【リレー連載 物欲道修行記】


リレー連載 物欲道修行記

第44講 業界通情報講座 講師:一ヶ谷兼乃

 一ヶ谷講師はPC/AT、98のみならず、Mac歴も深い。というのは知っていたのだけれど、昨年もまた新しいMacを購入されていたというのは知りませんでした。Macはカード類を増設するユーザーが少ないこともあって、カードが高いのが難点ですが、一ヶ谷講師は友人に買ってきてもらうという産地直送により、ビデオとSCSIのカードを購入されたとか。2枚で64,000円弱というのはお買い得。PC Watch読者は、いろいろな機種をお持ちの方が多いので、いまはPC/ATメインだけどMacも持っているという方も少なくないと思います。たまには海外サイトでショッピング&Macのお手入れなどはいかがでしょう。
(最近、68040搭載のアクセラレーターがいまだに十数万で販売されていることに愕然とした編集担当)

Macintoshもバリチューしなきゃ

実はMacintoshも持ってるのね

 ここ数年、AT互換機系の記事を書いているため、私がAT互換機しか使っていないようなイメージを持っている方も多いと思うが、実は自宅にはMacintoshを2台所有している。持っている機種はColorClassic 2とPowerMacintosh 7600/120だ。
 私がMacintoshを初めて購入したのは、「The Seven Colors」というゲームソフトをプレイするためだった。その後、徐々に買い換え、現在使っているのはPowerMacintosh 7600/120で、'96年発売直後に購入したもの。1年ほどしか経っていないものの、既にPowerMacintosh 7600シリーズは、7600/200という機種が登場し、実売価格はそれほど変わらないが、プロセッサはPowerPC 604 120MHzからPowerPC 604e 200MHzに、内蔵CD-ROMは4倍速から12倍速に進化している。AT互換機に負けないスピードで、Macintoshもコストパフォーマンスが向上してきている。
 AT互換機の場合、頻繁にパーツを交換しているせいか、金銭的な感覚も麻痺していて、それほど過去を振り返ることがなく、コストパフォーマンスうんぬんを考えたことはない。しかし、Macintoshに関しては、あまりにも進化しているような気がしてしょうがない。新型マシンのパフォーマンスをうらやましく感じるのは、パソコンユーザのさだめのようなもので、しかたないことだが。
 もう一台のColorClassic 2は、FirstClassというコミュニティネット構築ソフトのサーバとして、24時間稼動している。このサーバは、FC-LinkというFirstClassサーバのネットワークに接続されており、日夜、日本各地からメイルや掲示板のメッセージが送られてくる。これは、ハードディスクを容量の多いものに交換してあるが、ほとんどトラブルもなく、非常に優秀なマシンだ。


拡張スロットの隙間

PCI Bus
増設する前の拡張スロット。 PCIバススロットが3基ある

 Macintoshを買って、最初にしたことはVRAMとメモリの増設だ。しかし、せっかく拡張スロットがあるのに、何も挿すものがない。これは、購入した時点からずっと気になっていた。「拡張スロットが埋まっていないなんて、パソコンじゃない……」と。

 今回も物欲のきっかけは、テレコム道家元の法林氏だ。「海外だと、PowerMac用のVideoカードが安いので、一緒に輸入しようよ」と誘惑された。確かに、販売価格を聞くと、国内流通版と比べて結構安い。アメリカの友人が、日本に帰国するとのことで、そのタイミングで購入してもらうことになった。
 私がMacintoshを数年触っていて、なんとなく気になっていたのがハードディスクからのデータの読み書き。実際に計測したことはないが、同価格帯のAT互換機に比べて、データアクセスがもたついているような感じを受けるのだ。そういうこともあって、ついでに、SCSIホストアダプタも頼んでしまった。
 実際に購入したVideoカードは、AT互換機の定番となっているMatrox社の「Millennium(4M WRAM)」のPowerPC版だ。SCSIホストアダプタも定番のAdaptec社「AHA-2940UW」のPowerPC版「PowerDomain 2940UW UltraSCSI Accelerator 」を注文した。
 これらの拡張カードで、空いている3つのPCIスロットのうち2つを埋めることができる。本来、拡張スロットは、カードを挿すためにあるもので、空いたままではマシンに失礼だと、常々考えている私にとって、やっと安堵のときが訪れるのだ。

Millennium PowerDomain
Power Macintosh版のMillennium。見た目AT互換機用と同じ。4MのWRAMを標準搭載している PowerDomain 2940UW UltraSCSI Accelerator。Mac版はRomソケットがないのが特徴的


拡張カードの増設

 私が持っているPowerMacintosh 7600シリーズの筐体は、マシンの中をいじるのがとても簡単だ。作業スペースさえあれば、ドライバなどの工具は一つも必要ない。今回の作業も、工具は何も使用せず終了した。
 ケースを開けるには、上ブタの部分を引き出すようにずらすだけでいい。空いている拡張スロットの板は、AT互換機とまったく同じものだが、簡単に手で外すことができる。続いて、VideoカードPCIスロットに挿してみて、とりあえず一度その状態で電源を入れ、ちゃんと動作するかを確認する。起動して、Millenniumが動いているのを確かめたら、電源を落とし、SCSIホストアダプタを拡張スロットに挿入する。
 SCSIホストアダプタに付属している50ピンのフラットケーブルを使って、内蔵しているハードディスクドライブを接続する。内蔵CD-ROMドライブは、従来どおり標準のSCSIバスに接続した。特に理由はないが、とりあえず付属のフラットケーブルには、3つしかコネクタがなかったので、CD-ROMドライブは接続しなかったということである。
 この時点で、またMacintoshに電源を入れ、ちゃんと内蔵ハードディスクからシステムが起動するかを確認する。AT互換機でも、SCSIホストアダプタを入れ替えると、HDの内容を認識できなくなることがあるので、気になっていたが、特別問題なく起動したので、ケースの上ブタを閉めて増設作業は完了となった。
 ここまででかかった時間は、30分程度で、2枚の拡張カードの増設作業が終了した。なんともお手軽なバリチュー作業だ。その後、PowerDomainに付属してきたドライバを内蔵ハードディスクに上書きした。

増設後のスロット Millennium設定画面 PowerDomain設定画面
2枚の拡張カードを増設した後。左側がMillennium、右がPowerDomainだ Millenniumの設定ウィンドウ PowerDomainに付属のユーティリティ。SCSIディスクのフォーマットや、Mount/Unmountなどもこれで行なう


バリチューの実質的&精神的効果は

 気になる効果のほうだが、確かに以前よりも快適になった。何をやるにもマシンの反応が速くなったような印象がある。標準のVideo回路だと、解像度を上げていくと多少画質が甘くなる傾向があったが、それがクッキリと映っている。表示速度も向上しており、特にテキストのスクロールが速くなっているようだ。これが単にビデオカードだけが原因なのか、SCSIホストアダプタとの相互効果によるものかはっきりしないが、環境の向上には確実に効果があった。
 実際に、ベンチマークプログラムで拡張前と拡張後の結果をとって比較すれば、より詳しい性能の向上が確認できるのだろうが、今回は関係のないコトだ。なにしろ、今回の目的は空いている拡張スロットを埋めること。単に2枚の拡張カードを増設しただけでも、満足しているのに、環境が向上したとなれば、うれしい限りだ。

 私にとって、パソコンは嗜好性の高いもので、特にMacintoshに関しては仕事で使うこともほとんどなく、道楽に近いものだ。何か手を加えて、満足感を得るといった、パソコンの楽しみ方もあっていいはず。今回のバリチューの結果は、そういった切り口で考えると大成功だと評価できるのではないだろうか。
 最後になってしまったが、参考までに、今回購入した2枚の拡張カードの購入金額は、合計で64,000円弱であったことを付け加えておく。

[Text by 一ヶ谷兼乃]



【PC Watchホームページ】



ウォッチ編集部内PC Watch担当pc-watch-info@impress.co.jp