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★ ゲームソフトインプレッション ★

もうひとつの人生がここにある!?
「パーフェクトライフ」
「シムピープル」


 今回のゲームソフトインプレッションでは、「ゲームの中でもう一つの“人生”を体験できる」ゲームを2本取り上げる。1本はIMAGICAのRPG「パーフェクトライフ」、もう1本は「シムシティ」シリーズを作り上げた米Maxisのゲームデザイナ、Will Wright氏の最新作「シムピープル(英語タイトルはThe Sims)」。それぞれ違ったアプローチで制作された“人生体験”ゲームを楽しんでみて欲しい。





スクリーンショット

  • ジャンル:ロールプレイング
  • 発売元:IMAGICA
  • 価格:8,800円
  • 対応OS:Windows 95/98
  • 発売日:発売中
 
【ゲームの内容】
    多くの人と知り合い、働き、時には恋愛に悩んだり冒険に燃えたりしながら日々を過ごすという、人生ロールプレイングゲーム。来るべき滅亡の時を回避するという大きな使命はあるものの、必ずしもそれを果たさねばならない義務はない。人類の救世主となるのも、一市民として平凡な人生を送るのも、それはプレーヤーであるあなた次第。
【動作環境】
  • CPU:Pentium II 266MHz
  • メモリ:32MB以上
  • HDD:300MB以上
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上
  • ビデオカード:DirectX 7対応ビデオカード


● とことん自由な人生RPG

2頭身のキャラクタがかわいい。マップのデザインもシンプルで見やすい
 人生というのは難しい。一番困るのは、たいていの場合、二度とやり直しがきかないという点だ。「こんな会社辞めてやる!!」と思うことはあっても本当に辞める人は少ないし、「あの野郎、絶対に××してやる!!」と思うことはあっても本当に××する人は少ない。やり直しが効かないからこそ人は慎重にならざるをえないし、それはつまり、人生における大冒険がしにくいということでもある。

 今回紹介する「パーフェクトライフ」は、そんな人生の「もし」を実際に体験できる、ちょっと変ったRPGだ。プレーヤーは地球によく似た別の世界の住人として、様々な生き方を選ぶことができる。秘められた謎を解き、人類の救世主となる華々しい人生。生まれた町で生き、暮らし、老いて死んでいく、こじんまりとした人生。略奪や暴行の限りを尽くし、極悪人として生きる迷惑な人生。どんな一生を送るかは、プレーヤーの自由というわけだ。
 もちろん、自由といっても、ゲームである以上制限はある。「パーフェクトライフ」の場合は小さなイベントが無数に散りばめられ、かつ厳しいクリア制限が設けられていないために、様々な選択肢が常に同時に存在するということだ。次々に新しい町へ旅することもできるし、一カ所に留まってその町のイベントを楽しんでも構わない。発生したイベントを無視してしまっても全然平気だし、逆に自ら進んで事件を起すこともできる。また普通のRPGなら絶対に入れないようなイベントも盛り込まれていて、選択肢の幅は驚くほど広い。些細な犯罪で30年も留置され、釈放されたときには老人になっていた……なんていう結末もあるほどだ。一本道のシナリオに添って遊ぶのではなく、恋愛も冒険も自分のことは自分で決められるところが、このゲームならではの特徴だ。

● 斬新なアイデアが盛りだくさん

コンビニで必要な品物を購入。食料を忘れずに用意しよう
 「パーフェクトライフ」には、いくつかの斬新なアイデアが盛り込まれている。
 まずひとつは、「必ずしもレベルアップする必要がない」ということ。RPGというのは、「キャラクタが経験を積んで、レベルアップしていくゲーム」と思っている人もいるが、実はそうではない。テーブルトークRPGの中には経験値やレベルという概念を持たない作品も多く、またレベルアップを許している作品の大半が成長に長い時間(普通に遊んで数カ月~数年)を必要とし、ポンポン強くなったりしないのが普通だ。RPGとはキャラクタに成りきってシナリオを楽しむゲームであり、重要なのはレベルではなくプレーヤーの機転やスキルなのである。にもかかわらず、コンピュータ用として作られたRPGの多くがシステムとしてレベルアップを持っているのは、要所要所に強いモンスターを配置して、キャラクタの移動を制限するためといっていいだろう。モンスターはマップ上に配置された“障壁”であり、それを超える手段として、レベルやヒットポイントが便利に使われているに過ぎない。

 「パーフェクトライフ」では、隣町に行くために2つの方法が用意されている。まずひとつは、従来のRPGと同じようにモンスターと戦いながら経験を積み、レベルアップして実力突破する方法。時間は掛かるが、地道に経験を稼げば、いつかは先へ進むことができる。そしてもうひとが、ゲーム中で「呪われた大地」と呼ばれる、面クリ型のパズルを解く方法だ。キャラクタのレベルや装備に関係なく、パズルをクリアできさえすれば先へ進むことができる。つまりこちらの道を選べば、無理に戦ったりレベルアップする必要がなく、装備やヒットポイントが乏しいキャラクタでも先へ進めるようになっているというわけ。

● 言葉を組み合わせて相手に質問

モンスターが棲む洞窟を突破するなら、武器と鎧も欠かせない
 もうひとつは、単語選択式の会話システムが盛り込まれていること。「パーフェクトライフ」には実に多くのキャラクタ(コンピュータが操作するノン・プレーヤー・キャラクタ)が登場するが、彼ら一人一人に名前と個性、そして情報が与えられている。プレーヤーは出会った相手とコミュニケーションし、シナリオを解くために必要なヒントを聞き出さなければならない(もちろん、無理にシナリオを解かなくても構わない)。そのときに必要となるのが会話だが、他のRPGのように相手が一方的に話すのではなく、こちらが知っている言葉を組み合わせて様々な質問をすることができる。たとえば「マリコ」と「~はどこにいますか?」という2つの言葉を組み合わせて、「マリコはどこにいますか?」という質問を組み立てて尋ねることができるのだ。お仕着せの会話ではなく、自由文に近い形で質問できるのはおもしろい。

 このほかにも、知り合ったキャラクタとメールのやり取りができるとか、手に入れたアイテムをディレクトリ構造で管理できるなど、「パーフェクトライフ」にはユニークなアイデアがいくつも盛り込まれている。

● 新鮮な感動のあるゲーム

 ただ、その反面、粗削りに感じた部分もあった。言葉を組み合わせて質問できるシステムはたしかに斬新だが、プレイを続けるうちに組み合わせのパターンが爆発的に増えてしまうのがタマにキズだ。一人のキャラクタに尋ねなければならないことが多くなり過ぎてしまい、会話の負担が激増してしまうのだ。その割には返事のパターンは少なく、凡庸な回答や「知らない」で済まされることも多い。メールの返事も画一的で、ごく特殊なケースを除けば、「メールをくれてありがとう」といったつまらない内容ばかり。せっかくのアイデアが、十分活かされていないのが惜しい。キャラクタがマップ内を移動する際に微妙に画面がブレたり、一見マルチウィンドウに見えるが実は表示場所が固定だったりするところもイマイチだ。もうちょっと丁寧に作れば格段によくなったと思われるだけに、残念でならない。

 しかし、ゲーム全体の出来は悪くなく、「こんなRPGがあり得たのか」と新鮮な感動を覚える。キャラクタデザインやBGMもカワイイし、なにより遊んでいて楽しい。プレーヤーのワガママがどんどん許される自由度の高いゲームなので、RPGが苦手な人でも気楽に始めることができるはずだ。

STARWARS STARWARS STARWARS
住民から、ちょっとした頼まれごとをすることもある 隣町に通じる洞窟の中でモンスターと戦う。こまめに回復しよう 「呪われた大地」と呼ばれるパズル面をクリアして進む道もある

IMAGICAのページ
http://www.imagica.co.jp/
「パーフェクトライフ」のホームページ
http://www.imagica.co.jp/VW/game/plife/

PerfectLife Copyright (c)1999-2000 IMAGICA Corp., All Rights Reserved.
Graphics Copyright (c)1998-2000 IMAGICA Corp./IMJ Corp.
Programs Copyright (c)1999-2000 IMAGICA Corp./Queue's Inc.





シムピープル


スクリーンショット

 
【ゲームの内容】
    「シム」シリーズの作者、Will Wright氏の最新作。就職、昇進、恋愛、結婚など様々なイベントを盛り込んだ、究極の人生シミュレーションゲームだ。プレーヤーは現実の世界と同じように家を探し、必要な家具を揃え、仕事に就き、パソコンの中で「もうひとつの人生」を生きる。
【動作環境】
  • CPU:MMX Pentium 166MHz
  • メモリ:32MB以上
  • HDD:200MB以上
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上
  • ビデオカード:DirectX6.1対応640×480ドット以上


● 今度は「人生」がテーマだ

分身となるキャラクタを作る。星座と性格の配分で、仕事の適性や人間関係が変る
 ゲームに詳しい人ならご存じかもしれないが、「シムピープル」は、これまで「ザ・シムス」として報じられてきた作品だ。海外ではそのまま「The Sims」という名で販売されているが、日本語移植版では敢えて「シムピープル」というわかりやすいタイトルが採用された。「シムシティ」の作者Will Wright氏による最新作で、その名のとおり人間の営みがテーマになっている。

 以前Will Wright氏にインタビューした際に聞いた話によれば、氏はもともとこのゲーム、つまり人生をテーマにした究極のシミュレーションゲームを作るための前段階として、「シムシティ」や他の「シム」シリーズを手がけてきたという。初代「シムシティ(Mac版)」のリリースから15年を経てついにできあがったのが、この作品「シムピープル」というわけだ。

● 自分ではない“誰か”を演じる楽しみ

 「シムピープル」では、自分とは関係がない、まったく違う人生を体験することができる。というより、人種も性別も年齢も職業も異なる“誰か”を演じ、その人物の日常をリアルに体験するのが、このゲームの目的だ。クリアしなければならないシナリオはなく、どんな生活をするかも自由。恋愛し、結婚し、その気になれば子供を作ることだってできる。

 「パーフェクトライフ」との違いをひとことで言えば、「シムピープル」のほうが“より”日常生活に近いということ。「パーフェクトライフ」は、地球に似た別の世界を舞台にしているために、“日常”の中にさりげなく“非日常”が混じっている。また、もし世界を救うヒーローとしての道を選ばなかったとしても、日々の糧を得るためには解かねばならない謎や引き受けなければならない仕事もあるわけで、そのためにはコミュニケーションが必要だ。できるだけ多くのキャラクタと知り合い、彼らとどんな会話やメールをやりとりをするかが、ゲームの進行を左右する。

 一方「シムピープル」のほうは、生きるために解かねばならない謎はない。情報収集の手段としての会話もなく、プレーヤーが選んだ行動が、日々の生活や人生の行く末を決める。食事や睡眠はもちろん、入浴やトイレまでをアクションとして組み込んでいるのだから、リアリティは相当なもの。朝起きてから夜眠るまでの間にやらなければならないことも多く、「生きている」という手応えを感じる。人生ロールプレイングゲームとしてドラマを楽しむのが「パーフェクトライフ」であるとすれば、人生シミュレーションゲームとして日常を演じるのが「シムピープル」……ということになるだろうか。

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住む場所を決める。最初のうちは無理せず、ほどほどの物件を選ぼう 生活に必要な家具を購入する。存分にくつろげる椅子とベッドは欠かせないアイテム

● アメリカンスタイルで行こう

 なんせ人生がテーマなので、やらなければならないことは多いが、操作は意外に簡単だ。まず自分の分身となるキャラクタを作り、住む家を決める。あとは生活に必要な家具を揃え、仕事を見つけて日々を過ごすだけ。個々の操作を指定することもできるが、放っておいてもそれなりに進んでいくのは「シムシティ」と変らない(もちろん、ムダなく時間を過ごしたいのなら、細かく指定したほうがいいのだが)。

 近所には他の住民も住んでいるので、上手に付き合えば、彼らと交友を深めることもできる。異性との出会いは恋愛に発展することもあるので、その気があるなら大切にしよう。最初のうちはわからないことが多いかもしれないが、このゲームはチュートリアルやヘルプ機能が充実しているので、しばらくプレイを続けているうちにコツが見えてくると思う。あれこれ試しながら日々を過ごすのは、本当に楽しい。

 ただ、「シムピープル」は全体にバタくさくも感じる。たとえば、10種類ある職種の中には犯罪者や警官、軍人が含まれていたり、日常生活のアクションも大袈裟だ。当たり前のようにキスとかハグハグするし、派手なケンカをすることもある。家具や備品もゴージャスで、なんかこう、アメリカのテレビドラマでも観ているような感じだ(「メルローズプレイス」とか「ダラス」とかね)。アメリカ的なライフスタイルやスキンシップがナチュラルに楽しめる人にはOKだが、このバタくささがいまひとつ肌に合わない人がいるかもしれない。メッセージの翻訳にもこなれていない点が残り、「新しい家族の友達を作らせます」なんて表示されると、一瞬何かと思う。これなどはシンプルに、「新しい友達ができました」でよかったんじゃないだろうか? ソフトウェアの移植が素晴らしくよくできているだけに、翻訳の甘さがちょっぴり残念だ。

 販売元のエレクトロニック・アーツ・スクウェアは、今後「シムピープル」用の修正ファイルや拡張ファイルをホームページ上で順次公開していくとのことなので、早めのフィックスを期待したい。

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マジメに仕事を続けると少しずつ出世していく。もちろん、どの職業に就くかも自由 カノジョと熱いキスを交わす。二人の関係はかなり親密だ 意を決してプロポーズ。はたして、この愛は成就するのか?

エレクトロニック・アーツ・スクウェアのホームページ
http://www.japan.ea.com/
「シムピープル」のホームページ
http://www.simpeople.com/
米Maxisのホームページ(英文)
http://www.maxis.com/

(c)1999 Electronic Arts. All rights reserved.

【筆者紹介】
  • 名前:駒沢丈治(こまざわじょうじ)
  • プロフィール: パソコンからコンシュマーまで、あらゆるゲームを愛する中年ゲーマー。「人生をシミュレーションする」というと、映画「マトリックス」を思い出す。バーチャルな人生ゲームはたしかに楽しいが、仮想と現実との区別がつかなくなってしまわないよう注意してほしい。オジサンとの約束だ!!
【総プレイ時間・ハード環境】
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機(K6-2 400MHz、RAM 128MB、HDD 20GB、24倍速CD-ROM、Diamond Viper V550、Sound Blaster 64 PCI)

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp