COMDEX/Fall 2000 展示会場レポート

ソニーブース&メモリースティックパビリオン編

会期:11月13日~11月17日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center


 例年、COMDEXでは意欲的な展示を続けているソニー。今年も、初披露となるいくつかのテクノロジーデモを、様々な新製品とともに出展している。

 さらに今回は「メモリースティックパビリオン」を自社ブースとは別に設営。ライセンシー各社とともに、最新のメモリースティック対応ハードウェアやメモリースティック拡張モジュールなどの展示を行なった。会場の模様を写真を中心に紹介する。


● ブロードバンドネットワーク時代を見据えたテクノロジーを紹介

 ソニーブースの構造は昨年とほとんど変わらない。ブースの一角に設けてある階段から来場者を誘導して、ブースの二階部分に用意されたスクリーンでイメージ映像を流す。上映の終了後にスクリーンを開いて、さもイメージが具体化したようにブース内へと導くお馴染みのスタイルだ。そのため展示はブース内側へと向いているのが特徴でもある。そのなかで唯一、AIBOを紹介するコーナーだけが展示会場へ外向きに作られていて、まさにペットさながらに行き交う人々を誘いかけているというわけだ。

 展示されている製品の多くは日本のユーザーとって見慣れたものだが、クルーソー搭載のC1に代表されるように、この場が米国での初公開となるものも含まれている。日本で先日正式発表されたVAIO GTとVAIO QRは、日本での参考出展時と同様にプレゼンターがミニステージに登場して披露する形が取られている。

 日本未公開となるのは、いずれもテクノロジーデモ(技術参考出展)として展示されているブロードバンドネットワークを意識したプロトタイプ。1つは、IEEE802.11bをベースとしたホームターミナルで、すでに出荷されている同社ワイヤレス製品の中心に位置付けられるもの。もう1つは、ブロードバンドネットワークで実現する双方向の大容量データ転送をベースに、新しいコンセプトのホームサーバーとでも言うべきものである。


将来のブロードバンドネットワーク時代のために、全く新しいコンセプトで開発されているという家庭向けのゲートウェイ機器。VDSLや光ファイバー、サテライトサービスなどが一般化したときに、高速な双方向通信をどのように活用していくかという提案でもある。家庭内でのインターフェイスには、i.LINKやEthernetを想定。デモンストレーションでは、テレビ電話システムやリアルタイム映像を使ったオンデマンドでの情報提供などが披露された。展示されている機器は、あくまで製品化時のイメージとなるモックアップで、実際のデモはバックヤードにある機材を使って行なわれている

こちらIEEE 802.11bを家庭内のインフラとするホームターミナル。現行のワイヤレス製品に、ハードディスクや各種インターフェイスなど、必要な要素を単純に詰め込んでみたところ、こうした大きさとデザインになったとのこと。ただし、このコンセプトを製品化するときには、背後に写っている現行製品(PCWA-A100)の倍程度に収めたいとしている


Bluetoothを搭載したVAIO C1。一見稼働しているかのように見えるが、実際には機能していない。隣接して展示されているポータブルミュージックプレイヤーやヘッドセット、PDAなどBluetooth対応機器とされる完全なモックアップとともに、ソニーもBluetoothへ意欲的に取り組むという意思表示とのこと


● メモリースティックパビリオンでは、拡張モジュールをデモ

同じラスベガスコンベンションセンターのサウスホール内だが、ソニーブースからはやや離れた位置にある「メモリースティックパビリオン」。ライセンシーの1つ、GM製のクルマも展示されている
 今回のCOMDEXでは、ソニーブースとは別にメモリースティックに特化した「メモリースティックパビリオン」と呼ばれる展示エリアを設営。ライセンシーであるサードパーティ各社のハードウェアが勢揃いしている。

 さらに、ちょうど一年前のCOMDEXで明らかにされたメモリースティックに拡張機能を持たせるという製品プランが「Memory Stick Expansion Modules」という形で具体化している。

 今回デモンストレーションされた3種類の拡張モジュールはいずれも参考出展ながら、すでにワーキングモデルとして利用できる状態だ。デジタルカメラは使い勝手などでやや改良の余地はありそうだが、GPSモジュールと指紋認証モジュールについては、機器レベルとしてはいつでも出荷できるという。ただし、製品を取り巻く環境やソリューションの提案などを含めて準備をした上で、いずれも2001年度中の発売をメドにして開発を続けているという。


 また、パビリオン内には小型のメモリースティックDuoをベースとした製品イメージのモックアップが多数展示されており、華やかさも演出されている。


携帯機器のオプションとしてはお馴染みという感もある「GPSモジュール」。参考出展されている機器をモノクロ液晶のCLIEで利用した場合、およそ4時間程度の利用が可能とのこと。既存のデバイスへの対応については、CLIEについては問題がないものの、VAIOシリーズのPCなどでは機器側での調整も必要になるという バイオニクス事業部の指紋認証システムをメモリースティックに応用した「指紋認証モジュール」。どちらかと言えば企業向けイメージの強いジャンルだが、個人向けデバイスへと提供することで、Eコマースのような個人向けの決済システムでの本人確認などに応用したいとのこと


10万画素相当の解像度を持つCMOSセンサーを搭載する「カメラモジュール」。試作段階ではレンズの向きが固定されているために、接続したデバイスをファインダーにして、対面のものを撮影することになる。製品化にあたっては、やはりレンズの回転を検討しているとのこと 前述の3製品とは異なり完全なモックアップになるが、「Ethernetアダプタモジュール」も展示されていた。昨年に公開されたジョグダイヤルなどの製品イメージが昨年の状態のまま再展示されているのに対し、このモジュールは別個に扱われていることから、製品化も近そうな印象

メモリースティック用のスロットを持つキーボード。BEHAVIOR TECH COMPUTERが出展している。同様の製品はパビリオン内にあるALPS電機のコーナーでも展示されている INNOGEARが展示したVISOR用Springboardモジュールのメモリスティックアダプタ「InnoDrive/MS」 SMART DISKのカセットテープアダプタ。メモリースティックに記録された音楽データなどを、通常のカセットデッキなどで再生できるようにするもの

JONSON CONTROLSの「Travel Note」は、車載の録音機器。クルマのサンバイザーに取り付けて利用する FIC製のインターネットアプライアンスのモックアップ。上部にメモリースティックのスロットが用意されている

より小さいサイズのメモリースティックDuoをベースとして、デザインを重視したイメージモデルを大量に展示。来場者の多くが興味深げに、ガラスケースの中をのぞきこんでいく


□ニュースリリース
http://www.world.sony.com/JP/News/Press/200011/00-1114/

□COMDEX/Fall 2000のホームページ(英文)
http://www.key3media.com/comdex/fall2000/

(2000年11月14日)

[Reported by 矢作 晃]


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