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NEW PRODUCTS TESTREPORT


エプソンダイレクト
Endeavor AT-680C

静音、省スペースPCが
新Celeronの搭載でパワーアップ

TEXT:中嶋敦司 Atsushi Nakajima



背面に用意されるコネクタはUSBやシリアル、パラレルなど一般的なもののほか、DFP端子も備える
 エプソンダイレクトの省スペースデスクトップPC「Endeavor AT-680C」のBTOオプションにCeleron 566MHz、600MHzが追加された。この2種類のCPUは「Coppermine-128k」と呼ばれる新タイプのコアを採用しているが、これは最新のPentium IIIに採用されているCoppermineコアとほぼ同一の構造を持ったもので、これまではPentium IIIのみが扱うことのできたSSEにも対応している。最大の違いは2次キャッシュメモリがCoppermineの256KBに対して128KBとなっている点と、前者が100/133MHzのFSBクロックに対応しているのに対し、Coppermine-128kが66MHzのみの対応となっている点だ。

 今回評価したのはCeleron 566MHzを搭載した試用機だが、筐体やマザーボードはパーツ構成に関係なく、従来と同じものが使われている。マザーボードはCHAINTECHの「CTR-6WPV」で、チップセットにはPentium IIIとCeleronに対応したA3ステップのIntel 810-DC100が採用されている。メモリは64MBのPC100対応SDRAMモジュールが搭載されており、空きスロットも1本あるのでこれを利用して増設することもできる。さらに本機の筐体は285×353×88mmというコンパクトなものながら、PCIスロットが2本用意されている。必要であればこれにDVキャプチャカードやSCSIカードなどを装着することも可能だ。


ダクトが印象的な本機の内部。PCIスロットが2本使用可能な点もポイントだ
 また、筐体内部には「静粛性を追求した省スペースデスクトップPC」という本機のコンセプトを実現するためのさまざまな工夫が見て取れる。CPUには樹脂製のエアダクトが取り付けられており、CPUを冷却した空気は直接ケースの外へと排気される。HDDには金属製冷却カバーが装着され、発生する熱をケースフレームへと逃がす仕組になっている。さらに本機の消費電力は50Wと非常に小さいため、電源ユニットの発熱が非常に小さい。通常のPCはケース内にこもる熱も計算に入れた熱設計になっており、電源やCPUに取り付けられるファンもこの熱の分だけ高回転、すなわち騒音の大きなものにする必要があった。しかしAT-680Cではケース内にたまる熱は最小限に抑えられるため、各ファンは小口径の静音タイプでも十分な冷却効果が得られるというわけだ。


各種ドライブは一つのドライブベイにまとめて取り付けられる。また、HDDは金属カバーで覆われ、ケースへと熱を逃がす仕組になっている
 実際に使用してみると、Windows 98SEでファイルコピーやウィンドウの開閉を行なうといったレベルでは、従来のCeleronとの違いは確認できない。これが明確に体感できるのは、SSEに対応したアプリケーションを使用する際だろう。筆者はWindows 98SE環境において、いくつかのCPUを本機に取り付けてSSE対応MP3エンコーダ「午後のこ~だ」をテストモードで起動し、エンコード時間を計測してみた。その結果は、Celeon 500MHzが109秒、Celeron 533MHzが103秒、Pentium III 500MHzが64秒、Pentium III 550MHzが59秒、そしてCeleron 566MHzは68秒となった(小数点以下は切り捨て)。FSBクロックや2次キャッシュ性能の違いからPentium IIIと同等とまではいかないが、それでも従来のCeleronとは速度に格段の開きがある。もちろん、MPEGエンコード、デコードだけでなく、音声認識やソフトウェアMIDIなどにおいてもSSEは大きな効果を発揮するので、こういったアプリケーションを多用する環境であれば、従来のCeleronよりも566MHz以上の新CeleronもしくはPentium IIIを選びたい。ただし、SSEは3Dゲーム環境にも大きな効果があるのだが、本機の構成ではi810-DC100内蔵ビデオコアがボトルネックとなり、SSE分の処理能力の向上を考慮しても大きな速度向上には結びつかない。そのため、この分野に関しては過度の期待を抱かないほうがよいだろう。

 価格はCeleron 500MHz搭載の最小構成で78,000円、試用機の構成で84,000円となる。全体的に安価な価格設定が魅力のラインナップだが、6,000円の差額でSSEの処理能力が手に入ることは大きな魅力だろう。ほかに類を見ない静音、省電力設計など本機独自の付加価値もあるので、家庭、オフィスにこだわらず、さまざまな用途にお勧めできる製品だ。


  • 製品名:Endeavor AT-680C
  • 標準価格:84,000円(4月24日現在、今回試用の下記構成において。BTOにより変動)
  • メーカー:エプソンダイレクト株式会社
  • 問い合わせ先:0120-545-101
  • URL:http://www.epsondirect.co.jp/
  • CPU:Celeron 566MHz
  • チップセット:Intel 810-DC100
  • メモリ(最大):64MB(512MB)
  • HDD:5.1GB
  • FDD:2モード
  • CD-ROMドライブ:最大24倍速
  • ビデオチップ:Intel 810-DC100内蔵
  • ビデオメモリ:SMA方式によりメインメモリの一部を使用(最大10MB)
  • 最大解像度:1,280×1,024ドット/1,677万色
  • サウンドチップ:Crystal Semiconductor CS4299 (AC '97CODEC)
  • モデム機能:56kbps(V.90/K56flex)
  • キーボード:109キー(PS/2接続)
  • 拡張スロット(空き):PCI×2(2)
  • インターフェース:USB×2、キーボード(PS/2)×1、マウス(PS/2)×1、シリアル(Dsub 9ピン)×1、パラレル(Dsub 25ピン)×1、CRT(Dsub 15ピン)×1、DFP×1、LINE IN×1、LINE OUT×1、ヘッドホン×1、マイク×1、10BASE-T/100BASE-TX(RJ-45)×1
  • 本体サイズ(W×D×H):285×353×88mm
  • 重量:約5.5kg

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □エプソンダイレクトのホームページ
    http://www.epsondirect.co.jp/
    □製品情報
    http://www.epsondirect.co.jp/products/at-680c/osusume.asp


    【PC Watchホームページ】


    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp