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NEW PRODUCTS TESTREPORT |
クリエイティブメディア | ||
Sound Blaster Audigy Platinum eX | ||
24bit/96kHzに対応した新世代サウンドカード | ||
TEXT:藤本 健 Ken Fujimoto |
●Sound Blasterがついにフルモデルチェンジ
Audigyシリーズ共通のメインカード部。サイズは従来のLive!よりも一回り大きくなっている |
今回、このAudigyシリーズは
Audigy Platinum eX (38,800円)
Audigy Platinum (29,800円)
Audigy Digital Audio (18,800円)
という3製品が発売されたが、今回はそのうちの最上位モデルであるAudigy Platinum eXを試用することができたので、このモデルを中心にAudigyとはどんなものであるのかを紹介していこう。
●24bit/96kHzに対応しS/N比100dBを実現
EMU10K1の4倍の性能を持つAudigyプロセッサ。本製品のエンジンとなるチップだ。 |
それに対し、今回登場したAudigyシリーズはそのDSPに“Audigy”プロセッサと呼ばれる新設計のチップが搭載されている。これはEMU10K1の約4倍の演算能力を持つもので、強力なエフェクト処理機能を備えている。さらに、Live!が量子化bit数16bit、サンプリング周波数48kHzのオーディオデータを扱える製品であったのに対し、Audigyは量子化bit数24bit、サンプリング周波数96kHzというハイクォリティなオーディオデータの処理を可能にしている。この24bit/96kHzというスペックはまさにDVD-Audioでサポートされている代表的なフォーマットに相当するもので、音楽CDクラスの16bitサウンドであったLive!とは明らかに次元の異なるサウンドカードだと言える。
もちろん、チップのスペックだけ向上しても、実際にはアナログオーディオ部分の性能が付いて来ないと無意味なものとなってしまうが、Audigyはアナログ性能も大幅に向上しており、S/N比で100dBを実現している。Live!が96dBであったことを見ても、確かによくなっていることが分かるだろう。
さて、サウンドカードを見てみると、Live!と比較して少し長くなっている。また、一目見ると分かるように、端子部はすべて金メッキとなっている。Live!も発売当初のモデルは金メッキ端子だったのだが、途中から一般的なサウンドカードと同じタイプの端子になっており、ハイエンドユーザーからは敬遠されていた面もあったが、今回のAudigyで再び金メッキ化され、こうした点でも音質に気が配られているわけだ。
さらにAudigyで標準搭載されたのがSB1394と呼ばれるIEEE 1394互換の端子だ。Live! Platinum 1394でもIEEE 1394は搭載されていたが、Live!本体とは別のPCIカードを用いて実現していた。これに対してAudigyではメインカード上にIEEE 1394のコントロールチップが搭載されている。速度はIEEE 1394のS400規格に対応する最大400Mbpsとなっている。
●外付けボックスのAudigy Driveを装備
ボード上のCODECらしきチップ。詳細な仕様は不明だが、24bit/96kHzデータの扱いを可能にしているのだろうか |
その違いを上位モデルから順に見ていくと、まずAudigy Platinum eXには外付けのブレイクアウトボックス「Audigy Drive」が付属する。従来からのLive! Driveのように5インチベイに内蔵すると、やはりPC内部からのノイズの影響を受ける可能性があったが、24bit/96kHzの性能を存分に活かすため、各端子を外部に置き、AD/DAコンバータをそのブレイクアウトボックス内に置くことによってノイズをシャットアウトしているのだ。
Audigy Platinumは、従来のLive! Platinum 1394と同様に5インチベイに各端子を搭載する内蔵ボックスを組み合わせたもので、エントリーモデルのAudigy Digital AudioはLive! Digital Audio2と同様にS/P DIFの光角型と同軸入出力端子のみを外部ユニット上に持つという構成になっている。
今回試用したAudigy Platinum eXは、発売前のテストバージョンであったため、すべてのアプリケーションは添付されていなかったが、ハードウェア的には問題なく動作していた。ただ、配線がLive!と比較するとやや複雑で、最初、マニュアルを参照せずに接続作業を行なった際には、うまく動かずとまどってしまった。というのもAudigy Dr iveと接続するためのAudigy拡張カードと呼ばれるカードが存在し、これと本体との間に二股に分岐したフラットケーブルとIEEE 1394接続ケーブルを接続する必要があり、さらに電源ケーブルの接続も必要と、煩雑であったためだ。
この配線さえ終われば、あとは自動的にドライバやアプリケーションをインストールするだけで、すぐに使えるようになる。なお、このドライバやシステムソフトウェアは一括してCreativeWareと呼ばれており、今後どんどんバージョンアップされていく予定だ。
●強力なエフェクト機能EAX ADVANCED HD
メインカードとAudigy Driveの中間に接続されるAudigy拡張カード。PCIスロットは使用しないが、ケース背面のブラケット部を一つ消費してしまう |
こうした中で、Audigyプロセッサのパワーをはっきりと実感できるのがエフェクトだ。AudigyにおいてはEAX ADVANCED HDと呼ばれているシステムなのだが、従来のEAXの機能に加え3Dエフェクト機能などが強化されている。5.1chのスピーカーを接続した上で、こうしたエフェクトを利用することで、サラウンド機能がより強力なものになってくる。おもしろいところではタイムスケーリング機能といってピッチを変えないで再生スピードを早くしたり遅くしたりするエフェクトや、ノイズリダクション機能なども搭載されている。こうした機能をリアルタイムに再生しながら利用できるのが大きな特長と言えるだろう。
なお、サンプリングレートに関しては96kHzだけでなく、48kHz、44.1kHzを設定することもできる。Live!の場合は48kHz固定であったのだが、44.1kHzも利用できるようになったことで、応用範囲はさらに広がりそうだ。
●ASIOドライバに対応し、レコーディング環境としても利用可能
音楽CDの再生などをコントロールするリモコンも付属するため、Audigyを搭載したPCをオーディオ機器ライクにコントロールすることもできる |
ソフトウェア面でとくに注目したいのがASIOドライバへの対応だ。ASIOというのは、Steinbergが開発したオーディオのドライバシステムで、Windowsのシステムをほとんど介さずにアプリケーションから直接ハードウェアにアクセスすることで、非常に高速なレスポンスを実現するものだ。現在、多くのプロ用のレコーディングソフトがASIOドライバに対応しており、本格的なレコーディングをするのならASIOドライバ対応のサウンドカードが必要と言われている。
今回Audigyは24bit/96kHzを実現するとともにASIOドライバにも対応したため、まさにプロ用レコーディング機材としても利用できるようになったと言ってもよいだろう。実際にASIOドライバを利用するCubasisVSTでASIOドライバを使用する設定にしてみたところ、最高で2msのレイテンシを実現していたので、かなり高性能だ。
一方、Audigyをシンセサイザ化するためのSoundFontはLive!からとくに変更されておらず、従来の資産もそのまま利用できるようになっていた。
●高品質でオールラウンドな仕様
Audigy Platinum eXは、これまでの最上位機種であるLive! Platinum PLUS/1394と比較すると4,000円近く高いという設定ではあるが、音質面や多機能製で比較すれば明らかにお買い得感は増している。むしろこの価格でこれだけの内容を実現しているのは驚きだ。まさにハイエンドユーザーからエントリーユーザーまでをカバーする新世代サウンドカードと言ってよい製品だろう。
デザインが一新したサラウンドミキサー。低、高音域の補正などのエフェクトもコントロールできる | EAXの機能としてとして新たに加わったノイズリダクション | 44.1kHzと48kHz、および96kHzの切り換えが可能 |
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□クリエイティブメディアのホームページ
http://japan.creative.com/
□製品情報
http://japan.creative.com/soundblaster/products/audigyplatinumex/welcome.html
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【8月24日】クリエイティブ、新チップ搭載の「Sound Blaster Audigy」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010824/creative.htm