい!!」という衝動に駆られてしまった。
会場の一番端にあるT-ZONEブース(というか即売場)。即売目当ての来場者でごった返していた同社のブースの片隅で、実は正真正銘の本邦初公開モデルがあった。それが超薄型の低価格モデル「MITSUBISHI DJ-1000」だ。本機は、液晶モニターこそないが、超薄型でしかも記録媒体にコンパクトフラッシュ(CF)カードを採用した、低価格モデル。同様のものはすでにCOMPUTEX TAIPEI '97などでも他社ブランドのOEM製品として発表されていたが、ついに国内でも公開されたわけだ。
詳細は関連記事に掲載されているが、手にしてみると、その薄さには本当にビックリする。よくこの薄さでCFカード付きモデルを作ったもんだと、素直に感心してしまった。これだけ薄いと、常時胸ポケットに入れておいても、全く苦にならないレベルだ。画像サイズはVGAより一回り小さく、コダックDC-20とほぼ同じピクセル数のもので、会場ではその場で撮影したものをプリントアウトするというデモを行っていたが、そこで見る限り、写りはまずまずといったところ。メモ用として考えれば十分なレベル。
しかも、これが2MBのカードとPCMCIAアダプターまで含めて実販19,800円というから、さらにビックリ!。これなら、オモチャ感覚で気軽に買えそうだ。
実は実機を目にするのは今回が初めてだったのだが、そのサイズには結構ビックリ。外観はなんとなく、松下のCradShot風なのだが、サイズはふた回りくらい大きく、迫力は超弩級。なにしろ、女性の顔なら簡単に隠れてしまうほどで、Cybershot系とは全く別系列の製品だ。会場では単焦点レンズ付きモデルと、10倍ズーム付きの両方を手にすることができたが、やはり魅力的なのは10倍ズーム付きのほう。サイズはともかく、価格もまずまず手頃なレベルだし、液晶も大きく、記録媒体も安価なので、ちょっと面白そうだ。もっとも、どうせなら、同じユニットを使って、より小型化したメモリーカード式モデルをぜひとも作って欲しい!と、素直に思ってしまった。
オリンパスは先日発表したばかりの、話題の小型な81万画素モデル「C-820L」をメインにした展示とデモを実施。先代の「C-800L」に比べるとふた回りくらい小型化され、待望の交換式メディア(3.3V専用のスマートメディア)の採用した意欲的なモデルだが、なによりもこのようなイベントでは、液晶モニターに見え味のいい低温ポリシリコンTFTを採用した点も功を奏して、会場での人気も上々。
いっぽう、ライバルの「エプソン CP-500」は同社ブース内でのセミナー専用という感じで、通りがかりの来場者が気軽にカメラを手にできない展示方法だったのが、とても残念だった。
今回のWindows World Expo最大の目玉となったのがWindows CE日本語版の発表ということもあって、カシオブースはカシオペア一色だった。QV-200は、ブースの側面の目立たない場所に展示されていた。QVシリーズはすでに市場に定着したとはいえ、個人的にはちょっと寂しい感じだ。
また、参考出品として、名刺やカレンダーなどが簡単に作成できる新型のデジタル式シールプリンターが出品されていた。サイズも結構コンパクトで、しかも付属ソフトによりパソコン側で名刺などの文字を入力し、画像と合成して、簡単に出力できる機能を備えており、これはなかなか魅力的。まだ発売時期などは全く未定というが、どうせなら、統一規格になる予定のIrDAの画像転送規格「IrTran-P」を採用した形で製品化して欲しいところだ。そうすれば、カシオだけではなく、将来的にはソニーやシャープのデジタルカメラからのプリントできるようになるため、より魅力的な製品になると思うのだが……。
富士フイルムブースは今回、DS-300やDS-20など魅力的なデジタルカメラが出揃ったこともあって、結構活気に満ちていた。さらに先日正式発表されたばかりの「FDIサービス」と呼ばれる、一般カメラ店や窓口経由でのデジタルカメラなどのプリントサービスの紹介はもちろん、街角でプリクラ感覚でデジタルカメラのプリントがセルフサービスでできる「あらじんプリント」なども展示。
いずれにしろ、富士が積極的に推進しているプリントサービスが、適当な価格で本格稼働し始めれば、これまでデジタルカメラに馴染みが薄かった人でも気軽に使える環境になる可能性が高いため、今後の動向に注目したい(個人的には価格設定次第だと思っているのだが、現時点では結構高価なものになりそうで心配だ)。
●京セラはデータスコープ用通信アダプターを正式発表 京セラは今回もビジネスショーと同じく、DR-350とデータスコープでの展開をデモ。しかも、いつの間にか、ビジネスショーで参考出品されていたデータスコープ用通信アダプターを正式に発表していた(16,000円)。これはDR-350で撮影した画像をデータスコープ経由でPIAFSで画像通信するもの。価格も安く、なかなかユニークなものだが、ブースでもデモを見る限り、一枚一枚マニュアル操作で転送するもので、操作が面倒な上、ソフトウエア側の作り込みが浅く、あまり現実的なものではなかった。もっとも、このあたりはソフトウエアのバージョンアップで解決できることだと思われるが、画像通信では、データスコープ内のメモリーのユーザーエリアが極端に少ないのが仇になっているのは事実。初期段階からもう少しシステム化した展開ができなかったものだろうかと、ひとりのデータスコープユーザーとして、正直に思ってしまった。
また、参考出品ながらも面白かったのが、データスコープを使った簡易テレビ電話。こちらはデータスコープの下側にCCDカメラをユニットごと装着し、モノクロ液晶に画像を表示するもの。もちろん、モノクロ液晶なので画像は不鮮明だが、将来的にはかなり楽しみな分野といえる。もっと実用的でお洒落なモデルに成長すれば、テレビ電話機能付きPHSとして、コギャルの間で大ブレイクする可能性すらあり、今後の動向に大いに注目したい。
また、変わったものではPCカード式のビデオキャプチャーカードと、27万画素CCDユニットのセットが展示されていた。これからはノートPCでも画像を扱うことが日常的になる可能性が高いだけに、このようなカードやCCDユニットが今後続々登場するのではないかという予感がした。
【ニコンブース】 |
【ニコンブース】 |
【COOLSHOT】 |
【レイノックス アタッチレンズ】 |
●超ユニークな「ニコン COOLPIX300」、カラーモデルを追加「九州松下 COOLSHOT」 このほか、ニコンブースでは先日発表されたばかりの「COOLPIX300」のデモを盛んにおこなっており、なかなか好評を博していた。また、知らぬ間に九州松下は「COOLSHOT」のシルバーメタリックモデルを追加。すでに市場に出回っているという(個人的にはオリジナルよりこちらの方がカッコイイ!と思った)。
また、デジタルカメラ用のアダプターレンズメーカーであるレイノックスは、今回「NEC Picona」用や「キヤノン Powershot 350」用のアタッチメントレンズなど、さらに対応機種を増やしていた。
今回のWindows World Expoで、この夏の新製品はいちおう、一通り出揃ったわけだが、以前にも増して大混乱状態が続いていることには変わりない。だが、今回の「シャープ パワーザウルス」や「MITYUBISHI DJ-1000」「ニコン COOLPIX300」のような個性的な機種が続々登場してきたことで、高画素化とは違った、ビジュアルメモとしてのデジタルカメラの存在がより現実的な形でクローズアップされてきたのが、今回のイベントの大きな動きといえる。今後の展開が大いに注目される。
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm
('97/6/27)
[Reported by 山田 久美夫]