『スタパミン(1,400円、左)』は、テックログイン誌およびテックウィン誌に連載された(いまも連載中)「スタパ齋藤のどうなんだろ」を1冊にまとめたもので、いつものようにパワフルでサイバーでディープなスタパ氏の世界が繰り広げられているのですが、仕事中にも読めるよう、「ボスが来た」ページ(緊急避難用ページ)まである、配慮の行き届いた仕上がり。表紙、帯も裏返すとまったく別の本のようになる凝った作りになっています。
『まちがいだらけのQ&A(1,400円、右)』は、アイコンで連載中の「スタパ斎藤のQ&A専科」をまとめたもの。こちらはまだ出ていないので、内容はアスキーの編集担当様からいただいた広告コピーを見ると、“「気合編」、「ノウハウ編」、「うんちく編」の3つのパートに分けて、寄せられた読者の質問に答えています。”という全パソコンファン必読の内容になっているもよう。
以上、物欲道をめざすユーザー必読の書、『スタパミン』を3冊、『まちがいだらけのQ&A』を5冊、アスキー様の提供により読者のみなさまにプレゼントさせていただきます。例によって、ご希望の方は編集担当あてメールをお寄せください。締め切りは3月31日です。当選された方には編集部よりメールにてご連絡します。(編集部)
世間に出回っている紙にはA版とB判があって、B判というのはA判よりちょっと大きいサイズの紙だ。例えばどこにでもある(非役所的な)事務書類にはよくA4判の紙が使われる。A4判のコピー用紙もよく使われる。出版社に送られてくるメーカーのプレスリリースもほとんど全部A4判だ。家電店に置いてある各種カタログなんかもみんなA4判だ。A4判の雑誌も多い。要するに、俺がよく扱う紙はだいたいみんなA4判か、その半分のA5判なのだ。 この俺のA4判ワールドは問題ない。常にスッキリまとまって、束ねてよし、ファイルしてなおよしの粒揃いな紙の軍団なのだ。まったく規律が整っている。だが、そこに反逆者が必ず入り込む。B4判だ。どう足掻いてもこのB4判が入り込んでしまうのだ。
原因は、ファックスだ。
たいていの家庭用ファックスはB4判なのだ。しかもほとんどが感熱記録紙を使うタイプなので、B4判なうえにペラペラのクシャクシャだ。しかも必ずいつも丸まっている。まったく邪悪なサイズだ。
俺がA4判の書類をまとめファイルしてスッキリしていると、あの忌々しい装置からデロデロデロっとB4判の紙が!! 「へっへっへ齋藤さん、また来ましたぜ。あたしゃぁそのA4の連中とは違ってねえ。ちょいと図体がでかいんだ。そんな狭いファイルにゃあ入りたくありませんねえ。それにそいつらと違ってあたしゃあ体が柔軟だ。ボールペンで書き込みなんぞしても、あっしは生まれつきインクのノリが悪くてねえ。あと時間が経てば黄色くなりますわな。それにそんなゴリゴリの紙の間に入れられたんじゃあ、あっしにも考えがある。クシャってなっちゃうよ。それがイヤだったらB4専用の居場所を作るこってすな」などと抜かしやがるような感じがする!! 許せんB4!! 貴様なんざシュレッダーに……。
だが、ライター稼業の俺にとって、ファックスのB4排出攻撃をどうすることもできない。ライターにファックスは必須。俺はムカムカしながらいつも、整然とまとめられたA4判の資料の間に、ハミ出てムカつくB4の感熱記録紙を入れているのだ。
LaserWindOffice105W |
なんで今頃この105Wのコトを書いたのかというと、単に書きそびれてしまったからなのだが、このたび、新価格となって値段が下がり(標準価格118,000円/きっと10万以下で買えるヨ!!)、さらに付属のアプリケーション(DocuWorks/すげえ便利だヨ!!)が新しくなったので、改めてその使い心地などを紹介してみたい。なお105Wについての詳細はFUJIXEROXのサイト(http://www.fujixerox.co.jp/lw/lw.html)へ。
給紙トレイだけを開いた状態 |
給紙・排紙トレイ両方を開いた状態 |
まず、ファックスの送受信が気持ちイイ。送信されてきたファックスは、全てA4に揃えて印刷される。相手側がB4で送信した場合は自動的に縮小され、A4だった場合はそのまま、印刷される。要するに、相手がどうであろうとA4の紙を吐き出してくれる痛快なファックスなのだ。送信は、一度原稿を読み込んでから送信するので、よくある家庭用ファックスのように、原稿が吐き出されるのが遅いという問題もない。なお、送信できる原稿はDocuWorks(後述)を使わない限り、A4までである。
それから、用紙の給紙や排出の位置、トレイなどもよくできている。ありがちな家庭用ファックスの設置には、けっこうイロイロな問題がつきまとう。たいていの場合、ファックスの上には何も置けないし、用紙排出口の前方をやや広く空けたりしないといけない。ヘタをすると、ファックスの前後を広く空けたりしなければならなくなって、やたら場所を取る。105Wはこの辺の問題をかなり美しく解消しているのだ。
105Wの用紙の給紙や排出は全部本体上部で行なえる。本体上部にある給紙トレイに紙を入れ、同じく本体上部にある排出トレイを広げれば、給紙・排出が完全に本体上部だけで行なえるので、本体前後左右に空間を取る必要がない。また、排出トレイを閉じれば本体前方向に受信したファックスが排出される。
あと、作動音は、ファックスの印刷時だけモーターが回る感じなので、普段は完全に無音だ。
あとあと、これは感覚的な問題かもしれないが、FUJIXEROXのプリンタやコピー機は、印刷の質が非常に高いと思う。黒が黒としてバッチリ出て、エッジがビシッと立っている感じだ。105Wでプリントアウトすると、高級なコピー機で印刷濃度を上げてコピーを取ったような、しっかりした印字ができる、と思う。
ちょっと文章ではニュアンスを伝えにくいのだが、一言で言えば「よく心得てるゼFUJIXEROX」という感じだ。従来の普通紙レーザーファックスに比べたら、やけにコンパクト。トレイの開き方や給紙部分の細かな工夫に至るまで、余分なスペースを取らないように十二分な配慮がなされているようだ。
DocuWorks画面 |
LaserWindOfficeユーティリティ画面 |
で、この装置の多彩な機能をフルに発揮させるには、やはりWindows 95マシンと(パラレルポート経由で)接続し、本体付属のWindows 95アプリケーションであるDocuWorksで、105Wをコントロールする必要がある。まあ105W単体でも使えないことはないが、DocuWorksからコントロールしない105Wなど、クリープも入れてないし冷めてるし虫も浮いてるししかも日本茶用湯呑みに入ってるコーヒーのような残念さだ(古い&わかりにくい>俺)。
さて、DocuWorksと105Wを連係させると、実にクールでジョリーグッドなフィーリングになって、要するに、パソコンとつなぐことで、かなり理想的かつ超実用的な多機能装置として使えるようになる。 DocuWorksを使うことで、105Wをプリンターやスキャナやコピー機やモデムとして使えるようになる。個々の機能の主な性能は以下のとおり。
・プリンター部/解像度600dpi(最大1200dpi
のモノクロレーザープリンター
・スキャナ部/解像度200~400dpi、モノクロ2値またはハーフトーン64階調のスキャン可能、TWAIN準拠
・コピー部/倍率50~200%、入力解像度300dpi、出力解像度600dpi
・モデム部/最大通信速度14400bps(v.32bis/v.17)
なお、入力に(原稿として)使える用紙はA4~A5縦、印刷に使える用紙はA4~A5の普通紙とハガキとOHPフィルムとラベル紙となっている。
ざっと見るとけっこういろいろな機能があって、ある意味繁雑な感じがするが、実際使ってみると容易に使いこなせる。そういえば、単純に考えれば、ファックスという装置にはスキャナとプリンタとモデムが入っていたのだ。どうして今までは、ファックスがスキャナになったり、ファックスがモデムになったり、ファックスがプリンタになったりしなかったのだろう。と、思うくらい、DocuWorksは105Wを柔軟にいろいろな装置に変身させてくれる。
それから、整理や保存も簡単だ。受信したファックスのイメージはサムネイル的に縮小表示されるので、それをドラッグ&ドロップするだけで管理できる。紙を扱う感覚で任意に束ねられたり散らかしたりできるあたりは、ちょっとおもしろい。
DocuWorksのこれらの編集・整理機能は、多量のファックスを送受信しているようなユーザーにはまったく便利な機能だ。最終的に紙にしたい部分だけを印刷すればいいというのが嬉しいし、ペーパーレス化につながって非常にスッキリする。
悪い点は、どうだろう、105WがWindows 95マシンとの接続を前提に作られていることろか? DocuWorksを使わないと本体の能力の30%程度(当ユーザー比)しか発揮できないのは、なんとなく残念な感じもする。でもそう書いているのはパソコンライターの悪いクセで、“記事にリアリティを出すためにはネガティブな意見も加える”という定石に習っているだけなのかもしれない。俺個人としては、105Wをやたら気に入っている。
[Text by スタパ齋藤]