■はるかな白き峰の果てで -エベレスト遭難とWWW- 地上でもっとも“高い”WWW情報発信源はどこか? 標高約7800m、世界最高峰エベレストの山頂近くというのがその答えだ。 シアトルの有名登山家スコット・フィッシャー氏率いる登山隊が、衛星無 線などを使って前進キャンプから頂上アタックの様子を伝え、それをアウ トドア雑誌のWebサイトでリアルタイムに発信していたからだ。サイトに は 隊の状況が毎日伝えられ、5月10日には、ついに登頂成功の報告が入電した。 ところが、翌日、歓喜は一転して悲劇に変わった。下山途中で悪天候に 見まわれたフィッシャー氏や他の登山隊の隊員(難波さんなど)が、キャン プまでもどって来れなかったのだ。吹雪の合間を縫ってようやく出た探索 隊は、昏睡状態で虫の息のフィッシャー氏を発見したものの、運搬できな いため、しかたなくその場へ残してキャンプに戻る。また頂上近くで吹雪 に閉じこめられ孤立した他の隊の隊長には、キャンプの仲間が、眠らない ように無線で必死に話しかける(結局死亡)……といった凄惨な状況が、先 週はWWWで刻一刻とレポートされた。 悲劇といえば悲劇、凄惨といえば凄惨だが、それだけにこの事件は WWWのメディアとしての可能性を際だたせた。一介のアウトドア雑誌の サイトが、新聞はもちろんテレビでも追いつけないリアルタイム性を見 せつけたのだ。悪く言えばワイドショー的とも言えるが、今後、ますます WWWでこうした情報も求められであろうし、目にする機会も増えることだろう。 ◎フィッシャー隊の動向を伝えるOutside magazineのサイト ◎エベレスト登山の様子を伝えるNBCのサイト |
[Reported by 後藤 弘茂]