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会期:5月21日~5月25日(現地時間)
会場:SanJose McEnery Convention Center
■Mac OS Xが目指した9つの目標
Mac OS Xが究極のデジタルハブになるための機能を有しているとして、会場の様子をデジタルカメラで撮影するAvie Tevanian氏。ストレージクラスに対応するデジタルカメラであれば、USBなどのインターフェースを経由してそのまま画像が転送できる |
セッションの後半は、ソフトウェア担当上級副社長のAvie Tevanianにバトンタッチして継続された。彼はNeXT時代から15年にもわたってJobsの右腕として働いてきた人物でもあり、Mac OS X開発の責任者でもある。彼は、ソフトウェアの基本的な部分はハードウェア以上に長期間にわたって使われ続けていくものだと説明。「こんな大変なことを来年も続けてやるのは、とても無理」と笑って、Mac OS Xがプラットホームとして長期的に利用され続けることを約束した「少なくとも僕がAppleにいる限りはね」。
Tevanian氏は、Mac OS Xには全部で9つのゴールがあることをさまざまなデモをまじえつつ紹介。1つは、UNIXの持つパワフルさと堅牢性、それにMac OSのシンプルな操作性を加えたものである。AQUAインターフェースを加え、妥協のない完成品として提供していることをアピールした。2つめのゴールは、あえて技術を作ろうとせず、オープンスタンダードとなったものを積極的に採用していくということである。Open GL、Apache、XML、QuickTime 5、Flash 4、ColorSyncなどがそれにあたる。しかし、なかには新しい技術がアドバンテージになることもあり、そうして生まれたのがグラフィックシステム「Quartz」であると説明した。そのQuartz、OpenGLなど高度なグラフック機能の搭載が3つめである。
4つめの目標となったのは、キラーアプリケーションの存在。ネイティブ環境の1つであるCarbonは、これまで数限りなく生成されてきたコードをMac OS Xでも活かす手段として提供されている。昨年まではどちらかといえば、早期のネイティブアプリケーション作成のためにCarbonをクローズアップしてきたが、今年は若干トーンが変わってCocoa、Java2を前面に出してきている。Carbonは従来環境であるMac OS 9との互換も意図しているが、Mac OS XだけをプラットホームとするならCocoaというわけだ。Developer Toolも継続して提供される。新しいDeveloper CDは参加者に配布され、Mac OS Xのパッケージにも封入される。5つめがインターネットとの統合。Mac OS Xのセットアップ時に、iToolのアカウントが同時に取得できるという仕組みなどがこれにあたる。6つめがシームレスなモバイル環境。BSDでは対応していないスリープ機能、そして瞬時の復帰などを組み込んでいる。
7つめは、日本のユーザーにはお馴染みのマルチリンガル対応と、ワールドワイドで1つのバイナリという概念である。すでに3月の発売時点で7つの言語がサポートされているが、5月末までにはさらに8つの言語(スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語、フィンランド語、ブラジル―ポルトガル語、韓国語、繁体字中国語、簡体字中国語)をサポートすることになる。
8つめは、従来環境からMac OS Xへの優しい移行。Mac OS X上で従来のアプリケーションが動作するClassic APIの提供や、Carbon APIの開発。そして、Jobs氏が発表した本日からのプリロードによるMac OS 9とMac OS Xのデュアルブート環境の提供である。9つめはデジタルハブのために、究極の環境となること。ネイティブのiTunesやiMovieの提供をはじめ、ストレージクラスに対応したデジタルカメラから直接画像データを取り込むなどのデモが披露された。
■Mac OS X Serverと、JavaベースとなったWebObject5を発表
続いてJavaベースとなった「WebObject5」と、新しい「Mac OS X Server」を発表した。アプリケーションサーバーとしてWebObjectが、世界中の著名なサイトで試用されていることを例に挙げた。米国では本日付け、日本では6月上旬に出荷される。WebObject5の日本での販売価格は72,000円。Mac OS X Serverについては、これまでのAppleShareIPの容易さとMac OS Xの堅牢さをあわせ持つと説明された。
Mac OS X Serverは、WebサーバのApache、Windowsファイル共有のSamba、アプリケーションサーバのWebObjects 5、QuickTime Streaming Server 3といった強力なサーバアプリケーションを統合し、Macintosh、Windows、UNIXベースのクライアントおよびネットワークに対してサービスを提供する。さらに、教育現場などで有用なNetBoot、MacManagerなどがMac OS Xに対応し、NetBoot2、Netmanager2として導入されている。Mac OS X Serverも、米国では本日付け、日本では6月上旬からの出荷となる。価格は同時利用者が10名までの10クライアント版が59,800円、ユーザー数を制限しないUnlimited版が98,000円となる。
最後は、Jobs氏もスピーチのなかで引用した米Macworld誌によるユーザーの意識調査を紹介。Mac OS Xに向ける期待の大きさを挙げて、来場しているデベロッパに対し積極的なアプリケーション開発を要請し、2時間に及ぶオープニングセッションの幕は閉じた。
□米Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□WWDCの案内ページ(日本語)
http://developer.apple.com/ja/wwdc2001/
(2001年5月23日)
[Reported by 矢作 晃]