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アイ・オー・ネット DC53-CD デュアルCeleronで実現された
TEXT:清水理史 Masashi Shimizu |
本機のマザーボードはABITのBP6。socket370マザーボードでは初めてデュアルCPU構成に対応した製品だ |
マルチプロセッサ構成のPCは一般的に高価というイメージがあるが、DC53-CDでは安価なCeleronを採用することで、価格も183,000円に抑えられている。ローコストPC向けに開発されたCeleronのマルチプロセッサ構成はIntelが正式にサポートするものではないが、自作PCユーザーの間で知られているように、実際のところは問題なく動作する。そこに注目したアイ・オー・ネットが、自社の動作保証のもとにデュアルCPU構成のシステムとして販売を開始したわけだ。
このデュアルCPUの性能を活かすために、OSはWindows 2000 Professionalがプリインストールされる。マルチプロセッサ構成のPCにWindows 2000をインストールする場合、BIOSの不備やデバイスの相性問題があると、ACPI関連のトラブルが発生することがあるが、DC53-CDではきちんと「ACPI マルチプロセッサPC」として認識されており、マルチプロセッサの動作に問題がないことが確認できる。もちろんACPIによる省電力管理も正常に動作した。このあたりは自作PCと異なる、メーカー製PCならではの安心感と言えるだろう。
気になるスペックだが、マザーボードにはSocket370を二つ備えたABITのBP6が採用されており、ここにCeleron 533MHzを2基搭載している。533MHz動作のCeleronには、Coppermine-128kと呼ばれる0.18ミクロンプロセスの新しいコアを採用した533AMHzも存在するが、このCPUはマルチプロセッサ動作に対応していないため、本機に採用されているものは従来の0.25ミクロンプロセスで製造されたMendocinoコアとなる。このためSSEにこそ対応しないが、デュアルCPUの効果により整数演算、浮動小数点演算におけるピーク性能は、同クロックのPentiumⅢをシングル動作させた場合の2倍近くに達する。とくに効果があるのは複数のアプリケーションを同時に動作させた場合で、表計算とワープロソフトを同時に使用するという、オフィスでの一般的な作業が快適になるのはもちろん、フォトレタッチを行ないながら画像をプリントアウトするといった処理においても速度低下を感じることが少なくなる。
本機正面(左)および背後(右)。G400 DHの搭載により、デュアルディスプレイ構成にも対応する |
ケースはミドルタワータイプで、フロントパネルにブルーのスケルトンカバーが配されているのが特徴となる。デザインに関しては好みが分かれるところだが、ケースを開けるためには、まず背面のネジを外して上部のパネルを開け、上部で固定されているネジを外してからサイドパネルを開けなければならないため、ちょっとしたメンテナンスを行なうだけでもいくつもの手順を踏む必要がある。とは言え、標準構成のままで完成されたPCとも言えるので、拡張性を意識することも少ないはずだ。Celeronのデュアル使用という特殊な構成ではあるが、サポート体制もしっかりしているので、安価で高性能なマシンが欲しい方に適したPCと言えるだろう。
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□アイ・オー・ネットのホームページ
http://www.ionet.co.jp/
□製品情報
http://www.ionet.co.jp/dual.html