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Dreamcastでテレビ電話が実現!
離れたあの人とジェスチャーゲームができる!?


 9月14日にDreamcast専用Internet Digital Video Camera「Dreameye」が発売された。このところ、なんとな~く持て余し気味の感もあるとはいえ、よくよく考えてみれば、標準でインターネット接続機能を搭載し、プロバイダからレンタルサーバ業務までを一貫してお世話してくれるゲーム機は、いまだDreamcastだけなのだ。

 デジカメ、ムービー録画、TV電話の3役をこなすハードとソフト、サーバー利用の全部コミコミで14,800円 (ドリームアイのセットだけで、Dreamcast本体の価格は含まれておりません) となれば、当然スペック的にはタカが知れているが、ここはヒトツ、チビっ子魂を発揮して、21世紀的ハイテクをお手軽に体験できる“夢のカメラ”を無邪気に面白がってみようじゃないか。例えば……そう、“ドリームアイでジェスチャーゲームはできるのか?”なあんてね。


● スグにTV電話を始めることができる、簡単セットアップ

 パッケージに入っているのは、まずドリームアイ、それから、コントローラの拡張ソケットに差し込むマイクデバイスと耳に引っかけるタイプのマイク、ドリームアイをデジカメとして使用する時のための着脱型バッテリーケースに、単4乾電池が2本、ボール・ジョイントで角度が自由に調整できる本体用スタンド、そしてソフト「ビジュアルパーク」だ。

 どれも、ハードとしては、なんともチープなガジェット感に充ち満ちているが、電池ボックスのネジを緩めきっても落ちないプラスチックのコインネジを採用するなど、ドライバーなどの工具や付属金具が一切不要な仕様にしてあるのはサスガ。TV電話での会話中にコントローラーをいじる必要がないので、マイクも「シーマン」付属のタイプ (基本的にコントローラに直接接続するタイプ) とは違い、耳に引っかけるテレフォン・オペレータ仕様になっている。
 複数の人間が同時に、あるいは交代で喋るのが難しくなるけど、ビデオメールの録画やTV電話の際に、常にコントローラが映り込む、という事態が回避できるってコトか……と、この時点では納得。このマイクの仕様が、もっと深い事情の現れであったことが判明するのは、もう少し後のことである。

セット一式を接続したところ。ドリームアイは2つ目のコントローラ端子に接続。マイクはコントローラの拡張ソケットに差し込む 本当に小さいドリームアイ。隣にPCカードアダプタを並べてみたが、ほぼ同じ大きさ 写真で上になっている面にあるスイッチが電源。起動すると“ピ”と言う音で知らせてくれる。下のコネクタはDreamcastと接続するコネクタ。底面の丸いアナはスタンド用
付属のスタンドにセットして立てて見たところ。ボール・ジョイント式なのである程度自由に角度を設定することができる 電池ボックス。電池の間にスペースがあるのはねじを締めるためと思われる。この電池ボックスはもうすこし小さくできると思うのだがどうか? コントローラの拡張ソケット2に接続するマイクデバイス。某テレビ局のようなマークはドリームアイのマークです


 機能としては、ドリームアイ+バッテリーパックで独立させた場合、31万画素のデジカメとして静止画 (最大31枚) の撮影が可能。ビデオ録画 (1ファイル25秒まで) とビデオメールの送信、フォトメール・ビデオメールの受信、写真の閲覧と編集、フォトメールの送信、TV電話の利用はDreamcast本体にドリームアイを接続した状態で、付属のDreamcast用ソフト「ビジュアルパーク」を起動しTV画面から操作することになる。
 ビジュアルパークの「写真」メニューの「フォトショー」では、ドリームアイ本体メモリとビジュアルメモリ内の写真を見ることができるほか、「フォトプレイグラウンド」で編集、「フォトシェア」でフォトメールの送信ができる。ただし、ここから写真の撮影はできない。写真撮影は、あらかじめドリームアイ単体で済ませておく必要があるのだが、マニュアル冊子はあくまでも「ビジュアルパーク」というソフトのマニュアルなので、そのコトについて説明されていないのはチト不親切だ。
 もちろん、ちゃんとドリームアイ単体の取説も同梱されているんだけど、コチラは白黒のペラ1枚。ハードのセットアップが簡単なだけに、まずマニュアルをロクに読まず (イケマセンね) 装置を全部つなぎ、ソフトを起動して「さあ、どれをやろうかな」ってのがフツーでしょ? 一応、一連のフォト用ソフトには、自分で撮影した写真データがなくても使えるように、写真素材が用意してあるんだけど、アリモノの写真やイラストを編集したりメールで送ったりしようなんて、まず思わないもんね。

 しかし、TV電話もビデオも写真も、設定項目は驚くほど少なく、ごく簡単。「オプション」の設定項目では、サウンドやマイクのほか、「むずかしい設定」でモデムコマンドや自動切断、自動受信などの設定も可能だが、フツーに使うならイジる必要はない。あらかじめ「ドリームパスポート3」でインターネット通信の設定が行なわれていれば、ほとんどの機能は各ソフトの画面上でガイド通りにボタンを押すダケだ。  ところが、インターネット通信の設定がされていない場合には、一度「ビジュアルパーク」を終了し、「ドリームパスポート3」で設定をしてから再トライとなり、少々手間がかかる。ただし、インターネット通信を使わなくても、ダイレクトに相手に電話をかければTV電話機能は使えるし、静止画の撮影と編集・保存、音声付き動画の録画・保存はインターネットに接続していなくても可能。  まあ、ウチで見るためだけに、わざわざDreamcastでビデオや写真を保存するヒトはあまりいないだろうが、インターネットを使わなくても、TV電話専用機として使うぶんにはごく簡単に始めることができるワケだ。


● 使えるのか? TV電話でジェスチャーゲームを実験

メグミさんとTV電話のテスト中。止まっているとケッコー綺麗なのだが、動くととたんにブレブレ。オマケに直接電話をかけているのに「回線が混雑して……」とか言うメッセージと共に切れてしまった!

 今回はダイレクト通信でTV電話をテスト。メニューの「テレビ電話」から「ダイレクト」を選び、あとは電話番号を入力するだけと、操作はごくごく簡単。お互い電話線を接続し、回線の空いた状態で「ビジュアルパーク」を起動していれば、受信側は他のメニューで作業中でもダイアログが出て電話を受けられる。拍子抜けするほどカンタンだ。

 接続時のメニューでは、相手の画面に表示する映像にモザイクや変形をかけて遊んだり、「自分」以外のキャラや看板を選ぶコトもできる。カメラの映像を使わないこの機能、受信時に着替え中だったりした場合に備えて用意されているんだろうか? 電話を受けるのに、常に「ビジュアルパーク」で待機するヒトは滅多にいないか……通話中に変更もできるから、まあお遊びってコトなんだろう。ただし、後述する出会い系サイトのような使用を想定した場合、自分の顔を相手に知られたくないことも考えられる。このほか、自分側のモニタ画面を消して、相手の画面だけを表示することもできる。

 で、肝心のジェスチャー・ゲームはというと、かなりムズカシイ、というのが正直なところ。画面の書き換え速度は遅めのコマ送りといったカンジで、じっとしていれば表情くらいは伝わるのだが、派手に動くとピントあわせが追いつかず、動いている間はずーっとボヤボヤでブレブレにボケてしまうのだ。
 ピントが変わらない、横方向だけの動作ならまだマシだが、それでも通常のスピードの動きをトレースするのはまずムリ。多少は太陽光のある昼間のダイレクト通信でこのレベルだから、光量の少ない夜間やサーバ経由だともっとキツいだろう。

 当然、一緒にいるヒトやモノを映そうとドリームアイを手で動かしたりすると、もう何を撮ってるのかわからない。スタンドを使い、背もたれのあるイスに深く座って、なるべく上半身を動かさない状態で表情を楽しむのがベストなのだ。なるほど、「シーマン」のようにコントローラにマイクを付けちゃうと、会話時に動かしガチなんだ! と、ここでやっとヘッドセット型マイクの意味を思い知ったのである。

待っている間にできるミニゲーム2種類。左が怪獣を正拳突きで倒していく「正拳DASH!」、右は同じブロックを4つ合わせて消していく「オシテメッセ」。「オシテメッセ」のブロックは押すことはできるが引くことはできない

 ちなみに、サーバ経由の場合には、お互いがサーバの「待ち合わせロビー」に接続して待機し、相手が来たところでTV電話がスターとすることになる。「待ち合わせロビー」には、ヒマつぶし用の「ミニゲーム」のほか、伝言に使える「メッセージボード」も用意されている。
 「待ち合わせ」できて「伝言板」があって「TV電話」で顔が見えるとなると、“出会い系サイト”的な利用方法を想定しガチだが、実は接続したい相手のメールアドレスを指定しないと、インターネットに接続することすらできず、当然ロビーも伝言板も使えない。つまり事前に「ch@b talk」や「どこでもチャット」でメールアドレスを聞いておく必要がある。ちょびっと面倒くさい。
 ところが、例えばワタシがAさんのアドレスを指定してロビーで待っているときに、BさんとCさんとDさんが次々に筆者のアドレスを指定してロビーに接続してきた場合には、ワタシがBさんとCさんとDさんのうち、誰かを選んで接続することは可能なのだ。
 でも、そんなコトってそうそうありそうにないし (ドリームパスポートが通信手段の中で大きな位置を占めている人は別ですが) 、ましてやそのヒトと会話中にAさんが来たらスッポカシになってしまう。メールアドレスが判ってる相手に、メールではなく、わざわざ伝言板でメッセージを伝えるというのもちょっと謎である。
 ただ、この「ビジュアルパーク」、メール機能では通常のメールも受信できるし、「ドリームパスポート」と同じブラウザ機能もついているのだが、実は文字のメールが送信できないのだ (トホホ……) 。ビデオメールやフォトメールも、送れるのはデータのみで、文字が使えるのはタイトル部分 (全角24文字) だけ。ということは、そのフォローに、ワザワザこの「掲示板」を作ったのか? う~ん、なんとなく納得がいかないなあ。

TV電話を利用するためには2種類の方法がある。左がダイレクト接続で、右が待ち合わせ ダイレクト接続はまさに直接電話をかけることになる
“待ち合わせ”はメールアドレスを入力しなければならない 待ち合わせ状態に入るとこの画面となる。このメッセージボードが少し謎かも。ちなみにボーッと待っていると勝手にスクリーンセーバーモードとなります。このスクリーンセーバーが数種類用意されていて、面白いものもあるので一度見てみてはいかがか?



 もしかして、一見すると意味がなさそうな機能にも、Dreamcastをコンシューマ型のコミュニケーション・ツールにしていこうとするセガの将来的な思惑が隠されているようにも思える。もしホントに意味がなかったとしても、ヘビーユーザーたちが「ビジュアルパーク」独自の面白いコミュニケーション・スタイルを作り上げていく可能性もある。

 ジェスチャーゲームはできなくても、ドリームアイが21世紀のデジタル・コミュニケーションに与える影響は、案外あなどれないような気もした。

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(C)2000 CRI
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□セガ・エンタープライゼスのホームページ
http://www.sega.co.jp/
□Dreameyeのホームページ
http://www.dreameye.port.ne.jp/
□関連記事
【2月16日】セガ、Dreamcastでテレビ電話を実現。デジタルビデオ&カメラ「Dreameye」6月発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000216/sega.htm

(2000年9月18日)

[Text by 吉田メグミ]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp