第31回 韓国電子展が開幕 |
展示会場の「COEX」。展示スペースを縦に伸ばしているので、非常に背が高い。 初日だというのに、なんの飾りつけも行なわれていない |
会場の前にあったのは、本当にこの看板だけだった |
開幕した2日のソウルは、朝方に雨が降りアスファルトが濡れていたが、開場するころにはすでに雨はやんでいた。会場の正面入口前に到着して当たりを見回してみると、奇妙なことに気づいた。通常のイベントでは、用意されている大きな看板や、横断幕がないのだ。
初めて来た場所、イベントということもあり、「本当にここで行なわれるのだろうか……」と不安になって、さらに周辺を探してみると、小さなKES 2000の看板が見つかった。後で、他の入り口も探してみたが、同じような小さな看板があるのみで、外から見るとイベントが行なわれていることは、ほとんどわからない状態だった。
さすがに会場内に入ると横断幕なども張られ盛り上がっていたが、COMPUTEX TAIPEIや、COMDEX Fallのような独特の雰囲気はなく、日本のイベントに近い印象を受けた。ブースの並び方も通路をしっかりと確保しながら、整然と並んでおり、それほど混んでいないせいもあるが、非常に見やすいフロア設計となっている。
ただ、他のイベントにない特徴もある。日本の展示会などでも、大手メーカーのブースにステージが設けられていることはよくある。しかし、通常そのステージで行なわれるのは、色々な演出でカッコよく製品のプレゼンテーションをしたり、ダンスを見せる場合にもその製品やメーカーを連呼するような曲を流す場合が多い。
しかし、KES 2000では、その会社や製品にまったく関係なく、楽器の演奏や、ダンスを徹底して見せてくれるブースが結構あった。見ていて面白いものが多く、元々派手な展示が少ないこともあるのだろうが、どのステージも黒山の人だかりとなっていた。
■パソコン用HDTVカードが続々登場
韓国といえばSamsungやLG電子、Hyundaiなどが有名。しかし、ことパソコンに限っていえば、メモリや液晶を除いて韓国のシェアはあまり高くはない。展示内容もそれを反映して、これこそパソコン関連という新製品にはほとんど出会わなかった。
そんな中で注目されるのがパソコン用のデジタルHDTVカードだ。日本でもBSデジタル放送の試験放送が9月から始まり、ハイビジョン対応BSデジタルチューナが数社から発売されている。しかし、いずれの製品もまだ実売で10万円程度と、簡単に買える価格にはなっていない。
そこで登場するのがパソコン用の拡張カード。価格面での優位性のほか、直接HDD録画なども行なえるようになるほか(もちろん著作権を保護した上で)、インタレース放送もプログレッシブ変換をするため画質も向上する。
今回パソコン用のデジタルHDTVカードを展示していたのはLG電子、Samsung、Macro Image Technologyなどで、いずれもPCIバス用。LG電子の展示は1チップデコーダがメインで、そのリファレンスカードを出品という形だった。
具体的な製品としてはSamsungの「HDTV Card PRO」が既に出荷を開始している。小売価格は900ドル程度。また、「HDTV Card LITE」を12月に出荷を予定しており、こちらはソフトウェアデコーダを採用することで約300ドルと低価格。Macro Image Technologyも399ドルで発売するとしており、単体チューナの半額程度で入手できそうだ。
なお、放送方式が同じではないので、これらのカードをそのまま日本で発売することはできない。しかし、日本でもPCユーザーが安価にBSデジタルハイビジョンを視聴環境できるように、早く国内用カードが発売されることを期待したい。
【Samsung】 | 【Macro Image Technology】 |
【LG電子】 |
■スマートメディアスロット搭載カラーインクジェットコピー機
その他、パソコン関連で注目されるのは、Samsungのカラースキャナとカラーインクジェットプリンタを組み合わせて単体でもカラーコピー機としても使える複合機「SCX-1000S」。
同様の製品はエプソン、富士ゼロックスなどからも発売されているが、SCX-1000Sにはスマートメディアスロットも搭載されているのが特徴だ。これにより、スマートメディアの写真を直接プリントアウトすることもできる。インターフェイスはUSBとパラレルを備えており、それぞれを単体で使うことが可能。
韓国ではすでに発売しており、価格は600,000ウォン(1ウォン=0.1円)。残念ながら、日本での発売予定はないとのことだ。
なお、Samsungブースでは、メモリの大手メーカーなので当然なのだが、覇権争いをしている288Mbit RDRAMと、128MBbit DDR DRAMが仲良く並べて展示されているのが印象的だった。
また、ST MicroelectronicsのブースではPowerVR Series3テクロノジを採用したビデオチップ「KYRO」のデモストレーションが行なわれていた。しかし、デモ内容はCOMPUTEX TAIPEI 2000の時からあまり進展していないようだった。
□韓国電子展のホームページ (韓国語)
http://www.kes.org/
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~期待のKYROの実力は?~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000606/taipei06.htm
(2000年10月2日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]