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■ケーブルモデム向けローカルルータガイド(4)


●Flex Router

販売元:クールグリーンコンピュータ有限会社
定価:オープン(通販価格:39,800円)

 これまで紹介してきた製品とちがって、見かけは普通のPCに近いのが、クールグリーンコンピュータの「Flex Router」だ。中身もCPUにIDTのWinChip(150MHz)、32MBのRAMと2枚のLANカード、ビデオカード、FDDを搭載したPCそのものだ。筐体は、78×288×279mm(横×奥行き×高さ)の縦置き(放熱の関係で横置きはダメ)コンパクト設計。HDDレスでファンレスなので、音も消費電力も少ない。

 本機のシステムはFD1枚に納められており、中身はルータ機能に特化したLinuxだ。さすがにFDなので起動に時間がかかってしまうが(1分23秒)、起動後はシステムが丸ごとRAMディスクに引っ越してしまうので、静寂そのものとなる。FDは起動時にしかアクセスしないので、電源はいきなり落としてかまわない。この辺は、PCっぽくなくてイイ感じだ。

 諸設定は、Webブラウザとかtelnetとかは一切なしで、FD(普通のFATフォーマット)に入っている設定ファイルを直接編集する。ネットワークに関する基本設定は「config.txt」、ポートフォワーディングやフィルタリングなどの、IPマスカレード関連は「firewall.txt」に記述するようになっており、基本的な設定方法がマニュアル(ペラ2枚)に書かれている。設定はFDベースなので、変更中に「あっ設定間違っちゃった……あっ切れちゃった……あっ本体リセットしたら全部初期化されちゃった」なんてことは無く、自分のマシンで心ゆくまでいじれるし、いくらでもバックアップを作っておける。出荷時には、WAN側がDHCPクライアント、LAN側がDHCPサーバになるように設定されているので、一般的な使い方ならそのまま無設定でもOKだ。が、いざ設定を変えるとなると、普通のユーザには抵抗あるだろうなぁ~というのが本音である。せっかく設定次第で色々なことができるのに、提供されている情報が少ないために、損をしちゃってるなぁというのも、率直な感想だ。

 通常の使用では、本体にディスプレーとキーボードを接続しておく必要は無い(どちらも付属していない)。が、何か起きた時には、直接コンソールに入って確認できるので、あるとたいへん重宝する。詳細なSyslogも出力できるので(*1)、管理面で非常にありがたい。逆に、コンソールに入るかログを見るかしないと、電源が入っていること以外確認できず不便である。ネットワークが正常にリンクできているのかどうかが、パッと見てわかるといいのだが、これは無理な注文かも知れない。もっともそう思ったのは、メンテナンスやら回線不調やらケーブル工事やらで、何度かCATV側のリンクが切れることがあったからである。Flex Routerは、DHCPからのアドレス取得や更新に一度失敗すると、二度とリトライしてくれない。その結果、世間は復旧しても我が家だけ切れっぱなしという状態が続いてしまう。知らない間に勝手に止まってるかも知れないというのは、ちょっといただけない。こちらは、自己回復に向けて最善を尽くす仕様に、標準状態で改善願いたいところだ。

 なお、販売は、Web、メール、FAX、電話で直接メーカーに。店頭販売は、秋葉原のJC-WORLDへ。

*1 デフォルトではコンソール出力なので、SysLogサーバに送るよう「syslog.cfg」を編集する(出力したい情報を書いて、出力先を「@サーバ名 または @アドレス」に)。

□クールグリーンコンピュータ
http://www.coolgreen.co.jp/
□Flex Router製品情報
http://www.coolgreen.co.jp/router.html
□問い合わせ先
http://www.coolgreen.co.jp/contacts.html
□JC-WORLD
http://www.jcworld.co.jp/
□FloppyFW(Flex Routerのベースになっているシステム)
http://www.zelow.no/floppyfw/

(2000年6月9日)

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp