100GBのハードディスク登場:Maxtor MX4W100H6



 先週末、秋葉原にMaxtorの容量100GBを超えるハードディスクがいきなり登場した。徐々に容量が増えてきたIDEのハードディスクも、ついに100GBという大台にのったことになる。今回はこの100GBのハードディスクを利用したベンチマークの結果などをお伝えしていきたい。


●ついに100GBを超えたIDEハードディスク

 確か、'93年の事だったと思うが、日本でPC/AT互換機が普及しようかという時期、筆者は秋葉原のPCショップで1GBのハードディスクを買った記憶がある。確か、SCSIでQuantumのEmpireシリーズというハードディスクだったが、当時の価格で7~8万円だった記憶がある。今回取り上げるMaxtorの「MX4W100H6」という製品は、容量で100GBを超えるというのだから、実に驚きだ。しかも、価格は4万円を切っているという。あの当時に「8年後には100倍の100GBが、今の1GBよりも安価になる」と言われても、全然信じられなかっただろうから、技術の進歩とはすごいものだと、ただただ感心するばかりだ。なお、FDISKで認識された容量は95,559MBだった。

 さて、今回取り上げる「MX4W100H6」は、実はまだMaxtorの公式サイトにはデータシートなどがあがっておらず、Maxtorのサイトを見る限りは「幻の製品」となってしまっている。従って、詳しい仕様などは不明だが、同時期に発売された同じモデルの低容量のドライブのラベルを参考に推測するとシリーズ名は「536DX」で、5,400rpmというところまではまず間違いない仕様と言える。キャッシュ容量は販売しているPCショップなどによれば2MBということで、ハードディスク自体の仕様としてはエントリーレベル~ミッドレンジクラスの性能を持つと言うことができるだろう。

 なお、こうした大容量のドライブを利用する場合には、BIOSがLBA(Logical Block Addressing)アクセスをサポートしていない場合、全容量を認識することができない。特に、メーカー製PCなどでやや古めのPCの場合、BIOSがLBAアクセスをサポートしていないことが多いので注意したい。そうしたやや古めのPCを利用する場合には、LBAに対応しているIDEインターフェイスカード(PromiseのUltraTrackなど)を利用することにより回避することができるので、それらと組み合わせて利用するようにしたい。


●ベンチマークの結果では特筆すべきものはない

 今回はZiff-Davis、Inc.( http://www.ziffdavis.com/ )のWinBench 99 Version 1.1に含まれるディスク周りのテストを利用してベンチマークを行なった。

 テストしたのは、Business Disk WinMark99、High-End Disk WinMark99、Disk Inspection Testsの3つのテストだ。Disk WinMarkはアプリケーションが行なうディスクアクセスをシミュレートし、ユーザーの体感に近いディスク性能を導き出すベンチマークで、ビジネスアプリケーションをシミュレートしたものがBusiness Disk WinMark99、ハイエンドアプリケーションをシミュレートしたものがHigh-End Disk WinMark99だ。Disk Inspection Testは複数のテストがあり、ハードディスクのシーケンシャルなデータ転送速度を計測するDisk Transfer Rate、ハードディスクのアクセスタイムを計測するDisk Access Time、データ転送時のCPU占有率を計測するCPU Utilizationの3つのテストがある。

 今回は、比較対象として、7,200rpmの最新ドライブであるIBM DTLA-307030(30GB、7,200rpm、キャッシュ2MB)、5,400回転の数世代前の製品であるWesternDigitalのWDAC313000(13GB、5,400rpm)の2つを用意し、これらにおけるパフォーマンスも計測してみた。結果は以下の通りだ。

【動作環境】
CPUPentium 4 1.5GHz
マザーボードIntel D850GB
チップセットIntel850
メモリDirect RDRAM
メモリ容量256MB
ビデオカードGeForce3(64MB、DDR SDRAM)
OSWindows Me

MX4100H6DTLA-307030AC313000
Disk Transfer Rate開始時25,60037,50012,900
Disk Transfer Rate終了時31,30034,60011,700
Disk Access Time13.99.8715.2
Disk CPU Utilization0.63814.10.706
Business Disk WinMark 993,5605,120 2,920
High-End Disk WinMark 99 9,86018,400 7,850

 Disk Inspection Testの結果では、ハードディスクの転送速度を計測するDisk Transfer Rateに注目したい。この結果では計測値の最初の結果と最後の結果が数字として残るが、転送経過に関してはこちらの画面1(MX4W100H6)、画面2(DTLA-307030)、画面3(AC313000)となる。見てわかるように、最もよい結果を残したのはDTLA-307030で、40MB/secにも達しようかという転送結果を残した。

 このDTLA-307030は7,200rpmという高速な回転数を生かしたものと考えられ、UltraATA/33の33MB/secの限界を余裕で超えており、PC側のインターフェイスとしてUltraATA/66やUltraATA/100など高速なディスクインターフェイスが必須と言える。これに対して、MX4W100H6も割と検討しており、5,400回転ながら32MB/secにもうすぐ届きそうな勢いだ。ぎりぎりUltraATA/33の33MB/secには届いていないが、こちらもマージンなどを考えるとUltraATA/66やUltraATA/100が必須と言える。これに対して、AC313000は13MB/sec程度の転送速度しか発揮していない。同じ5,400回転でも最新のドライブと古いドライブでは差があることがわかるだろう。

 Business Disk WinMark99、High-End Disk WinMark99も、基本的にこのデータ転送速度の結果を反映したものになっており、DTLA-307030>MX4W100H6>AC313000という順になった。特に、High-End Disk WinMarkでのDTLA-307030は、ほかの2つを大きく引き離している。こうしたハイエンドアプリケーションではディスクは速ければ速いほどよいとされており、そうした事情を反映しているといっていいだろう。

Maxtor MX4W100H6 IBM DTLA-307030 WesternDigital AC313000


●容量重視のエントリーからミッドレンジのクライアントPCにお薦め

 こうした結果を見ると、MX4W100H6は、最新のハードディスクとしては飛び抜けて性能がいいわけではなく、むしろ一般的な性能を持つハードディスクだということができるだろう。

 となると、用途としては高性能を求めるハイエンドPCやワークステーションPCのユーザー向けではなく、ディスク性能よりもより多くのデータを格納することの方を重要視するエントリーからミッドレンジまでの標準的なPCユーザーにお薦めだと言えるだろう。最近では、スリム型のケースが流行なので、ハードディスク用のベイが少ないケースがほとんどだ。そうしたケースを持っているユーザーにとっては1ドライブで容量が多いほうがいいだろうから、そうしたユーザーも本製品を選択する意味があると言えるだろう。

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http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20010519/536dx.html

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(2001年5月25日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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