開催期間:2月24日~3月1日
現地レポート第一弾で、リコーと三洋の新製品をお届けしたので、今回はそれ以外のデジタルカメラやメモリーカード関連製品製品についてレポートしよう。
●オリンパス、ローコスト版334万画機「C-3000Z」出品
オリンパスは、先だって発表された「C-3030Z」のローコスト版「C-3000Z」を公開した。このモデルは、C-3030Zに搭載されている秒間3.3コマ(PAL仕様では3.1コマ)の高速連写機能と動画記録時間を短縮化して、コストダウンを図ったもの。具体的には、内部に搭載されている32MBのバッファの容量を少なくしたようだ。
もともと「C-3030Z」自体、イベントに出品されたものは型番のところにシールが貼ってあるなど、「C-3000Z」であった可能性が高い。だが、カシオやキヤノンの発表や価格を見て、より安価なモデルが必要であると判断し、本来のモデルを上級機の「C-3030Z」とネーミング。そのローコスト版を「C-3000Z」として発表したという感じだ。
といっても、外観デザイン上はほとんど見分けがつかず、ボディーカラーが真っ黒ではなく、濃いガンメタリック調になっている程度の違い。しかも、ショーウインドウのなかに、何の説明もなく展示されていたため、危うく見逃すところだった。
●カシオ、「XV-3」とBluetooth搭載の「QV-3000EX」を出品
また、同社ブースでは、「QV-3000EX」のヨーロッパ仕様である「QV-3000EX/Ir」も出展されていた。このモデルは、欧州でNokiaが力を入れているIrDAによるデータ転送に対応したモデルで、IrDA(IrTran-P)を搭載したもの。外観上はほとんど見分けはつかず、唯一、上面の操作部にIrDA転送モード用の指標がある程度だ。デザインから考えると、本機がIrDAを搭載したのではなく、日本や米国仕様でIrDAを省いたという感じだ。
ブースでは、カメラで撮影すると自動的に、そのデータ(サムネール)をBluetooth経由でPC(カシオペアFIVA)に転送するといったデモが行なわれている。また、FIVA側からBluetoothを使ってカメラを操作するといったデモが行なわれている。利用用途によってはこちらの機能の方が有効なケースもありそうだ。
●富士フイルム、Nokiaと共同でBluetooth搭載機でのデモを展開
富士フイルムは今回、Nokiaと共同でBluetoothによる画像データの転送デモをアピールしていた。ブースでは定期的にコメディータッチのデモが行なわれており、人気を博していた。
富士は、開発発表されたばかりのデジタル一眼レフ「FinePix S1 Pro」のデモを行なった。カメラ側にNokiaが開発したCFカードタイプのBluetoothカードを装着。専用ドライバをカメラ側に組み込むことで、Bluetooth機能を実現していた。S1 Proの場合、CF Type2とスマートメディアのダブルスロットなので、CF側にこのようなI/O系カードを装着すれば、このような拡張性を持たせることもできるわけだ。
こちらは、撮影したデータを1度、Nokiaの携帯電話(PDA)に転送。そこからノートPCに転送するといった構成でデモが行なわれた。現在のBluetoothは10m以内の転送しかできないため、実際に画像データを転送する場合にはこのようなスタイルが一般的なものとなるだろう。
また、Nokiaブースでも小規模ながらも同様のデモが行なわれていた。
同ブースでは、ハニカムCCD搭載機「FinePix4700Z」や「S1 Pro」なども展示されており、現地での人気は上々。
●アグフア、VGAの廉価版モデル「CL-18」を発表
地元企業のアグフアは今回、シンプルでスタイリッシュな廉価版モデル「CL-18」を公開した。このモデルは640×480ピクセルの単焦点タイプで、液晶モニタもない、実にシンプルなもの。価格も3,99独マルク(1独マルク=約55円:約22,000円)と十分に手頃だ。
CL-18はコンパクトに仕上がっており、デザインもなかなかいい。画質などは未知数だが、PC入力用として考えれば、価値のあるモデルだろう。どうも日本のデジタルカメラは、やたらに高画質/高機能を追求しがちだが、このような実用的でシンプルなモデルにも目を向けて開発してほしいものだ。
●シャープ、131万画素インターネットビューカムを出品
シャープは今回、131万画素タイプのMPEG-4カメラ新型インターネットビューカムを出品した。ブースで見た本機は、従来の可愛らしい雰囲気の前モデルから一変し、かなり本格派指向のモデルという印象だ。
今回は、AV入力機能が追加され、液晶モニターが大型化されたことで、再生側の機能にもかなり力が注がれ、動画メモ用カメラというよりも、簡易ビデオといった感じだった。
●コダック、Palm用デジタルカメラユニットをデモ
コダックは、先だって米国で発表されたばかりのPalm用のデジタルカメラユニット「PalmPix」を公開。しかも、CeBIT前日にはPalm初のカラーモデル「Palm IIIC」が発表されたこともあって、早速、そのカラーPalmを使ってのデモが行なわれていた。
このモデルはCMOSセンサーを採用した640×480ピクセルのモデルで、もちろんカラーでの撮影が可能。操作はPalm側でおこない、ファインダーもPalmの液晶モニターを利用する。デモを見る限り画質はメモ用には十分なレベルであり、なかなか魅力的だ。最近では欧州でもPalmの人気がかなり高まっていることもあって、人気が出そうなモデルだ。
●ニコン、欧州仕様の“赤帯”COOLPIX990を出品
ニコンは、「D1」と「COOLPIX990」を展示。特に欧州仕様のCOOLPIX990は、グリップ部のワンポイントカラーが従来の950と同じく赤になっている点が大きな特徴だ。
やはり見慣れているせいか、こちらのカラーリングの方が落ち着いた感じがあり、日本仕様が紫なのがちょっと不思議な感じ。個人的にはこちらのカラーバージョンも、国内で発売してほしい。
大手通信機器メーカーのERICSSONは、携帯電話一体型で、しかも単体でも使えるデジタルカメラユニットを参考出品した。
このモデルは、掌サイズのCMOSセンサー搭載機で、画像サイズは640×480ピクセル。単体撮影時のデータ記録には、MMCカードを採用している。ファインダーは光学式のみだが、携帯電話と直結した場合には、携帯側のモノクロ液晶で画像を確認することもできる。
ブースでは、携帯電話と一体にし、その場で撮影。即座に、インターネットに転送するというデモが行われており、なかなか好評だった。なお本機は、参考出品であり、価格や発売時期は未定という。
●Mustek、カラー液晶ビューファインダー専用機を出展
Mustekは、デジタルスチルカメラとしては数少ない、液晶式ビューファインダー専用機「GSmart350」を出展した。
このモデルは、出力解像度640×480ピクセルで、レンズは単焦点。背面に液晶パネルがないこともあって、外観は銀塩のコンパクトカメラに近く、親しみが印象だ。
気になる液晶ビューファインダーの使用感だが、最新のDVカメラの同種のものに比べると、画像が粗く、表示レスポンスも遅い。ファインダーを覗きながら、カメラを動かすと、酔ってしまいそうな感じだ。ただ、この方式は、撮影情報などを液晶モニター上で重ねて表示できる、消費電力が少ない、デザインの自由度が高くなるなど、メリットも多く、将来の展開が楽しみな分野でもあり、今後の展開が期待される。
●三菱電機、メモリースティックを採用した、デジタルカメラ機能付きモデルを出品
現地では、“Trium”ブランドの展開を図っている三菱電機が、メモリースティックを記録媒体に採用したPDAを参考出品していた。このモデルは、デジタルカメラ機能を備えており、静止画と動画の撮影が可能。もちろん、静止画をE-MAILとして送ることもできる。
モックアップに近い状態ながらも、表示されている機能はきちんと動いており、タッチパネル式の操作性も分かりやすい。サイズはやや大きめだが、高級感があり、なかなか魅力的なモデルに感じられた。
メモリースティックの採用については、製品化される頃には著作権保護のMG機能が必須ということでの選択という。だが、今回のものはあくまでも参考出品で、製品化は未定という。
●コニカ、4分でA0出力が可能な大型インクジェットプリンターを参考出品
コニカは今回、A0サイズ対応で8色インク採用の大型インクジェットプリンターを参考出品した。解像度は720×720dpiで、4色インクでの出力もできるという。
このモデルは自社開発の高速ヘッドを採用したもので、4色インク時ながらも、A0版プリントをわずか4分で出力できるという点が最大の特徴だ。
実際にその場でプリントのデモが行われていたが、そのうたい文句はホンモノで、説明を聞いているわずかな時間で、A0版のプリントがどんどん出力されるのには驚いてしまった。もちろん、高速モードではクォリティーよりも速度優先という感じだが、用途を選べば十分に実用レベルといえる。なお、今回は参考出品だが、近く正式な発表が行われるようだ。
●ソニー、メモリースティックの世界をさらに前進
もはや大型イベントでは恒例となった、ソニーのメモリースティック関連展示だが、今回もまた、新たな展開が見られた。これまではモックアップが中心という印象だったが、今回は見るからに製品化間近という感じの出展品も多かった。
まず注目されるのが、メモリースティックやPCカードのデータを、簡単にCD-RWに記録できる、メモリーカード ファイリング&ビュワー「Picture Park」。本機はデジタルカメラで撮影したデータを、いちいちPCを使わずに、気軽にCD-Rなどに保存できるもので、一種の電子アルバムといえる。
また、記録した静止画やMPEG動画データは、AV出力によるテレビ再生はもちろん、付属の液晶モニター搭載でも楽しむことができる。もちろん、CD-R/RWに記録したデータは、PCのCDドライブで簡単に読むことができるので安心だ。このほか、CD-Rのデータをメモリーカードに書き込む機能も搭載しているという。
対応するメモリーカードも、メモリースティックのほか、Type2のPCカードに変換できればOKなので、応用範囲も広い。ただし、保存できるデータは、あくまでも画像系のデータのみで、汎用データを保存することはできないので注意が必要だ。
この製品は、すでに型番もついており、モックというよりもほとんど完成品という雰囲気で、近い将来、具体的な形で製品化される可能性がきわめて高い。とてもスタイリッシュで便利な製品だけに、適価(実販5万円以下)で登場することを大いに期待したい。
また、メモリースティックに記録したMPEGビデオを気軽に再生して楽しめる、「メモリースティック・ビデオ・ビュワー」も同時に展示。こちらも製品化間近といった雰囲気だった。
意外なところでは、以前からメモリースティックの大容量化技術として展示されていた、4層構造のメモリースティックが、実はホンモノであることが、今回判明した。実際に稼働するのかどうかは定かではないが、展示パネルを真上から、デジタルカメラの望遠マクロで撮影したカットを拡大してみると、チップの側面がきれいに4層に分かれているのが判別できる。以前はただのモックだと思っていたうえ、真上から見られるチャンスがなかったので気がつかなかったが、この技術はすでに結構なレベルまで来ていたわけだ。
ちなみに、この手法で、現在の64MBチップを使えば、265MBのメモリースティックができるわけで、さほど遠くない将来、256MBチップができれば、一気に1GBのメモリースティックが実現できるわけだ。
しかも、ソニーはCESで、メモリーカードへの高速書き込み技術で、米国のレクサーメディア社と提携しており、このような大容量になっても、データの記録をスピーディーに行うことができる点も見逃せない。
もちろん、それがどのような価格になるのかを考えると、簡単に現実の製品になるとは思えない部分もあるが、1GBのメモリースティックが描き出す世界は、ぜひとも体験してみたいものだ。
このほか、今回の展示で目立ったのが、音楽CDとメモリースティックとの連携や携帯電話との連携だ。
実際にモックアップでも、CDプレイヤーとメモリースティックが合体したものが多く、CDウォークマン風のものはメモリースティックプレイヤー部分だけが外れて、持ち歩けるようなデザインになっている点も気になるところ。
もし、CDからメモリースティックに簡単にデータがコピーでき、メモリースティック・ウオークマンとして持ち歩けるようになれば便利だろうということは容易に想像がつくが、それを現実化してくれそうなモックとして注目される。
また、オレンジ色のメモリースティック・ウオークマン風のものは、ミュージックプレイヤーとしても、携帯電話としても使えるハイブリッド機で登場が期待されるところだ。また、家庭用オーディオ機器で、機器間をIEEE1394ケーブル一本だけで結んだ 製品も出品。これにより機器間の転送ノイズが大幅に減るため、音質が向上するという。
□CeBIT 2000ホームページ
http://www4.cebit.de/index_e.html
□関連記事
【2月25日】プロカメラマン山田久美夫のCeBIT 2000デジタルカメラレポート
リコー、DC-1を彷彿とさせる334万画素3倍ズーム機を出品
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000225/cebit03.htm
(2000年3月6日)
[Reported by 山田久美夫]