NEW PRODUCTS TESTREPORT

	ギルモ
	Game Theater XP
	外付けモジュール付きの高機能サウンドカード
	TEXT：藤本 健　Ken Fujimoto

外付けボックスの中はただ配線されているだけではなく、しっかりと設計された基板が使用されている。このことからも本機のクオリティの高さがうかがえるだろう

　ギルモのHerculesブランドから、新しいコンセプトのサウンドカード、Game Theater XPが発売された。これは、強いて言えばクリエイティブメディアのSound Blaster Live! Platinumの対抗馬にあたる多機能型のサウンドカードなのだが、それとも異なる特徴を多く備えている製品だ。

　右下の写真を見ても分かるように、本製品はサウンドチップにCrystalのCS4630を採用したPCIインターフェースのサウンドカードであるが、PCIカード1枚で完結するものではない。外部に1Uハーフラックタイプ（DTM音源などと同じ大きさ）のモジュールを接続して初めて使用可能となるのだ。external rackと呼ばれるこの外付けモジュールは金属のシャーシで作られていて、かなりガッチリとしている。これまでもオーディオカードと言われる高級なプロレコーディングに用いる機材では、こういった構成のものはあったが、コンシューマ向けでは本機が最初だろう。

　このモジュールとPCIカードはDsub42ピンのケーブルで接続する。添付のケーブルは2mもの長さがあるので、どのように設置するにも不足はない。ただ、PCのすぐ近くに置きたい場合、ケーブル自体が太いので、多少じゃまかもしれない。

外付けボックスの前面にはヘッドホンやマイクといった端子が並んでいる

　Game Theater XPの特徴およびスペックは、このモジュールに用意された端子を見ればほぼ理解することができる。フロントパネルから見ていくと、まず標準ジャックのヘッドホン端子およびマイク入力端子、それと連動したボリュームがある。ステレオミニジャックではなく、標準ジャックを使っているので、ノイズなどの影響も軽減される。またその隣にはアナログのラインインがピンジャックで用意されている。右側を見ると、ここにはDsub 15ピンのゲームポートと、USB端子が二つある。USBは主にジョイスティックとの接続を想定しているようだが、もちろんほかの用途でも使えるので、結構便利だ。また、これまでのサウンドカードは、ほぼすべてゲームポートはPCIカード上にあり、PCの背面に接続しなくてはならなかったが、これならば取り付けも簡単になる。

背面には、アナログ5.1ch用の出力とS/P DIF入出力が備えられている

　次にリアパネルを見ると、ここにも数多くの端子が用意されている。まずアナログ出力端子を見ると、“main/front”と書かれている部分にはステレオミニジャックとともにRCAピンジャックが二つずつ、同様に“surround”の部分も同じ構成となっている。さらにcenter、subwoofer出力用のRCAピンジャックがあるわけだが、これを見れば、5.1ch出力をサポートしていることが理解できるだろう。カードや外付けボックスがDolby Digitalのハードウェアデコーダを搭載しているわけではないのだが、ソフトウェアDVDプレイヤーであるPowerDVD 3.0がバンドルされており、これによってデコードを行なうことで5.1chの信号を生成できるのだ。

ブラケット部には外付けボックス用の専用コネクタと、LINE IN端子が存在する

　背面中央部を見ると、USB端子がさらに二つ、そしてPCIカードへの接続端子がある。その右側にはS/P DIF端子、つまりデジタルオーディオ入出力端子が存在する。同軸、光角形それぞれの入出力があるので、ほとんどの機材と接続できる。ただし、出力に関しては48kHz固定のようだ。そして、一番端にはMIDIの入出力端子が配置されている。

　これだけのハードスペックに加え、バンドルソフトも数多くある。PowerDVD 3.0のほかMusicmatch Jukebox、Sensaura Virtual Ear、ACID Xpress、Siren Jukebox、Yamaha XGstudioなど、実に充実している。

サウンドカード部はCrystalのCS4630を採用している。これに二つのCODECが接続されるDual CODEC仕様だ

　本製品は、多くのマシンにもオンボードのサウンドチップが搭載されている時代だからこそ登場した、高音質・多機能サウンドカードと言える。ただ音が鳴るだけの環境から一歩進んでみたい方にぜひ注目してほしい製品だ。