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ゲイツ氏がWindows XPのβ2バージョンを正式発表--今秋登場に向けてダッシュ開始


●Windows XPのスケジュールを発表

 Microsoftの次期OS「Windows XP(Whistler:ウイスラ)」のβ2バージョンが公式にアナウンスされた。3月26日からカリフォルニア州アナハイムで開幕されている、Microsoftのハードウェア開発者向けカンファレンス「WinHEC 2001」で、ビル・ゲイツ会長兼CSAが発表したもの。Windows XPは、Windows 2000コードをベースにしており、OSカーネルには大きな変更はないが、ユーザーインターフェイスは一新される。基本的には、Windows 2000の中程度のアップデートバージョンだ。

 今後のWindows XPのスケジュールは次のようになっている。


β2配布開始
リリースキャンディデイト16月早期
製造開始(RTM)第3四半期早期
Whistler Client EmbeddedRTMから30日
ServerとEmbedded ServerRTMから4~6ヶ月


 従来通りクライアント版が先行し、サーバー版はやや遅れてのリリースとなる。Whistlerのサーバー版は、Standard、Small Business、Advanced Server、Datacenter Server、Embeddedが提供される。

 デスクトップ版のRTMが第3四半期ということは、日米の最大のPC販売シーズンである年末商戦期にはリリースされていることになる。また、Windows XPのクライアント版にはビジネスPC向けの「Windows XP Professional」とホームPC向けの「Windows XP Home Edition」の2種類がある。つまり、Windows 9xコードベースのOSは、Windows Meで打ち止めとなる。ホームPCのOSは、これまでのようなWindows 9xの上に新機能を構築したOSではなくなるという劇的な変化を迎える。

●Windows XPでシングルコードベースへ移行

 ゲイツ氏はキーノートの中で、Windows XPの登場で、すべてのPC市場がシングルコードベースのOSでカバーされることを強調した。この、全OSファミリをシングルコードベースにすることは、Microsoftのかねてからの目標だった。Microsoftにとっても、サードパーティにとっても、開発の手間を大きく削減できるからだ。しかし、これはMicrosoftにとって非常にハードルが高かった。

 Microsoftは、当初、Windows 95以降のコンシューマOSはNTベースになるとアナウンスしていた。しかし、結局はWindows 98を出すことになり、その後もWindows MeまでずるずるとWindows 9xを引きずってきた。Windows NT/2000ベースのコンシューマOSは、当初は「Windows NT Consumer(NTC)」というコードネームでプロジェクトが始まり、「Neptune(ネプチューン)」を経て、今回のWindows XP(Whistler)へと変遷を重ねている。それだけ難産だったわけだ。だが、これで、MicrosoftのOS開発リソースは、ついに一本に絞ることができるようになる。サードパーティも、Windows 9xのインストールベースが消えてゆくにつれて、ドライバ開発などの労力が大きく削減できるようになる。

 Windows XPは、ユーザーインターフェイスが新しい「Luna(ルナ)」に変わる。ユーザーインターフェイスの変更は、Windows 95以来6年ぶりとなる。Microsoftは、Lunaについて、より人間の直感に訴えるダイレクトなインターフェイスで、機械的で不自然なデザインから脱したと説明した。簡単に言うと、これまでよりさらにタスクオリエンテッドのインターフェイスになった。Windows XPは、昨年のWinHECの段階では、どれだけユーザーインターフェイスが変わるか明らかにされていなかったが、結果としてはここが一番目立つ変更となった。

●XMLとPCプラスの時代へ

 また、ゲイツ氏はPCの進化を4つの時代で切り分けて、今後の展望も示した。ゲイツ氏の示したチャートを日本語にすると次のようになる。

時代ユーザー体験ソフトウェア
文字(キャラクタ)生産性MS-DOS
GUIマルチタスクWindows
インターネットブラウズWindows++
XML/PCプラスいつでもどこでも.NET



 つまり、PCはMS-DOSでキャラクタベースの時は生産性向上のためのツールだったが、GUIのWindows時代になりマルチタスクを達成し、さらにインターネット時代になりWindows+ブラウザによりネットワーク上のページとリンクの世界へと移った。それが、次のステップでは、.NETベースになることで、XMLによる分散化とPC以外のデバイスとの連携へと広がり、いつでもどこでもコンピューティングできるようになるというわけだ。

 その第1歩として、Microsoftは今回、コードネーム「Hailstorm(ヘイルストーム)」と呼ばれるXMLベースの.NETのビルディングブロックサービス群を示した。これは、Microsoftがインターネット上で提供するサービスで、.NETのコンポーネントとして、ローカルのコンポーネントとして連携させることができる。ただし、「.NET」テクノロジを中核に据えたWindowsのメジャーバージョンアップは、Windows XPの次の「Blackcomb(ブラックコーム)」に持ち越される模様だ。

 また、ゲイツ氏のキーノートスピーチでは、新しいPCのフォームファクタである「Tablet PC」のデモも行なわれた。Tablet PCは、フルPCのファンクションを備えたタブレット型PCで、Windows XP スーパーセットのTablet PCバージョンを搭載する。Tablet PCについては、別にレポートしたい。

□関連記事
【3月27日】WinHEC 2001前日レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010327/hec01.htm
【3月27日】【本田】Windows XPはノートPCの体験も変えてくれる?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010327/mobile94.htm
【3月13日】マイクロソフト、Windows XPを国内で公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010313/ms.htm
【2月14日】Microsoft、Windows XPのロゴとスクリーンショットを公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010214/ms.htm


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(2001年3月27日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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