元麻布春男の週刊PCホットライン

Ethernetをそのまま無線化するアダプタを試す


●電波環境が悪いわが家

MOよりひとまわり小さいボディ
 筆者の家でPCが設置されているのは、仕事場に使っている部屋だけではない。以前、このコラムで書いたように、リビングルームにもPCが置いてある。この2つの部屋の間は、ちょっとした廊下で区切られており、廊下の両端には扉がある。つまり、PCが設置された2つの部屋は、2枚の扉と廊下で分離されているわけだ。

 この2つの部屋をLANで接続したい、という思いがなかったわけではない。が、廊下にそってゾロゾロとケーブルを引きまわすのには何となく抵抗があった。となると残る手は無線LANということになるのだが、なかなか導入する踏ん切りがつかなかった。その最大の理由は、わが家が電波地獄!? のような環境にあるからだ。

 前回取り上げたIntel Wireless Seriesが全く動かなかったように、どうも電波を使ったデバイスにとって、わが家は鬼門のようである。筆者の仕事部屋では、LogicoolのCordless Mouseは動くものの、Intel Wireless Seriesは全滅。リビングルームになると、LogicoolのCordless Mouseも動いたり動かなかったり、という状況で、もちろんIntel Wireless Seriesはピクとも動かない。また、某社のデジタル携帯電話も、圏外となってしまう(これでも世田谷区内で、幹線道路に面しているのだが)。

 このような状況を考えると、どうしても「無線もの」には手を出しにくい。最近は安くなってきたとはいえ、もし無線LAN機器を購入して動かなかったら目も当てられない。どうしても接続できないと困る、という切実な理由がなかったこともあって、これまで2つの部屋はつながれることなく放置されてきた。

●10Base-Tをそのまま802.11bに変換

 と、そんな状況の中、ひょっこりPC Watch編集部から、無線LAN機器を試用する機会が与えられた。モノは新潟キヤノテックのNetHawk RF-100E。IEEE 802.11bに準拠した無線LANアダプタである。標準価格が34,800円のこのアダプタを2台セットで借りることができた。

 一般のユーザーに新潟キヤノテックという会社の知名度がどれくらいあるのかは分からないが、筆者がピンとくるのはキヤノンのレーザーショットシリーズのプリンタのネットワークアダプタを出している会社である、ということ。どちらかというと、独立した製品というより、プリンタのオプションを作っている会社、というイメージが強い。

 ただし、このRF-100Eは、レーザーショット専用のオプションではない。PCであろうとプリンタのような周辺機器だろうと、10Base-Tに対応した機器に接続可能な無線LANアダプタだ。プロトコルの種類(TCP/IP、IPX/SPX、NetBEUI等)も一切問わない。無線によるブリッジみたいなものだ。すでに10Base-Tインターフェイスを備えた(つまりドライバがすでに組み込まれた)機器に加えるものだから、RF-100Eを利用するにあたって新たにドライバ等を組み込む必要もない。

 一般に無線LANの利用には、無線LANの端末同士のみが通信を行なうAdHocモード、各端末がアクセスポイント経由で通信を行なうInfrastructureモードがあり、RF-100Eは両方のモードに対応する(RF-100EはInfrastructureモードの端末側にも、アクセスポイント側にも用いることができる)。ただ、現在無線LANアダプタ、特にPC用のアダプタとしては、RF-100Eよりもっと安価なPCカードタイプのものが多数販売されており、価格競争力的にちょっと辛い。やはりネットワークインターフェイスを内蔵したプリンタ等、PC向けの安価なアダプタが利用できないネットワーク機器を直接AdHocモード、あるいはInfrastructureモードで無線LANに加える、といった用途向きである(このあたりは、やはりプリンタ用のネットワークアダプタを手がけている会社らしい)。

 筆者がRF-100Eを面白いと思ったのは、2台のRF-100Eを用いて2つの有線LANセグメントを接続することができることだ。一方の有線LANセグメントに接続可能な端末の数が16台までという制約があるため、大規模な企業のネットワークには不向きだが、筆者の自宅のような環境、6台のPCが接続された仕事場のLANと、2台のPCが接続されたリビングルームのLANを接続するには何の問題もない。2台のRF-100Eがあれば、8台のPCですべてのリソースを共有することが可能になる。

●無事に2つのLANを接続

 というわけで、果たして接続できるかどうか、おそるおそる試してみることにした。箱から取り出したRF-100Eは、思った以上に小さく、およそタバコの箱大。利用に際してはACアダプタも必要だが、その大きさはRF-100Eの半分というところだ。

 RF-100Eを使うには、まずどのモードで利用するか、設定しなければならない。設定は、RF-100EをストレートケーブルでPC(もちろんEthernetを内蔵した)と直結して行なう。この時、PCとRF-100Eの両方に適当なプライベートアドレスを設定するが、これは設定だけに用いるもので、実際の利用には一切関係しない。また、設定の済んだRF-100Eは、プロトコルもOSも一切不問だが、設定ユーティリティが動くのがWindows系OSのみであるため、最低1台はPCが必要になる。LAN間接続の場合は、設定ユーティリティのLAN間接続のタブで、通信相手(RF-100E)のMACアドレス(底面のラベルに書いてある)を入力する必要があるが、いずれにしても難しいものではない。

 2台とも設定が終わったら、いよいよ接続。ちょっと不安だったが、そんな心配は全くの杞憂に終わった。何事もなかったように、2つのLANは接続されてしまった。設定用ユーティリティの環境測定タブを使って状態を調べてみた。送受信ともエラーは0で、信号強度は6割ぐらいという表示だったが、どのくらいなら良いのか、などこの状態を判断する材料がなにもない(マニュアルにも何も書かれていない)ため、これで問題なのか問題ないのか、何とも言えないのだが、無線で2つのLANがつながっていることは間違いない。試しに無線越しにプリントしてみたり、ファイルのコピーをしてみたが、もちろん何の問題もなかった。

  残る問題は、筆者にとって2つのLANを接続する利点が、6万なにがしかの金額に見合うかどうかの判断だけ。これがとても微妙だったりする。

設定画面 無事に接続
□関連記事
【1月22日】新潟キヤノテック、Ethernetケーブルを無線化するLANアダプタ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010122/canotec.htm

(2001年2月21日)

[Text by 元麻布春男]


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