●次のトレンドになるか? 33.6Kbps対応モデム
P3ブランドでコンピュータ周辺機器を販売するPanasonicは、最大33.6Kbpsでのデータ通信を可能にする高速モデムを参考出品していた。現在、主流の28.8Kbps対応モデムはITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)が勧告した V.34というプロトコルに準拠しているが、33.6Kbps対応プロトコルはV.34をさらに拡張したもので、俗にV.34+(plus)やV.34bisといった名称で呼ばれている。
33.6Kbps対応モデムは、V.34勧告直後からU.S.RoboticsやAT&T Paradyne、Motorolaなどが販売していたが、ITU-Tが昨年から標準化作業をはじめ、今夏にも正式勧告される予定となっている。今回、参考出品されていたTO-BXF336NW(外付けタイプ)とTO-CAF336NW(PCカードタイプ)は、この新規格にいち早く準拠したもの。オムロンがすでに同規格へのアップグレードを保証した製品を発表しており、今夏以降のモデムは33.6Kbps対応が新しいトレンドになりそうな気配だ。
●ISDNターミナルアダプタの激戦はさらに続く
各社から低価格ISDNターミナルアダプタの発表が相次いでいるが、台湾の通信機器メーカーなどからOEM供給を受けるメーカーも多い。ソフトウェアジャパンが参考出品していたTu-Na-Gu TA1 ZyXELは、台湾のZyXELが開発したOMNI TA128をOEM供給受けたものだ。OMNI TA128はエミックスエンジニアリングやネクストコムなどが4万9800円で発売を予定しているが、ソフトウェアジャパンはそれ以上に安い価格で提供したいとしている。ちなみに、OMNI TA128はアナログポートを2つ備え、デジタルポートも非同期V.110/38.4Kbpsや非同期V.120/64Kbps、さらに非同期/同期PPP変換による64/128Kbpsなど、幅広いプロトコルに対応しており、この価格帯としてはかなり高機能なものだ。ちなみに、128Kbps同期通信は業界標準と言われるMP(MultilinkPPP)に準拠しているが、フラッシュメモリを搭載しているため、将来的にアップグレードすることが可能となっている。
●もうひとつの高性能シリアルバスIEEE1394
ISDNターミナルアダプタやモデムなどによる高速通信環境が整う中、ひとつのネックになっているのがパソコンのシリアルインターフェイスだ。インテルはその解決策としてUSBという規格を進めており、すでにIBMがAptivaシリーズに採用しているが、この他にも高速なデータ転送が可能なシリアルバスの規格がある。
たとえば、今回のWindows World Expo '96でテキサスインスツルメンツが出品していたIEEE1394シリアルバスもそのひとつだ。同社はIEEE1394シリアルバスとパソコンのPCIバスを接続するチップセットを開発しており、今回はIEEE1394シリアルバスを3基装備したPCIバス用インターフェイスを出品し、ビデオなどを接続してデモを行なっていた。IEEE1394シリアルバスは100/200/400Mbpsでのデータ転送が可能で、コンピュータ機器や民生用機器(ビデオカメラやHDTV)との接続が考慮されている。
[Reported by 法林岳之]