プロカメラマン山田久美夫の

「FinePix6800Z」ファーストインプレッション


 3月4日に発売予定の富士写真フイルムの記録画素603万画素ハニカムCCD搭載モデル「FinePix6800Z」の山田久美夫氏によるファーストインプレッションを公開する。スペックなどについては参考記事を参照されたい。

 撮影した本体はβ機。特に指定のない画像は2,832×2,128ピクセルで撮影している。露出、ホワイトバランスはオート。また、縦位置の画像はサムネールのみ縦位置とし、画像データは回転させていない。なお、各サムネイルをクリックすると表示される画像は約1.1MB程度あるので注意されたい。(編集部)


 富士フイルムから、毎春恒例となった縦型FinePixの最新モデル「FinePix6800Zoom」が発表された。

 今回のモデルでは、昨年の「FinePix4700Z」に初搭載された同社開発の「スーパーCCDハニカム」が、第二世代となり基本性能がアップ。さらに、画素数もハニカム配列の330万画素(有効画素数301.5万)となり、記録画素数もそれに伴って603万画素となった。

 さらに、デザインをポルシェデザイン社が担当。従来の比較的シンプルでソリッドなデザインから一転し、量感のある存在感あふれるものとなっている。

 また、ダイアルやノブには、往年の銀塩カメラのように、細かなローレットが切ってあり、細かな点までこだわったモデルであることを印象づけている。

屋外撮影

 手にした感じは、従来の「FinePix4700Z」よりも自然なホールド感を実現しており、とても好感が持てる。また、光学ファインダーの位置がセンターからボディー端に移動したことで、ボールド時に鼻がボディーに当たらなくなった点もいい。

 液晶ファインダーの視認性も向上しており、より明るく見やすいモノへと進化している。ただ、光学ファインダーの見え味はあまり向上しておらず、視野が小さい(倍率が小さい)点が気になった。

 起動時間は約2秒、撮影間隔はほぼ1秒と、相変わらず軽快なもの。さらに本機では、通常の他社モデルと同じように、撮影直後に画像を液晶モニター上で確認できるようになった点も便利だ。基本的な操作感は、FinePix4700Zのものを踏襲しており、ほとんどの操作が右手だけでできる。

 今回はベータ版であり、しかも発表会後の悪天候下で、時間帯も夕方という最悪に近い撮影条件だった(もちろん、天候が回復次第、好条件下での実写データも公開する予定だ)。

 そんな条件下で、オートホワイトバランスで露出補正なしで撮影したわけだが、それでも画質は上々。従来から指摘されることの多かった、ハニカムCCD特有のノイズ感が大幅に軽減されている。また、ハニカム独自の補間演算による輪郭処理も以前より自然なものになっている。色調は、FinePixシリーズらしい見栄えのするものだが、肌色の再現性などを見ると、従来機よりもさらに自然な印象がある。

屋外撮影

 ただ、今回の330万画素ハニカムCCDは、従来の240万画素タイプに比べ、基本となる感度がISO200からISO100へと変更されている(ちなみに、最新モデルの「FinePix4900Z」はISO125の設定がある)。これは、CCDの高密度化と、階調性やノイズ軽減を重視した結果といえるわけだが、やはり以前に比べると、感度が低下した分、カメラブレが起きやすい。もっとも、他社の1/1.8インチ334万画素機では、ISO100が中心であり、画質重視のためにわざわざISO50設定のあるモデルもあることを考えると、これは大きなマイナス点とはいえないだろう。

 標準付属のクレードルによる充電とUSB転送は実に便利。クレードルの質感やデザインは今ひとつで不満があるが、機能的にはきわめてよくできている。とくに、クレードルに置くだけで自動的に充電されるため、感覚的には携帯電話やPalmに近い使い勝手のよさがある。従来機の単三電池の便利さは大きな魅力だが、これだけ簡単に充電できれば、専用充電池でもいいかなと思わせるものがある。

 また、クレードルのボタンを押すことで、USBによるデータ転送が簡単にできる。さらに、この接続時に自動起動する付属のビュワーソフト「FinePixViewer」の仕上がりが秀逸。これなら、単なるFinePix用付属ソフトではなく、デジタルカメラユーザーの標準ビュワー的な常用ソフトとしても使えそうだ。

 本機の大きな特徴であるインターネット関連サービスはまだオープンしておらず、試すことはできないが、ネットへのアップロードやFDiサービスとの連携。さらに、PCカメラ機能を使ったテレビ電話など、デジタルカメラをさらに楽しめる機能が満載されており、撮ったあとも気軽にデジタルフォトを楽しめそうだ。

 正直なところ、発表会での第一印象は、これまでの縦型モデルほど強いインパクトはなかった。だが、実際に手にして、使ってみると、実によく考えられたモデルという印象に変わってきた。

 ポルシェデザインの手による新デザインを含め、第一印象よりも、じわじわとよさが伝わってくる、長くつき合えそうな予感のあるモデルといえる。

マクロ撮影 人物撮影

□富士写真フイルムのホームページ
http://www.fujifilm.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj729.html
□関連記事
【2月1日】富士フイルム、ポルシェデザインの縦型デジタルカメラ「FinePix6800Z」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010201/fujifilm.htm

(2001年2月1日)


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[Reported by 山田久美夫]


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