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NEW PRODUCTS TESTREPORT |
サイバーリンク | ||
PowerDirector | ||
低価格ながら強力な機能を持ったビデオ編集ソフト | ||
TEXT:天野 司 Tsukasa Amano |
PowerDirectorのメイン画面。操作は目で見て分かるように工夫されているので、慣れていない人でも操作可能 |
ストーリーボード方式のビデオ編集ソフトと言うと、UleadのVideoStudioを真っ先に思い浮かべる人が多いだろう。PowerDirectorの操作方法は、このVideoStudioをよく研究しているらしく、操作手順はかなり近い。とくに、画面右上の操作ダイヤルを順に切り換えていくことで、キャプチャからカット編集、タイトル作成やエフェクト、そして出力まで、ビデオ編集に必要なステップを順に呼び出せるところなどはよく似ている。色使いやボタンデザインなど、かなりあか抜けた印象で視認性も悪くないのだが、フルスクリーン状態でしか操作できない点はちょっとつらく感じる。
通常のビデオ編集ソフトと同様、トランジションエフェクトなども利用できる。画面はシンプルでも機能は豊富だ |
つまり、DV入力、DVデコード、MPEGエンコードという一連のステップをリアルタイムで実行できるというわけだ。ただし、この機能を使うには非常に高いCPU性能が要求される。たとえば、解像度を落として速度を上げた高速エンコーダを使って、低画質モードでキャプチャする場合であっても、要求されるCPUはPentium 4 1.4GHz、またはAthlon 1.2GHz以上だ。これが、高画質モードではPentium 4 1.6GHz/Athlon 1.4GHz以上となる。また、画質を重視する高解像度エンコーダを用いるモードでは、DVからのリアルタイムエンコードは推奨されていない。これを無視してPentium III 1.0BGHzでキャプチャしたところ、コマ落ちが激しく、実用にたえない状態だった。リアルタイムエンコードは実にユニークな機能ではあるが、もう少しPCの速度が上がるまでは実用的とは言えなさそうだ。
もう一つ注目したい機能が、MPEGファイルへの書き出しだ。このソフトでは、MPEG素材を編集してMPEGファイルを出力する際、編集部分だけをエンコードし、それ以外の部分はそのまま出力する「SVRT(Smart Video Rendering Technology)」機能を搭載する。
ほかの多くのソフトのように、すべてを再エンコードする必要がないため、画質の劣化がないのはもちろん、エンコード時間も大幅に短縮できるというわけだ。実際に使ってみると、この機能はなかなか使い勝手がよい。フレーム単位での切り貼りも可能なので、テレビキャプチャカードなどで取り込まれたMPEGファイルを編集する場合には便利だろう。ただし、当然だが編集に使用する素材のエンコードパラメータはすべて同一にしておかなければならない。
このように、PowerDirectorは初心者を意識しながらも、上級者向けソフトにはないようなユニークな機能も備えている。操作も覚えやすいので、ほかのビデオ編集ソフトの補助として利用するのもよいだろう。
SVRT機能により、変更した部分だけを再エンコードする機能を持つ。これはなかなか便利に使える | キャプチャはリアルタイムのMPEGエンコードが可能だが、高速なPCを要求するので推奨CPUには注意したい |
・製品名:PowerDirector
・標準価格:15,800円
・メーカー:サイバーリンク株式会社
・問い合わせ先:03-3662-8005
・URL:http://www.cli.co.jp/
・対応OS:Windows Me/98/2000
●動作環境
・CPU:Celeron 333MHz以上
・メモリ:64MB以上
・HDD:30MB以上の空き容量
□サイバーリンクのホームページ
http://www.cli.co.jp/
□製品情報
http://www2.cli.co.jp/products/p_director/