MicrosoftがWebzine「Slate」を火曜日にスタート

●有名ジャーナリストを起用したハイブロウな誌面?

 あいかわらず、創刊ラッシュの米国のウェブジン(Webzine)とニュースサイト。そこに、今週から、強力な新人が加わる。それは米Microsoft社だ。
 Microsoftは6月24日(日本6月25日)から、同社としては初めてのWebzine「Slate (スレート)」をスタートさせる。Slateというのは、昔、米国の小学校などで使われていた文字書き用の石版のこと。文字を書いては消し、また書いては消すことができるというシロモノだ。そして、MicrosoftはこのWeb上のスレートに、政治や文化に切り込む本格的なジャーナリズムの世界を描こうとしているらしい。

 もちろん、Microsoftは出版社ではないので、自分たちの力だけでこんなWebzineは始められない。そこで、強力な編集者を雇った。
 まず、編集のトップには、出版とテレビの2つの世界で成功した有名なジャーナリスト、マイケル・キンズレイ氏を呼んだ。この人物は、「The New Republic」という硬派雑誌を編集して有名になり、その後、CNNの討論番組「Crossfire」のホストとしても人気を博した。日本で言えば、筑紫哲也氏とか田原総一郎氏とイメージを重ねられるだろうか。もちろん、思想とか経歴とかではなく、あくまでも知名度の話だ。
 そして、キンズレイ氏を補佐する副編集長クラスには、Washington Postの有名エディタやNew York magazineのコラムニストを配置。まあ、布陣を見る限り、これまでにないハイブロウなWebzineになることは間違いがなさそうだ。

 WWWで政治とカルチャーを高尚に語るなんて、ビル・ゲイツ氏の趣味もちょっとダサいんじゃない、と思うかもしれない。確かに、SlateはこれまでのWebzineとは路線も狙っている層も違う。しかし、米国はThe New Yorkerみたいな重厚長大雑誌もまだ人気を保っている国だから、これがけっこう受けたりするのかも知れない。もっとも、将来は有料にすると報道されているけれど、これだけカネがかかりそうなWebzineが、本当に成り立つかどうかはわからない。
 まあ、とりあえず、火曜日の早朝になったら、話のタネにのぞきに行ってみてはどうだろう。これは高尚すぎる、とてもついていけないと思ったとしてもご安心を。MicrosoftはSlateとは別に「Cityscape」というコードネームの、もっと肩のこらないエンターテイメントガイドWebzineも用意しているとウワサされているからだ。この調子なら、近いうちにサイバーエイジの総合オンライン出版社に転身してしまうかも知れない。

Slate (すでに、ウィークリーのニューズレターのサインアップ可)

('96/6/24)

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[Reported by 後藤 弘茂]


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