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エプソンダイレクト Endeavor AT-400C スリム筐体にPentium IIIを搭載した
TEXT:橋本新義 Shingi Hashimoto |
本体前面、背面にそれぞれ二つのUSBポートを備えており、USB器機との接続性は良好だ |
今回は、超小型のスリムPCである。その筐体は縦置き時に幅65×奥行き270×高さ280mmと、デスクトップPCとしては非常に小さい。このコンパクトさを実現できた秘密は、AGPやPCIといった拡張スロットを持たないことにある。正確にはAMRスロットが存在しているが、これは標準搭載のモデムで使用されている。また、マザーボードは完全に独自の形状で、本体背面のコネクタの配置はATXともNLXとも違う。
しかも、電源はデスクトップPCとしてはめずらしく外付けのACアダプタを採用する。こうした工夫により、小型化を実現しているのだ。
非常にコンパクトにまとまった筐体であるが、DIMMスロットには1本の空きがある。これを利用してメモリの増設を行なうことも可能 |
スロットを持たないという意味では、本機はWebブラウズやメールなどの特定用途に使用する端末的な存在と思う方もいるかもしれない。しかし本機はこれだけのケースの中に、PCならではのしっかりとした性能を備えている。
CPUやメインメモリ、ストレージなどに関しては、エプソンダイレクトのPCらしくBTOで選べるが、今回の試用機ではCPUがFC-PGA版のPentium III 800EBMHz、メインメモリは128MBのPC133対応SDRAM、HDDはQuantumの1プラッタ10GB、7,200回転の「Fireball Plus LM」20.5GB版が搭載されていた。
チップセットには、多機能かつ安価な統合型チップセットとして人気の高い、SiS630を採用している。ビデオ機能も内蔵したこのチップセットのおかげでマザーボードは非常にシンプルに仕上がっており、その意味において、この製品の鍵となるパーツと言えるだろう。また、前述したDFP端子は、SiS純正のサブセットチップ「SiS301」によって実現されている。このチップにより、本機はCRTと液晶ディスプレイのデュアルディスプレイ構成が可能となる。本体が小型のため、プレゼンテーション用としても便利に使えるだろう。
本体の小型化を優先したため、電源にはACアダプタを採用している。ボックス部が直接コンセントに接続されるタイプではないため、レイアウトは柔軟に行なえるだろう |
実際の使用感だが、Pentium III 800MHzを搭載していることもあり、ほとんどのアプリケーションは軽快に動作する。さすがに高速とは言えないが、3Dゲームなども遊べるレベルだ。OSにはWindows Meがインストールされていたが、STR(Suspend to RAM)機能などもノートラブルで使用することができた。また、従来のSiS630が持っていたOpenGLのアクセラレーションと100BASE-TXのネットワーク接続の不具合も本機では解消されており、正常な動作が確認できた。
機能面ではおおむね満足のゆく本機だが、唯一、冷却ファンの風切り音が少し耳に付く点は気になるところだ。また、ACアダプタはかなりの熱を発するため、設置場所に気を配る必要があるだろう。
価格は試用機の構成で、112,000円、Celeron 600MHz、メインメモリ64MB、HDD容量7.5GBといった最小構成では74,500円とリーズナブルなものなので、インターネット専用のサブマシンとしての使用や、Windows 2000/NT 4.0を選択して、企業への一括導入にも向いている。コンパクトさとコストパフォーマンスを両立した本機は、ユーザーを納得させるだけのクオリティを持ったマシンであることは間違いない。
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□エプソンダイレクトのホームページ
http://www.epsondirect.co.jp/
□製品情報
http://www.epsondirect.co.jp/at-400c/index.htm
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