マイクロソフト、Windows XPを国内で公開
~日本語版β2の画面を多数掲載

3月13日 開催


 マイクロソフト株式会社は、今年後半に発売を予定しているWindows XPのプレス向け内覧会を開催し、日本語版による解説とデモンストレーションを公開した。

●情報家電との連携を強調

 まず、製品マーケティング本部Windows製品部 部長の御代茂樹氏が、「iモードや新しいゲーム機の出現によって、コンピュータにかげりがでてきているのではないかというという話を聞くことが多くなった」とWindowsをとりまく環境の変化を述べた。

 しかし、「映像や音楽などがデジタル化することによって、PCは本来なにかを作り出すためのツールであるというムーブメントへ回帰してきている」と述べ、PCがデジタルメディアを扱うための家電や周辺機器と共同して情報を生み出すためのツールであるとの位置づけを述べた。いわゆるデジタルデバイスハブとしてのPCという構想だ。

●Windows XPの製品構成

Windowsロードマップ

 Windows XPの意義として、御代氏は「Windows 95以来の大きな改革」として、従来のWindows 9x系の16bitカーネルがなくなり、コンシューマー用と企業用のOSが同じ32bitカーネルと統合されることを挙げた。これによりWindows 2000カーネルの堅牢さとWindows 9x系のデバイス類のサポートが両立されるという。

 また、「Windows XP」はクライアント向けの製品の呼称であり、サーバーに関してはまだ名称が決定しておらず、部内でも「Whistler Server」というコードネームで呼ばれているという。また、ファミリーには組込用のEmbeddedバージョンが用意されるという。

 Windows XPは企業クライアント向けの「Windows XP Professional(以下Pro)」と「Windows XP Home Edition(Home)」が用意される。ProはWindows 2000 Professionalの後継にあたる。また、32bit版に加え、CAD/CAMや映像制作などの用途に向けたワークステーション用の64bit版が用意される。

 これに対しHomeはProのサブセットと位置づけられており、32bit版のみが用意される。また、マルチモニタ、リモートデスクトップ接続などの機能や、ドメインベースで管理されているWindowsネットワークへのアクセス、各種のセキュリティ機能がサポートされない。

●大きく変わったユーザーインターフェイス

ログイン画面 デスクトップ スタートメニュー

 今回公開されたのはβ2とされている日本語Build 2446だが、Windows 98などに慣れた目にはかなり大きく変わっている。

 まずスタートメニューは、クリッカブルなメニューになっており、パスワードロックをかけない設定も可能となっていた。各ユーザーの未読メールなどもここで表示される。

 また、デスクトップ上のアイコンはごみ箱だけになっており、すべての起動はスタートボタンが起点となっている。マイドキュメントやマイコンピュータについてもスタートメニューから開くようになっており、インターネットとメールはプログラム名ではなく、「インターネット」、「メール」という項目名で表示されている。また、表示されるアプリケーションは直前に使用した5つのアプリケーションになっている。

 マイドキュメントについてはあまり使われなかったという反省から、アイコンの大型化や、ファイル種別ごとの表示などが導入された。

 なお、Internet Explorerは6.0が搭載される。画面は公開されたがデモンストレーションは行なわれなかった。また、デモンストレーションにはPentium III 700MHzとPentium 4(クロック不明)、メモリ128MB、HDD 20GBの機材が使用されてた。

コントロールパネル Internet Explorer 6

●デジタルカメラとの接続にWIAを採用

 デジタルカメラ/スキャナとの接続についてはWindows Meで登場した「Windows Imaging Acquisition(WIA)」が導入された。会場ではコダックのUSB接続デジタルカメラからの画像の取り込みなどがデモされた。追加機能は多く、画像の回転、スライドショウ、シールなどのレイアウトも可能な印刷、メール添付の際のファイルサイズの最適化などの機能が公開された。通常の画像アルバムソフトにあるような機能はほぼ備えられており、msnのフォトアルバムへのアップロード機能などももっている。

マイピクチャ 写真の印刷

●Windows Media Player 8はWindows XPで初登場

 続いてCDからの音楽の取り込みがデモされた。使用されたアプリケーションは現在β版が公開されているWindows Media Player 8で、正式バージョンの単体での先行ダウンロードは行なわれずWindows XPへの搭載が初登場になるという。圧縮方法が変更され、圧縮率や音質が向上したという。また、Media Player 7では大きく固定されていたウィンドウサイズについても若干リサイズができるようになった。

 動画編集についてもWindows Meで搭載された「Windows ムービーメーカー」のバージョンアップ版が搭載される。会場ではPocket PC用に動画を出力し、シンクロしたPocket PCのWindows Media Player 7で再生するデモが行なわれた。

 なお、Media Player 8からはDVDの再生が可能となるが、MPEG-2のデコーダーは搭載されない。互換性のあるデコーダーボードか、Direct Show対応のデコーダーソフトが必要となる。

 また、Windows XPにはCD-R/RWのライティングエンジンが搭載されており、これらの音楽や映像をCD-R/RWにライティングできる。

Windows Media Player 8 コントロールパネル Internet Explorer 6

●リモートアシスタントとリモートデスクトップ

 リモートアシスタント、リモートデスクトップともいわゆるリモートアクセスツールだ。リモート先のコンピュータの画面が1つのウィンドウで表示され、全画面表示することもできる。リモートアシスタントはHome/Proともに搭載され、ヘルプデスクなどでの利用が想定されている。アクセスについては、メッセージの交換後にホスト側の許諾が必要な仕組みになっている。

 リモートデスクトップはProのみの機能で、認証されたユーザーが外出先から自分のオフィスのPCにアクセスするような使い方が想定されている。従来のターミナルサービスに近い機能だが、ハイカラーの表示が可能などの違いがある。

リモートアシスタント
リモートデスクトップ

●アクティベーションによる不正コピー防止

 最後に、2月に公開されたアクティベーションについて解説が行なわれた。アクティベーションは、不正コピーを防止するためにWindowsの導入後30日以内にライセンス認証を行なわないと、Windowsが起動しなくなるシステムだ。ライセンス認証はインターネットまたはコールセンターで行なわれるが、インターネットでは2分程度で自動的に終了するのに対し、コールセンター経由では口頭で数十桁の暗証番号を伝える必要があるため、実用的とはいえないだろう。

 なお、アクティベーションが必要となるのはパッケージで購入した場合で、プリインストールされているシステムでは不要となっている。Windows XPでは次回配布予定のβ2版からアクティベーションが必要となるという。

●発売は2001年の後半中

 Windows XPの発売予定については「2001年の後半中に発売予定」という従来の表現にとどまったが、サーバー製品については.NET用ツールなどの添付があるため、クライアントバージョンよりも1四半期遅くなる。

 Windows XPについてはβ2のあとでRC1(relase to candid 1)、RC2を経てRTM(Release to Manifactured)で製品化の運びとなるが、サーバー製品はRC3へと進むことも明らかにされた。

 パッケージについてはHome/Proの各パッケージと、Windows 98以降のWindows向けのHome/Proへの各アップデート版が用意される。Windows 95については「Windows 95をサポートするということは、'95年当時のデバイスをサポートするということでそれは難しい。約2年+α程度のデバイスのサポートを見込んでいる」としており、今回はアップグレードは用意されない。

●Windows XPでPCは面白さを取り戻せるのか

 スタートボタンとスタートメニューを中心に据えてデスクトップ上のショートカットを廃したユーザーインターフェイスにはとまどいと新鮮な印象の両方を受けるが、この正否については自分自身で使用してみないとわからないだろう。いずれにせよ、Windowsが初心者をターゲットとしており、初心者の使いやすさに注力していることは感じられた。

 これを除けば、WIA、Windows ムービーメーカーをはじめWindows Meの資産を継承しており、「Windows 2000のカーネルを持ったWindows Me」という印象が強い。また、Windows Media Player 8、CD-R/RWのライティングエンジンの搭載、デジタルカメラの取り扱いなど、アプリケーション寄りの話題が多く、新しいシステムとしての魅力が伝わりにくい。アプリケーションを取り込んで進化してきたWindowsの道筋を忠実にたどっているといえば、その通りなのだが。

 御代氏もiモードやゲーム専用機、Linuxなどを意識した発言を繰り返していたが、PCが魅力的な存在になるためにWindows XPが有効な手段となりうるのかどうか、見守っていきたい。

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□製品情報
http://www.microsoft.com/japan/windowsxp/
□関連記事
【2月14日】Microsoft、Windows XPのロゴとスクリーンショットを公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010214/ms.htm

(2001年3月13日)

[Reported by date@impress.co.jp]


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