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Intelがノート用150MHz Pentiumを投入

ノートパソコンの高性能化はそろそろ頭打ちか?

 米Intel社がノートパソコン用Pentiumの150MHz版を発表すると、各ニュースサイトが一斉に報じ始めた。現在のノート用最高速133MHz版を発表してから約5ヶ月、そろそろ高速版が登場しても何の不思議もない。また、東芝などは、133MHzより高速なPentiumに対応する準備はできていると予告しており、ほぼお約束の展開だ。

 しかし、Pentium 150MHz搭載ノートの魅力となると、これにはクエスチョンがつく。消費電力や発熱、それにパフォーマンスに疑問があるからだ。

 Intelはノート向け150MHz版Pentiumに、133MHz版よりもさらに高めた省電力機能を搭載してくる可能性はある。しかし、そうした努力を払っても、平常の消費電力は、せいぜい133MHz版と変わらない程度にしか押さえ込めないだろう。そして、ピーク時の消費電力と発熱量は、電源電圧を落とさない限り133MHzよりも大きくなる。そうすると、ノートパソコンメーカーは、150MHz版搭載のために133MHz版の時以上の発熱対策を施さなければならなくなるだろう。放熱のためにファンを載せられる大型ノートはいいが、サブノートでは液冷式のヒートパイプといった新技術を駆使しなければならないかも知れない。そして、こうした発熱対策のコストは製品価格にはねかえり、製造メーカーも限られる。

 もちろん、発熱量が多くなったら動作クロックを落としてしまえばいいのだが、そういった省電力対策に頼ると、連続でピーク稼働ができなくなる。これは、ワープロなどのビジネスアプリではさほど問題にならないが、マルチメディアのように、せっかくの150MHzパワーが生せる処理で、性能の低下につながる――つまり、150MHzの意味がなくなってしまう可能性がある。

 そもそも、150MHzという動作周波数は分が悪い。それは、外部クロックが60MHz(60×2.5=150)になってしまうためだ。そのため、外部クロック66MHzの133MHz版(66×2=133)と比べて、150MHz版は動作周波数に見合うほどの性能向上は見込めない。これは、デスクトップでPentium 150MHzをほとんどのメーカーが推進しなかったことでも証明されている。

 つまり、150MHz Pentiumノートは、価格に見合うだけのパフォーマンスが得られるかどうかがあやしいというわけだ。

 こうしたプロセッサの消費電力と発熱の問題を解決するには、製造プロセスの変更以外にほとんど手段がない。現在、120MHz以上のノート用Pentiumに採用されている0.35ミクロンBiCMOSの製造プロセスでは、これが限界だ。166MHzになるとさらにハードルは高くなってしまう。つまり、Pentiumノートは、携帯性を考えた場合、もはや性能向上がほとんど望めないところに来てしまっているのだ。

 しかし、この状況も、来年になれば大幅に変わる可能性がある。それはPentium後継の新MPU「P55C」(コード名)が登場するからだ。

 ご存じの通り、P55CはMMX命令セットと実行ユニットを搭載することで、マルチメディア処理性能を高めたPentiumだ。このMPUは、ノート用として考えた場合、魅力が大きい。まず、P55CではMMXによって、サウンドや通信、MPEGなどを担当するチップやその一部の機能をMPUで実行できる。つまり、周辺チップを不要にできるわけだ。チップ数を減らせることは、マザーボードの小型化とマザーボード全体での発熱量も減らすことにつながるので、ノートでは非常に有利だ。

 また、P55Cでは、製造プロセスも変わり、おそらく当初は0.28ミクロン、さらに将来には0.25ミクロンで製造されると見られている。そうすると、ダイ(半導体本体)面積が小さくなり、電圧も2.5ボルト程度に下がるため、消費電力と発熱量を大幅に減らすことができるようになる。また、Pentiumは電力を食うBiCMOSで製造されているが、これもP55Cではより消費電力の小さいCMOSになると見られている。

 つまり、P55Cがウワサされている通りのMPUなら、ノートパソコンにとってうってつけのMPUとなるわけだ。というわけで、P55Cが出てくるまでの期間は、Pentiumノートの高性能化にはあまり期待しない方がいいかも知れない。

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('96/8/5)

[Reported by 後藤 弘茂]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp