●問題はPentium 4用チップセット側
Pentium 4のリリースが3週間程度遅れるようだ。
IntelのOEMメーカーからの情報によると、Intelからは9月28日から29日にかけて正式な通知があったという。それによると、問題が生じたのはPentium 4自体ではなく、Pentium 4用チップセット「Intel 850」だという。ただし、Pentium 4のリリースは依然として年内の見込みだ。Intelの公式見解が「Pentium 4のリリースは第4四半期中で、当初のアナウンスから変更はない」であることから、それほど大きな遅れは生じない見込みだ。
複数の情報筋によると、問題はPCIバスで発生、PCIベースのグラフィックスカードでの検査時にトラブルが発生したという。8月のIDFでの説明では、i850にはIntel 815Eに使われているのと同じ「I/O Controller Hub (ICH)2」が使われるとされていた。OEM筋によると、このICH2で、PCIメモリリード時に、無効なデータがPCIマスターに転送されるエラーが発生するケースが出たという。これは、ICH2のエラッタだが、i850のMCH(Memory Controller Hub)との組み合わせでしか発生しないそうだ。つまり、i815やi820との組み合わせでは問題はないらしい。
Intelは、この問題の発生原因を完全に特定、ICH2のマイナーステッピングチェンジで対応すると通告したようだ。情報筋によると、エラッタがそれほど複雑な問題ではないため、改修は比較的容易だろうという。事実、Intelは改修版ICH2のサンプルチップを2週間程度で提供する見込みだという。また、特定の条件以外では問題が発生しないために、PCベンダーも現状のステッピングで検証作業を進められるという。ようは、改修版ICH2の量産までのタイムラグの分、延期になったということらしい。
●影響はそれほど大きくない
またまたトラブルのIntelだが、このPentium 4遅延問題はそれほど大きな事件ではない。この程度のマイナーなトラブルはそれほど珍しくはないし、与える影響も小さいだろう。今回は、Pentium 4自体やメモリインターフェイスの問題ではないので、メーカーもそれほどクリティカルには受け止めていないようだ。また、同じチップセットの問題でも、どうなるのか皆目見当がつかなかったIntel 820キャンセルの時とは異なり、Intelが改修のスケジュールを明確にしているため、不安もないだろう。
そもそも、ハイエンドオンリーで始まるPentium 4の立ち上げで、それほどボリュームを出荷するつもりのあるPCメーカーは少ない。最初からメインストリームに入ってきたPentium IIIが3週間遅れていたら大パニックだったろうが、Pentium 4ではそれほど騒ぎにはならない。そのため、事態はそれほど拡大しないと見られる。問題があるとすれば、OEMメーカーの信頼にまたキズをつけてしまったことだろう。
むしろ、同時に明らかになったTimnaのキャンセルの方が大きな“事件”だった。それは、TimnaがIntelの新しい方向性を示す象徴的なチップだったからだ。逆を言えば、このPentium 4の事件で、Timnaのキャンセルは影が薄れたわけで、Intelにとってはよかったかもしれない。
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【10月2日】【海外】IntelはなぜTimnaをキャンセルしたのか
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001002/kaigai01.htm
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(2000年10月2日)
[Reported by 後藤 弘茂]