IntelははたしてDDR SDRAMをサポートするのか? もしするなら、その時期は? そして、RDRAMはどうなるのか?
大きなクエスチョンを抱えて始まったIntelの技術カンファレンス「Intel Developer Forum(IDF)」は、メモリ問題に関してはなんの進展もなく終わった。DDR SDRAMのサポートに関しては、「検討している」というここ1ヶ月と変わらない公式見解のままだ。それどころか、Intelからは、メモリに関しての展望はほとんど語られなかった。この沈黙は、まだこの問題が流動的な状況にあることを示しているのだろうか?
Intelは、これまでIDFのたびに、今後のPCメモリの移り変わりに対する自社の見解を表すメモリロードマップを示してきた。そして、そのロードマップでは、決まってRDRAMがSDRAMに置き換わりPCのメインメモリとして浸透することになっていた。例えば、今年2月のIDFのメモリロードマップでは、2001年末までにPentium III/Pentium 4デスクトップはすべてがRDRAMに移行することになっている。
ところが、今回のIDFでは、Intelはメモリロードマップを一切示さなかった。キーノートスピーチや技術セッションでも、Intelからメモリに関連した説明はほとんど行われなかった。さらに、来年後半に投入すると見られるPentium 4用のSDRAMチップセット「Brookdale(ブルックデール)」に関しての情報もない。まるで、「メモリに関しては聞いてくれるな」とでも言わんがばかりの雰囲気だ。
●展示会場ではDDR SDRAMの展示が目立つ
IDFで行なわれた、Intel幹部の記者会見でも同様だった。Q&Aセッションで、DDR SDRAMをサポートするかどうかを問われたIntelのアルバート・ユー上級副社長兼ジェネラルマネージャ(Intel Architecture Group)は、どんなDRAMをサポートするかは、コストと入手性によると説明した。その原則からすれば、DDR SDRAMのコストと入手性の見込みが、Intelの要求にミートすればサポートはありうることになる。とはいえ、IntelのDDR SDRAMに対する態度は、まだ“含みを持たせた”程度にとどまっており、本当に自社のチップセットでサポートするかどうかははっきりしない。
しかし、サードパーティがそれぞれの展示を行なうIDFの展示会場へ行くと、だいぶ様子は違っている。出展しているDRAMベンダーのほとんどがDDR SDRAMをかなり目立つように展示。RDRAMの影はすっかり薄くなってしまっている。これは、DRAMベンダーが、DDR SDRAMについてIntelに気兼ねする必要がなくなったためだろう。DDR SDRAMに意欲的なDRAMベンダー側の姿勢が、IDFでも鮮明になった。
だが、DDR SDRAMはRDRAMに比べれば周回遅れのスタートだ。まだ、互換性の問題などは完全に検証されたわけではないし、PCメーカーもほとんどは検討段階だ。DDR SDRAM陣営が主張するような低コストとパフォーマンスと互換性が達成できるかどうかはまだわからない。その意味では、Intelが現時点でDDR SDRAMに対する態度を明確にしていないこと自体は、不思議ではない。状況が見えてくるのは、まだしばらく先になりそうだ。
Mobile用のDDR SDRAMのSO-DIMMとソケット | DDR SDRAMのDIMM(奥側) |
(2000年8月25日)
[Reported by 後藤 弘茂]