新型PlayStation2「SCPH-30000」レポート

■■ 注意 ■■

・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。
・この記事を読んで行なった行為(分解など)によって、生じた損害はPC Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
・内部構造などに関する記述は編集部が使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません
・PC Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。



●拡張ベイが特徴の三代目

 4月18日に発売された新型プレイステーション 2(以下PS2)「SCPH-30000」は、国内では3代目となる。2000年3月に発売された初代「SCPH-10000」から、同12月8日に発売されたリモコン付きの「SCPH-18000」への変化がDVD再生関係の比較的小規模なものであり、PS2本体の構成にはほとんど変化がなかったのに対し、今回の3代目は大きく変化している。

 具体的には、米国で発売されているSCPH-30001同様にHDD拡張用のベイを備えていることと、主要なチップである「Emotion Engine」と、「Graphics Synthesizer」がシュリンクされた0.18μm版に変わっていることだ。発売直後の実機にあたりながら、PS2がどのように変化したのは見てみよう。


●外箱から判断できる新機種

Playstation.comからはこういう形で届く 箱の裏面にリモコンが入っていない旨の告知がある

 SCPH-30000の外箱は、基本的には従来どおりの大きさとデザインだが、型番が明記されていることと、「PS/DVDリモコンは同梱されておりません」という注記で、従来機のSCPH-18000と容易に区別できる。

 この注意書きにもあるように、SCPH-30000にはリモコンも8MBメモリも付属していない。付属品はアナログコントローラのDUAL SHOCK2と電源ケーブル、AVケーブルだけだ。なお、SCPH-18000同様にDVDプレーヤーは本体のROMに内蔵されており、メモリーカードなしでDVDの再生ができる。また、AVマルチ端子経由で接続されている場合はDVDビデオは再生できないと明記されている。


●拡張ベイの増設と冷却関係の変化

本体前面下の吸気口が拡大 本体裏の左下を占有する拡張ベイ 拡張ベイの内部、前面まで素通し

 筐体の大きさはSCPH-10000/18000から変わっていない。もっとも大きな変化は本体裏面に設けられた拡張ベイだ。従来のPCカードスロットに代わって設けられたこのベイだが、ベイ内にコネクタ類はなく、HDDなどを追加する場合は、ベイの上に新設されたコネクタからケーブルで接続すると思われる。

 また、拡張ベイ以外の大きな変更点は冷却関係で、本体前面の吸気口が大きくなっているほか、ファンが変更されている。新しいファンは従来より高速なタイプらしく、編集部で購入した個体では、旧型機よりも明確に排気音が大きくなっている。DVD再生の比重が高い場合は、リモコンとあわせて問題になりそうだ。

 したがって、前から見た場合は吸気口の大きさで、後ろから見た場合はベイの有無で新型PS2は容易に見分けることができる。


●ちょっとだけ中身を見る

 PS2本体を開けてみよう。最初にお断わりしておくが、SCPH-30000にもPSone以来の開封防止シールが貼られており、分解してしまうと、メーカー保証どころか、有償の修理も受けられなくなる。後述するように、前モデルよりも再組み立ては難しくなっていることも申し添えておく。

分解を警告するおなじみのシール シールをはがすと開封済と表示 ケースを開けるとこれまでとは異なった景色

 PS2本体カバーの開け方などは従来通りだが、内部の構成は大幅に変わっており、分解および再組み立ては難しくなっている。使用されているネジをはじめ部品点数は減少しているが、実質的な内部スペースが減少していることから、部品が狭い部分に押し込められ、組み立ての手順が煩雑になった印象だ。

 拡張ベイの部分はシンプルなシャーシが新設されているだけで、特に部品類は用意されていない。大きく変わっているのはマザーボードと冷却系統だ。

マザーボード拡大図(縦1,024ドット)

 マザーボード上の「Emotion Engine」は、0.25μm版と同じヒートスプレッダが装着されており、外観からは従来と同じに見えてしまう。「Graphics Synthesizer」の方はパッケージが変更され一回り小さくなった。マザーボード上の部品点数は大きく減少しており、中央部にはDVDドライブのフラットケーブルを通すための穴が開けられている。

心臓部のアップ RAMBUSメモリのアップ。今回はSAMSUNGだった マザーボードの記載。型番は「GH-010」

 もっと変化が大きいのは冷却系で、PS2の特徴だった巨大なヒートシンクがなくなり、熱を逃がすための薄い金属板と小さなヒートシンクに置き換わっている。0.18μm化によって、発熱量が減少したことは明らかだ。

主要機構部品はこれだけ 大幅に小さくなったヒートシンク ヒートシンクの裏側。向かって左側のゴムの部分がチップに密着する

 複数の部品を1本のネジで留める部分や、フラットケーブルによる接続が増えており、従来のPS2よりもスペースを意識した設計になっている。おおざっぱにいえば、従来機がデスクトップPCの感覚で分解できたのに対し、SCPH-30000はノートPCを分解している感覚だ。このフラットケーブルはすべてがマザーボードに接続するようになっており、再組み立て時には、組み付け順を考えないと手間取ってしまう。また、フラットケーブルは固定が甘いだけでトラブルとなりうるので注意が必要だ。

DVD-ROMドライブの脇に電池が隠されている 新しいファン。前モデルにあったネットがなくなった 強化された電源部分


●新型PS2は魅力的か?

シャーシも含んだ主要部品
 新型PS2に期待していたのは、拡張ベイの新設による拡張性の高さだった。これは、現時点では未来の可能性を買ったということであり、直接的なメリットを受けるためにはベイを必要とする補助機器の登場を待たなければならない。

 そして、0.18μm化によって熱設計の基準が下がることでファンの容量が低下し、すこし静かになるのではないかとも期待していたのだが、意外やファンの音は大きくなっていた。個体差はあるにしても、それを越える差であると感じる。

 今年後半以降の展開に期待しているゲーム機ユーザーとしては、HDDが内蔵可能となった新型PS2に夢を託すことができるが、DVDプレーヤーとしてのPS2は、ファンの音の件とリモコンが付属しなくなったことで従来機よりも商品性が落ちたと感じる。すでに低価格で優秀な専用DVDプレーヤーが多数出荷されている今の時点で、PS2にどこまでDVDプレーヤーとしての役割を期待するかというのも問題ではあるのだが。

□SCEIのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□関連記事
【4月9日】SCEI、エクスパンション ベイを採用した新型PS2「SCPH-30000」を4月18日から発売(GAME Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20010409/scei.htm
【2月8日】新型プレイステーション2分解記
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001208/ps2.htm
【2000年3月4日】プレステ2発売記念 たぶん世界最速!?分解記
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000304/ps2_e1.htm

(2001年4月18日)

[Reported by date@impress.co.jp]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.