NEW PRODUCTS TESTREPORT

	メルコ
	HP6-MX700 HCL-MX700
	Celeron 700MHzを採用したCPUアクセラレータ2製品
	TEXT：森里太助　Tasuke Morisato

HCL-MX700。Celeron 700にアダプタを装着することで、多くのメーカー製PCに対応する

　IntelからPentium 4 1.5GHzが、AMDからAthlon 1.2GHzがリリースされ、CPUの速度は目まぐるしいスピードで向上してきている。技術が進歩することは大変喜ばしいことなのだが、こういった環境ではほんの数カ月前に購入したPCが、すぐに時代遅れになってしまう。ソフトウェアの面でも、PCでDVD-Videoを見たり、多くのレンダリング処理が施された3Dゲームをプレイしたりと、一昔前に比べてCPUに高い処理能力を要求するようになってきたのも確かである。そこで、以前購入したPCをアップグレードしたい場合、まず最初に考えるのはCPUのリプレースだろう。CPUを高い周波数のものに置き換えるだけでPCの処理能力は格段に向上する。しかし、自作PCの場合、CPUのアップグレードはたやすいが、メーカー製PCになると話が違ってくる。なぜなら、電気的な仕様上、最新のCPUが動作しなかったり、物理的な形状により、装着が難しかったりするものが存在するためである。そういった場合に重宝するのがCPUアクセラレータだ。

HP6-MX700。写真左上のチップ内にMaltiple Adapter D2000用のデータが書き込まれている

　メルコから発売されたHP6-MX700およびHCL-MX700というCPUアクセラレータは、それぞれSlot1、Socket370に対応し、CPUにはIntelのCeleron 700MHzを採用している。それぞれ形状の差異から対応機種が異なっているのは当然だが、そのほかにも両者は若干仕様が違っている。まず、HP6-MX700には「Multiple Adapter D2000」と呼ばれる機能が搭載されている。これは、搭載するだけでPCの仕様を検出し、必要な設定を自動的に行なうというものだ。そのため、本製品ではCPUアクセラレータとしてはめずらしくディップスイッチなどが一つも用意されていない。この機能はCPUのアップグレードに不慣れなユーザーにとっては非常にありがたい機能と言えるだろう。

HCL-MX700の裏側にはディップスイッチが用意されており、対応機種ごとに設定を変更する必要がある

　一方のHCL-MXでは、この機能は搭載されておらず、製品裏側にはディップスイッチが用意され、対応機種によりユーザーが適宜設定を変更する必要がある。できることならば、こちらの製品にもMultiple Adapter 2000を搭載してほしかったと思うのは筆者のわがままだろうか。だが、メルコでは「CPUアクセラレータ取り付けサービス」を用意し、有償となるがPCの引き取りからCPUの交換、動作確認まですべてを代行してくれるため、装着に自信がないというユーザーは利用してみるのもよいだろう。

写真はHCL-MX700をFMV-DESKPOWER K3/50cに取り付けたところ。なお、この機種はユーザーによるCPU換装が推奨されておらず、メルコの有償取り付けサービスを利用する必要がある

　では、実際に対応機種である富士通のFMV-DESKPOWER K3/50cにHCL-MX700を装着し、そのパフォーマンスをSandra 2001 Standardにより計測してみた。このFMV-DESKPOWER K3/50cには、Celeron 500MHzが搭載されており、HCL-MX700を搭載することで700MHzに動作周波数が引き上げられることになる。その結果のうち、とくに注目したいのはInteger SSE/MMXとFloting-Point SSEの値で、それぞれ約1.9倍および約6.5倍の伸びを見せている。これは、HCL-MX700に搭載されたCeleron 700MHzがSSEに対応していることが大きな要因だ。そのため、3DゲームやMPEGエンコード/デコードなど、SSEの効果が大きい処理を行なう場合には、格段の性能アップが見込める。

　価格は両製品とも31,000円となっており、Celeron 700MHzが10,000円前後で販売されていることを考えると高価な感がするのは否めない。しかし、両製品により得られるパフォーマンスアップは大きく、費用対効果を考えても、非常にお買い得な製品と言えるだろう。

【ベンチマークの結果】