ビル・ゲイツ基調講演レポート
~ Whistler、Pocket PCの音声入力をデモ ~

1月6日(現地時間)開催

会場:Las Vegas Hilton Theater


 2001 International CES(Consumer Electronics Show)が1月6日(現地時間)に開幕した。Kick-Off講演はIntelのバレット社長兼CEOに奪われた形となった、Microsoftの会長兼CSA(Chairman and Chief Software Architect)ビル・ゲイツ氏は、開幕初日のまだ会場がオープンする前である、早朝午前8時30分から基調講演を行なった。

 例年、CESでのビル・ゲイツ氏の基調講演は、COMDEX Fall/2000から1カ月半程度しかたっていないこともあり、ほとんど同じ内容の場合が多い。しかし、今回はまったく内容が異なり、実演を交えながら一般消費者にもわかりやすい内容となった。また、恒例の笑いをとって会場を盛り上げるビデオも上映されず、非常に実際的な紹介が行なわれた。さらに、盛りだくさんの内容で、講演が終わってみれば予定を30分もすぎていた。


●ビル・ゲイツ人気、今だ衰えず

 今回の基調講演では、事前にXboxに関する発表が行なわれるという情報が流れていたこともあり、会場は早朝にも関わらず、1時間前には長蛇の列ができた。先着順での入場となったが、入れない人も出たというほどの、盛況だった。

 なお、Xbox関連の発表については、GAME Watchでレポートしているので、そちらを参照していただきたい。


●25年で急速に進化

 ステージが明るくなると、CEA(Consumer Electronics Association)のGray Shapiro氏(President and CEO)が登場し露払いを務めた。そして、ビル・ゲイツ氏がステージに登場すると、満場の拍手で迎えられた。

 “Good Morning”の第一声から基調講演が開始、今回の講演タイトルは「The Emerging Digital Lifestyle(新生デジタル生活)」だ。まず「昨年でMicrosoftは25周年を迎え、ポール・アレンとともにマイクロプロセッサとソフトウェアが一体となり、新たな素晴らしい経験へ導いてくれるという夢に立ち返った」と語り、この25年間でハードウェアもソフトウェアも大きく変わったとした。

 その大きく変化した流れを短くまとめたビデオが上映され、そこに「ALTAIR 8800」が映し出されると、場内から笑いが起こった。このビデオが終了すると「ハードウェアの進歩がキーである」とし、PCにはマイクや、デジタルカメラが組み込まれ、新しいコミュニケーションの形を提供するようになるだろうと語った。



●Whistlerをデモストレーション

 さらに「これからの時代はコミュニケーションが重要であり、具体的には家族写真を共有したり、好きな時に好きな音楽を聴いたりということなどである」とし、このことを実現するために重要となるキーの1つがソフトウェアと説明。そのことを見せるために、次世代Windows「Whistler」(ちなみに、Buildは2415.lab06_N010102-1932だった)のデモストレーションが行なわれた。

 まず、行なわれたのがユーザーのプロフィールをログオフ/ログオン作業なしに短時間で切り替えられるデモ。複数のユーザーがいても使いやすいことを強調。さらに、デジタルカメラの画像をウィザードで取り込み、その画像をネットワークに接続された家庭内のデジタル額縁に表示したり、インターネット上に保存できることも説明した。

 次に提示したのが「Internet radio」で、それを活用する新しいPC周辺機器のプロトタイプも紹介された。そのデバイスにはスピーカーとマイク、小さなディスプレイを装備。音楽を聴いたり、インターフォンとして使ったり、目覚まし時計としても機能する。また、このデバイスは、PCに接続してPCのパワーを利用するため、低価格化であるという。



●Pocket PCも音声認識でより使いやすく

 その後、話題はインターフェイスに移り「これからは、手書き機能が必要であり、さらに最終的な入力手段は音声認識」と語った。重ねて「USBがPCを大きく前進させたが、これからは無線になろうとしている」とし、数年の間でよく聞く名前を「802.11」と予測。さらに802.11を補足するのが「Bluetooth」と説明した。つまり、802.11は家全体をカバーするのに対し、Bluetoothがより個人のネットワークであるということになる。

 そして、これまでの説明を実現する新機能を追加した「Pocket PC」のデモストレーションが開始された。このPocket PCは無線ネットワーク(規格については説明されなかった)で接続されており、ステージ上を歩き回ってもネットワークの接続は保たれる。

 さらにPocket PCに「Send mail to Nicky」、「Would you like to go to dinner on Sunday night?」と話しかけ、メーラーが起動し液晶に話したままの文章が表示されると、会場から盛大な拍手が起こった。聴衆が沢山いる中で、ヘッドセットマイクを使わずに、正確な音声認識ができることを誇った。なお、ハードウェア的にはCompaqの「iPAQ Pocket PC」と同じもののようだった。

 また、Whistler PCとオーディオ機器を「category 5 wire(IEEE-1394)」で接続。Whistler PCが橋渡しの役目を果たし、Pocket PC上から音楽を再生したり、ボリュームをコントロールしたりと、まるで多機能なワイヤレスリモコンのように使えることをデモストレーションした。また、動画もインターネット上にストレージして、手元で再生できるとした。

 さらに、Windows CEの成熟した形として紹介されたのが、日立の「Wearable Internet Appliance(WIA)」だ。WIAは、ポケットサイズの本体に、眼鏡型のディスプレイ(島津製作所)を接続したもので、 SH-4とCE development kitを使用することで、約3カ月という短期間でプロトタイプを作ることができたという。

日本の列車は乗車時間が長い上、パソコンをひろげて仕事をするスペースがない。だから、このWIAはそんな日本のマーケットにぴったりであると説明していた。冗談なのだろうか?


●デュアルチューナ搭載のデジタルビデオデッキ

 また、“究極のテレビ”(Ultimate TV)もデモストレーションされた。これは既に発売されているDVR(Digital Video Recording)技術を搭載した製品。もちろん、追っかけ再生などのタイムシフト機能を備えているが、チューナを2つもっているところが新しい。

 これにより、ある番組をオンタイムで見ながら、録画している番組をpicture in pictureで表示できるほか、同じように画面を静止することもできる。

□2001 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□Microsoftのホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/
□基調講演のトランスクリプト(英文)
http://www.microsoft.com/billgates/speeches/2001/01-06ces.asp
□日立のWIAのニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/Prod/vims/wia/index.html
□関連記事
【2000年11月13日】ビル・ゲイツ基調講演レポート
~.NET対応Office 10とWhistlerで動作するタブレットPCをデモ~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001113/comdex03.htm
【2000年11月13日】Microsoftビル・ゲイツ会長、基調講演詳報
Xbox開発中のタイトルとしてOddworldなど4本を紹介(GAME Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20010107/xbox3.htm

(2001年1月8日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp/]


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