Macworld Conference&Expo / Tokyo2001

ほぼ昨年並みの180,810名の来場者数を記録
Mac OS X対応のソフトウェアは緩やかな出荷へ

期日:2月22日~2月24日
会場:幕張メッセ4~6ホール


■Mac OS Xの完成度や内容にとまどいを見せる出展者も……

 180,810名の総来場者数を記録し、2001年のMacworldは幕を閉じた。これは、4日間にわたって開催された昨年とほぼ同じ水準で(昨年は182,688名)、数字上は盛況ととらえることができる。基調講演入場者数も6,600名(昨年は6,503名)と発表された。

 しかし、そうした数字上の結果とはうらはらに、展示の内容は年々寂しくなっているというのが取材を続けている実感だ。例えば、3~4年ほど前まではアップルコンピュータと並ぶExpoのもう一方の主役として会場を盛り上げていたデジタルカメラ関連の出展も、今回は三洋電機がちいさなブースを構えるにとどまった。そして、いわゆるイメージング製品を扱うメーカーの出展は年を重ねるごとに縮小傾向にあり、ブース自体の小規模化をはじめ、キヤノンのように出展自体を見合わせるところも少なくない。

 実はこの傾向は、ジョブズ氏のApple復帰やiMacのヒットなどとは無関係に続いている。確かにiMacは凋落していたApple Computerを救い、コンシューマ市場でのシェアを劇的に押し上げた。しかし、Expoとしての活気はMacの売り上げ不振に悩んでいた頃のほうが明らかに高く、iMacのヒットがあっても出展者離れは継続しているといっていいだろう。

 もちろん景気自体の後退という影響を見逃すことはできないが、景気だけでは語れないサードパーティ離れの要因も見え隠れする。たとえば、3月24日に発売を控えるMac OS X関連の出展をみると、その一部が垣間見える。確かに、Mac OS Xに対応するソフトや周辺機器などを展示しているブースには、Mac OS Xのロゴマークが掲示されてクローズアップされてはいる。しかし、その一方で出展者の多くは対応製品のリリース時期を明言できないでいる。彼らが口を揃えるのは、Mac OS Xがリリースに向けて現時点でも手が加えられ続けている以上、実際に市場に出た製品版の内容を確認するまでは自社製品の対応状況に確信が持てないという点だ。

 ジョブズ氏の基調講演を振り返ると、Mac OS Xに対応するソフトの発売は今春から徐々に増加し、今夏にピークを迎えると語っている。Apple Computerとしても、既存ユーザー向けのパッケージ版の出荷以上に、プリインストールモデルが発売される夏に重点を置いているのは間違いない。次世代OSへの移行は、Apple Computerにとってもサードパーティにとっても大きな賭けだ。Apple Computerの提示と同じほうへと賭けざるをえないサードパーティにとって、前述のような状況は不安感を増すことさえあれ、勝利への期待に結びつくことはない。

 Mac OS Xのロードマップは、3月24日に全世界で既存ユーザーに向けたパッケージ版を出荷し、今夏のハードウェアへのプリインストールへと続いていく。2002年に開催されるMacworld Conference&Expo/Tokyoのスケジュールはまだ発表されていないが、その会場でMac OS Xの成功を描き出すことができるかどうか。正念場といえる1年間がはじまった。

バード電子のG4 Cube向けクーラー。上部に設置するタイプと(写真右が取り付けた状態)、底面に配置する台座型がある。台座のほうは試作こそしてみたものの、それほど冷却効果が期待できないということで発売は見送る予定だったが、そのデザインが意外に来場者には好評。そのため冷却力の改善を検討中とのこと 前回のサンフランシスコEXPOでも紹介したG4 Cube用のドック「Cube Stand」。日本ではバイオスが代理店となって販売される予定。写真は改良が進んで、5インチのドライブベイを搭載するタイプ

企画室ゆうのPowerBook向け交換用キーボード。Aキーの横に配置されるCTRLキーやキータッチ、ASCII配列などのこだわりでPowerBook2400用が大ヒットした。今回出展されていたのは、間もなく発売になるPowerBook G3用の製品と、写真の試作されたPowerBook G4向けの製品 青色LEDを使った光学式マウスはセンチュリーの参考出展。昔からのユーザーに人気の高い“角マウス”の形状を模しているのがポイント。赤色に比べて遙かに高い青色LEDのコストのため、なかなか価格を安くできないことをユーザーに理解してもらえないのは悩みの1つとか…… id east endが参考出展した「Arch 43」。木製のスタンドにはApple Pro Speaker用のアルミ製台座が取り付けられている。この台座は小型のスピーカーをテーブル面から離すことで音質の向上を図ると同時に、スピーカーの向きを自由に変えられる機能があるという

ヒッツコミュニケーションズの光るUSBケーブル。当初は展示用に作成したそうだが、来場者の注目が高いことから、急遽製品化を決定したとのこと デンノーが参考出展したUSBとFireWireのコンビネーションハブ(右)。8,000円程度の価格を予定しているという。いっぽう左の小型FireWireリピーターは、それほどニーズが見込めないということで発売は見送られる模様 Mac対応の「Millennium G400」。日本ではインフォマジックが発売する。2つのインターフェイスはいずれもVGAで、マルチモニタ環境を1枚で実現できる。展示されているのはAGP版だが、PCI版も出荷予定。3月中旬に3万円台後半で販売される見通しだ

松下電器産業の参考出展。スタンドアロンでPCカードからスーパーディスクへとデータをコピーできる。ドライブ側はフロッピーディスクの32MBフォーマットに対応したドライブを採用。USBインターフェイスを使って、外部ドライブとしても利用できる ピクセラが参考出展した無線LANのアクセスポイント。CFカードスロットを持ち、P-in Comp@ctなどCFタイプのPHSを外部へのアクセスに利用することができる。ほかにもシリアルポートとEthernetポートを装備する。Linuxを搭載して、設置も容易とのこと。802.11b準拠でAirMacに互換。夏頃の発売を予定している ヤノ電器が参考出展したコミュニケーション・ファイルサーバ「YFS-II(仮称)」。Linuxを搭載したファイルサーバで、AppleShare、SMB、NFS、そしてQuickTimeストリーミングに対応する。小規模オフィスでのマルチプラットホーム環境をサポート

加賀電子の「Super Bay Dock」。PowerBook G3向けのドライブベイ用デバイスを流用できる。インターフェイスにはFireWireを採用。PowerBook G3からG4へと乗り換えたときも、既存の機器が利用できるようになるのは嬉しい Ultra ATA100のインターフェイス上に2.5インチハードディスクを搭載するコンビネーション製品。加賀電子の「STF-Ez20GLP/30GLP」。どちらかと言えばPC向けの製品だが、PowerMac G4でも利用できる これも加賀電子、3.5インチサイズに収まるMOとフロッピーディスクのマルチドライブ。MOはATAPIで、FDDはUSBで接続する

ヒッツコミュニケーションズに展示されていたPCIバス用のUSB 2.0インターフェイス USB 2.0に対応したポータブルCD-RWドライブ。加賀電子のブースに展示されていた。担当者によれば、Mac向けの対応もするが、どちらかと言えばPCをターゲットとした製品だという こちらもUSB 2.0対応のCD-RWドライブ。QPSブースの参考出展。MacプラットホームにおけるUSB 2.0のサポートは不明瞭だが、PC向けに期待をするという周辺機器メーカーは多い

Microsoftブースといえど、それほど大規模というわけではない。この裏にはプレゼンテーション用のステージが用意され、Office2001を紹介していた 参考出展の「Microsoft Trackball Explorer」。Mac対応のドライバを用意して、今春に発売予定 Windows Media Player7のMac版をデモ。現状はプレビュー版といったところで、正式版は夏頃をメドに公開するとのこと

シマンテックはブースの一角で「Norton AntiVirus」と「Norton Personal Firewall」のMac OS X対応版を公開。定番の「Norton Utilities」は間に合わなかったという。とりあえず動作はしているが、開発状況はαレベル。発売はできるだけ早くと思っているが、なにはともあれMac OS Xの出荷待ちになるという ジョルダンの「乗換案内」もMac OS X対応版を公開。こちらも発売時期は未定 ソニーのコミュニケーション・チャット「こみゅー3D」。出展されたMac向けのβ版はMac OS Xに対応。ブースでは、3月下旬に予定されているMac版βテストのテスター募集も行なわれた


□Macworld Conference&Expo / Tokyo2001のホームページ
http://www.idg.co.jp/expo/mw/

(2001年2月27日)

[Reported by 矢作 晃]


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