NEW PRODUCTS TESTREPORT

	シャープ
	LL-M1550A
	MPEG-2録画機能を搭載した15型液晶ディスプレイ
	TEXT：天野 司　Tsukasa Amano

ビデオ入力時の画面。PC用液晶ディスプレイの中ではトップクラスの鮮明さと言えるだろう

　シャープが発売したLL-M1550Aは、アナログRGB入力のほかにテレビチューナーとビデオ入力を搭載した、マルチメディア液晶ディスプレイだ。この種の製品は最近多くなってきているが、本製品の場合、PCと連係してのMPEG-2キャプチャという、他製品にはないユニークな機能を備える点が特徴となっている。

　15型でXGA表示というスペックは、液晶ディスプレイとして見ると、最近ではごく一般的なもの。ただし、パネル部に関しては同社独自の低反射ブラックTFT技術に加え、最大輝度300cd/平方メートル、コントラスト比350：1というハイスペックなものだ。また、視野角は上下左右とも170°、応答速度は25msという、AV用途に特化されたアドバンスト・スーパーV液晶技術も合わせて採用されている。

　入力端子はアナログRGBが1系統、ビデオ入力は2系統用意されている。この2系統のビデオ入力はそれぞれでコンポジット端子が利用できるほか、S-VIDEO端子とD1端子がそれぞれ1系統ずつ利用可能だ。

本体背面部には、D1端子とコンポジット端子が利用可能なビデオ入力端子が1系統存在する

　テレビ/ビデオ表示の際のI/P(Interlace/Progressive)変換には、インターレースのビデオソース向きの「動き補正タイプ」と24fpsの映画をテレシネ(映画用フィルムの映像をテレビの映像信号に変換する作業)したフィルムソース向きの「逆テレシネタイプ」という、二つの補正モードが利用できる。いずれのモードの場合も、変な残像感がなく、かなり自然な印象を受ける。

　最大の特徴となるビデオキャプチャ機能は、USB接続のテレビキャプチャユニットでは、もはやおなじみとなった「GlobeSpan iTVC12」を用いたハードウェアMPEG-2エンコードタイプ。本製品においても、データはUSB経由でPCにキャプチャされる。PC上での視聴には専用の「PixeStation TV」が使われるが、通常の視聴のほかスリップ再生や追いかけ再生が行なえるなど、単体販売されるUSBキャプチャ製品となんら変わりない機能を装備している。録画予約にはiEPG方式のインターネット番組表が利用可能だ。

本体左側面にも1系統のビデオ入力を備えるが、こちらはS-VIDEO端子とコンポジット端子が利用できる

　テレビチューナーは本機単独でも動作可能なので、通常のテレビ視聴はPCが接続されていなくても利用できるが、録画機能やスリップ再生などの機能を使うには、PCとの接続が必要だ。この場合の画面表示はPCの画面上に表示されたものをアナログRGB経由で表示することになるため、前述のI/P変換機能は働かない。キャプチャ時のbitレートは2/4/6Mbpsから選択するほか、MPEG-1でのキャプチャも可能だ。

　LL-M1550Aにはこのほか、2ポートのUSBハブ機能とUSB接続のPCカードリーダー機能も内蔵される。USBハブおよびカードリーダー部はWindows Me/98/95/2000で利用するためのドライバが付属するが、PlxeStation TVだけは利用できるOSがWindows Me/98に限られるので注意が必要だ。

　最近の液晶ディスプレイはそのほとんどがUSBハブを内蔵している。またマルチメディア液晶の場合はテレビチューナーも内蔵されているため、LL-M1550Aはこれらをうまく利用してローコストにキャプチャ機能を実現した、一種のアイディア製品と言えそうだ。

Windows上でのテレビ視聴と録画機能を実現するPixeStation TV。Windows Me/98のみの対応となっている(画面ははめ込み合成)

　通常の液晶ディスプレイとキャプチャボックスとを一緒に購入しても同様の機能は実現できるが、やはりこれらが一体になっているメリットは大きい。というのは、一つのチューナーを液晶ディスプレイとキャプチャとで共用できるためにアンテナ線は1本ですむし、テレビ用の高品質なチューナーをキャプチャに利用することもできる。実際、LL-M1550AでキャプチャされるMPEG-2の画質は、6Mbpsというbitレートとしてはかなりきれいなほうだ。なにより、単体キャプチャボックスはその中途半端なサイズからともすると邪魔になりがちなだけに、この設置場所が不要になるというのは大きい。

　一見すると奇をてらったようにも感じられるかもしれないが、その実用性、実力ともになかなか高い製品である。