【周辺】

C-410L

クラス1の高画質機がオートフォーカス化

プロカメラマン山田久美夫が見た


オリンパス「CAMEDIA C-410L」レポート



 オリンパスから人気機種「C-400L」の改良機「C-410L」が発表された。このモデルは既報のとおり、先代機種をベースに、ピントをAF化し、内蔵メモリーを従来の2MBから3MBに増やした、部分改良機だ。今回は早くも、製品版の実機を入手できたので、早速実写レポートをお届けしよう。

●使い勝手が向上した実力派
作例1  今回の機種は、マイナーチェンジモデルだが、それだけに同シリーズの基本コンセプトである「普通のカメラ感覚で扱える高画質機」という点はきちんと受け継がれており、ひと安心。もっとも、私自身「次期モデルはメモリーカードが採用されるだろう」と思っていたし、この点でちょっとガッカリした人もいるだろう。しかし、1月30日付の日経産業新聞によれば、本機は純粋な自社開発モデルではなく、(程度はわからないが)三洋電機からOEM供給を受けて成立しているモデルであり、しかもオリンパスは本年中に自社開発モデルへの移行を図る計画という。そのため、現時点でメモリーカード機能を付加するより、一部のパーツを変更することで可能な範囲の改良(仕様変更レベルか?)で対処したこともうなずける。

 もともと、そのクリアで明快な写りには定評があるだけに、C-400L発表時にレポートしたときに欠点として指摘した、撮影枚数の少なさと、固定焦点式により撮影距離による画質の変化(無限遠の甘さなど)が改良されているかどうかが大きなポイントだ。

 もちろん、スペック的に見れば、明らかに改良されているわけだが、問題はそれが実感できるかどうかといえる。

 まず、撮影枚数の増加は数値的に見れば1.5倍となったわけだが、持ち歩いたときの安心感はかなり向上しており、“感覚的には”枚数が2倍近くに増えたような印象だ。さすがに、泊まりの旅行や本格的な取材などでは30枚でもきついが、休日に日帰り旅行や日常的なメモとして使っても、自宅や仕事場に帰って転送できるのであれば、さほど枚数の少なさを気にせずに使える、ギリギリのレベルに収まったという印象だ。


●AF化で苦手な距離域は減少
さらに磨きが掛かったクラストップレベルの写り
作例2  CCDやレンズ、内部での画像処理機能などは、基本的に先代と同じもの。それだけに、とてもクリアで、色鮮やかな、35万画素クラストップレベルの写りは、きちんと踏襲されている。  もちろん、AF化により、確かにピントが改良されてはいるが、これは撮影距離によるピントの差が少なくなったため。つまり、画期的に画質が向上したわけではなく、撮影距離によっては若干効果が見られるというのが、正直なところ。実際にC-400Lでは日中の明るい条件でも無限遠に甘さが見られたが、今回は若干ピントがよくなっているようだ。しかし、いくつかの撮影距離でのカットを比較すると、やはり前モデルと同様に、1.5~2m付近でのピントがよりシャープに感じる点は変わりない。

 もっともこれは、単にピントだけの問題ではなく、被写体とカメラの解像力とのバランスがいい距離のためでもある。たとえば、画質がいまひとつのモデルでも、接写をすると、被写体の細部が目に見えている以上に細かく写るため、相対的にシャープに感じるし、逆に無限遠のシーンは被写体の細部がきわめて細かくなるため、かなり解像度の高いモデルでないとシャープに見えないのと同じで、一種の目の錯覚ともいえるわけだが・・・。

 C-410LはAF化されたといっても、マクロ域までフルモードで作動するわけではなく、近距離側ではマクロモードへの切り替えをする必要がある。この点は改良されていないわけだが、もともと上級モデルの「C-800L」も当初から同じAF方式であり、仕様ともいえるわけだが、切り替えが面倒なことには変わりない。


●部分改良だが魅力はアップ
メモリーカード搭載機にも期待
作例3  実写の結果を見ても、C-410Lは、C-400Lに対して抜本的な改良が行なわれたわけではなく、マイナーチェンジ版といえる。

 今回、メモリーカードの採用は見送られたが、次期モデルでの採用は確実だろう。さらに前述の新聞報道によれば、採用するのはスマートメディア(SSFDC)で、3.3V仕様の8MBカードにも対応するとされており、期待したい。

 これから月末にかけて、魅力的で強力なライバル機が続々登場しそうなだけに、今回マイナーチェンジを行なったとはいえ、秋口には次期モデルが欲しいところだ。また、市場はフラッグシップである81万画素の「C-800L」ベースでメモリーカードを採用したモデルを熱望している。もちろん、近い将来はこのようなモデルが投入されることは確実だが、そのときにはボディーの小型軽量化や多機能化を伴った、よりドラスティックな展開を期待したいし、その気配も感じられる。とりあえず今回の改良でC-410Lが魅力を増しており、これで実販価格がC-400Lと同等になれば、なかなか魅力的な機種といえそうだ。


【サンプル画像】

作例4 作例5
作例6 作例7


□オリンパス光学株式会社のホームページ
http://www.olympus.co.jp/
□商品情報
http://www.olympus.co.jp/LineUp/Digicamera/C410L01.html

□参考記事
【2/13】オリンパス、オートフォーカス対応のデジタルカメラ「C-410L」を発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970213/olympus.htm
【1/27】山田久美夫が選ぶデジタルカメラ・ランキング['97/1/24版]
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970127/digi10.htm

■注意■

('96/2/14)

[Reported by 山田 久美夫 ]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp