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第31回 韓国電子展が開幕
~ パソコン用HDTVカードが続々登場 ~

会期:10月2日~6日

会場:COEX(Convention & Exhibition Center)


 
 「2000 韓国電子展(2000 Korea Electronics Show、以下KES 2000)」が10月2日、韓国ソウル市内のCOEX(Convention & Exhibition Center)で開幕した。KESは'69年から始まった、今回で31回目を数える韓国の代表的な産業展示会。今年は、11カ国350社が参加し、「It's digital world」のテーマのもと開催される。

 会場となるCOEXは3階層となっているが、KES 2000ではその1層(約17,650平方メートル)を使用している。これは幕張メッセに換算すると約2.5ホール分で、イベントとしてはそれほど大規模ではない。


本当に小さな看板しかなかった

展示会場の「COEX」。展示スペースを縦に伸ばしているので、非常に背が高い。
初日だというのに、なんの飾りつけも行なわれていない
会場の前にあったのは、本当にこの看板だけだった

 開幕した2日のソウルは、朝方に雨が降りアスファルトが濡れていたが、開場するころにはすでに雨はやんでいた。会場の正面入口前に到着して当たりを見回してみると、奇妙なことに気づいた。通常のイベントでは、用意されている大きな看板や、横断幕がないのだ。

 初めて来た場所、イベントということもあり、「本当にここで行なわれるのだろうか……」と不安になって、さらに周辺を探してみると、小さなKES 2000の看板が見つかった。後で、他の入り口も探してみたが、同じような小さな看板があるのみで、外から見るとイベントが行なわれていることは、ほとんどわからない状態だった。

 さすがに会場内に入ると横断幕なども張られ盛り上がっていたが、COMPUTEX TAIPEIや、COMDEX Fallのような独特の雰囲気はなく、日本のイベントに近い印象を受けた。ブースの並び方も通路をしっかりと確保しながら、整然と並んでおり、それほど混んでいないせいもあるが、非常に見やすいフロア設計となっている。

 ただ、他のイベントにない特徴もある。日本の展示会などでも、大手メーカーのブースにステージが設けられていることはよくある。しかし、通常そのステージで行なわれるのは、色々な演出でカッコよく製品のプレゼンテーションをしたり、ダンスを見せる場合にもその製品やメーカーを連呼するような曲を流す場合が多い。

 しかし、KES 2000では、その会社や製品にまったく関係なく、楽器の演奏や、ダンスを徹底して見せてくれるブースが結構あった。見ていて面白いものが多く、元々派手な展示が少ないこともあるのだろうが、どのステージも黒山の人だかりとなっていた。



パソコン用HDTVカードが続々登場

 韓国といえばSamsungやLG電子、Hyundaiなどが有名。しかし、ことパソコンに限っていえば、メモリや液晶を除いて韓国のシェアはあまり高くはない。展示内容もそれを反映して、これこそパソコン関連という新製品にはほとんど出会わなかった。

 そんな中で注目されるのがパソコン用のデジタルHDTVカードだ。日本でもBSデジタル放送の試験放送が9月から始まり、ハイビジョン対応BSデジタルチューナが数社から発売されている。しかし、いずれの製品もまだ実売で10万円程度と、簡単に買える価格にはなっていない。

 そこで登場するのがパソコン用の拡張カード。価格面での優位性のほか、直接HDD録画なども行なえるようになるほか(もちろん著作権を保護した上で)、インタレース放送もプログレッシブ変換をするため画質も向上する。

 今回パソコン用のデジタルHDTVカードを展示していたのはLG電子、Samsung、Macro Image Technologyなどで、いずれもPCIバス用。LG電子の展示は1チップデコーダがメインで、そのリファレンスカードを出品という形だった。

 具体的な製品としてはSamsungの「HDTV Card PRO」が既に出荷を開始している。小売価格は900ドル程度。また、「HDTV Card LITE」を12月に出荷を予定しており、こちらはソフトウェアデコーダを採用することで約300ドルと低価格。Macro Image Technologyも399ドルで発売するとしており、単体チューナの半額程度で入手できそうだ。

 なお、放送方式が同じではないので、これらのカードをそのまま日本で発売することはできない。しかし、日本でもPCユーザーが安価にBSデジタルハイビジョンを視聴環境できるように、早く国内用カードが発売されることを期待したい。

【Samsung】 【Macro Image Technology】

【LG電子】


スマートメディアスロット搭載カラーインクジェットコピー機

 その他、パソコン関連で注目されるのは、Samsungのカラースキャナとカラーインクジェットプリンタを組み合わせて単体でもカラーコピー機としても使える複合機「SCX-1000S」。

 同様の製品はエプソン、富士ゼロックスなどからも発売されているが、SCX-1000Sにはスマートメディアスロットも搭載されているのが特徴だ。これにより、スマートメディアの写真を直接プリントアウトすることもできる。インターフェイスはUSBとパラレルを備えており、それぞれを単体で使うことが可能。

 韓国ではすでに発売しており、価格は600,000ウォン(1ウォン=0.1円)。残念ながら、日本での発売予定はないとのことだ。

 なお、Samsungブースでは、メモリの大手メーカーなので当然なのだが、覇権争いをしている288Mbit RDRAMと、128MBbit DDR DRAMが仲良く並べて展示されているのが印象的だった。

 また、ST MicroelectronicsのブースではPowerVR Series3テクロノジを採用したビデオチップ「KYRO」のデモストレーションが行なわれていた。しかし、デモ内容はCOMPUTEX TAIPEI 2000の時からあまり進展していないようだった。

□韓国電子展のホームページ (韓国語)
http://www.kes.org/
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【6月6日】【COMPUTEX TAIPEI 2000】台湾でも吹き荒れるGeForce旋風!
 ~期待のKYROの実力は?~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000606/taipei06.htm

(2000年10月2日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp