プロカメラマン山田久美夫が見た
もともと、そのクリアで明快な写りには定評があるだけに、C-400L発表時にレポートしたときに欠点として指摘した、撮影枚数の少なさと、固定焦点式により撮影距離による画質の変化(無限遠の甘さなど)が改良されているかどうかが大きなポイントだ。
もちろん、スペック的に見れば、明らかに改良されているわけだが、問題はそれが実感できるかどうかといえる。
まず、撮影枚数の増加は数値的に見れば1.5倍となったわけだが、持ち歩いたときの安心感はかなり向上しており、“感覚的には”枚数が2倍近くに増えたような印象だ。さすがに、泊まりの旅行や本格的な取材などでは30枚でもきついが、休日に日帰り旅行や日常的なメモとして使っても、自宅や仕事場に帰って転送できるのであれば、さほど枚数の少なさを気にせずに使える、ギリギリのレベルに収まったという印象だ。
もっともこれは、単にピントだけの問題ではなく、被写体とカメラの解像力とのバランスがいい距離のためでもある。たとえば、画質がいまひとつのモデルでも、接写をすると、被写体の細部が目に見えている以上に細かく写るため、相対的にシャープに感じるし、逆に無限遠のシーンは被写体の細部がきわめて細かくなるため、かなり解像度の高いモデルでないとシャープに見えないのと同じで、一種の目の錯覚ともいえるわけだが・・・。
C-410LはAF化されたといっても、マクロ域までフルモードで作動するわけではなく、近距離側ではマクロモードへの切り替えをする必要がある。この点は改良されていないわけだが、もともと上級モデルの「C-800L」も当初から同じAF方式であり、仕様ともいえるわけだが、切り替えが面倒なことには変わりない。
今回、メモリーカードの採用は見送られたが、次期モデルでの採用は確実だろう。さらに前述の新聞報道によれば、採用するのはスマートメディア(SSFDC)で、3.3V仕様の8MBカードにも対応するとされており、期待したい。
これから月末にかけて、魅力的で強力なライバル機が続々登場しそうなだけに、今回マイナーチェンジを行なったとはいえ、秋口には次期モデルが欲しいところだ。また、市場はフラッグシップである81万画素の「C-800L」ベースでメモリーカードを採用したモデルを熱望している。もちろん、近い将来はこのようなモデルが投入されることは確実だが、そのときにはボディーの小型軽量化や多機能化を伴った、よりドラスティックな展開を期待したいし、その気配も感じられる。とりあえず今回の改良でC-410Lが魅力を増しており、これで実販価格がC-400Lと同等になれば、なかなか魅力的な機種といえそうだ。
□オリンパス光学株式会社のホームページ
http://www.olympus.co.jp/
□商品情報
http://www.olympus.co.jp/LineUp/Digicamera/C410L01.html
□参考記事
【2/13】オリンパス、オートフォーカス対応のデジタルカメラ「C-410L」を発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970213/olympus.htm
【1/27】山田久美夫が選ぶデジタルカメラ・ランキング['97/1/24版]
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970127/digi10.htm
■注意■
('96/2/14)
[Reported by 山田 久美夫 ]