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元麻布春男の週刊PCホットライン

デジカメを買い換えてみれば


■2台目のデジカメを探す

 今まで触れる機会がなかったが、筆者は昨年の12月上旬、デジタルカメラを購入した。この時のいきさつについて、ちょっと書いてみようと思う。

 それまで筆者が使っていたデジカメは、オリンパスのC-840Lだった。単焦点の130万画素機だが、筆者の使い方において画素数、あるいは画質という点で、あまり不満に思ったことはなかった。強いて言えば、色温度の補正くらいはできた方が良いなぁ、というくらいのもの。ストロボが必要な屋内でありながらストロボが焚けない時に、とんでもないカラーバランスになることがある場合を除けば、外れた画を撮ることは少なく、かなり優秀な製品だと思っている(実は、もう1つ極めて優秀なポイントがあるのだがそれは後述する)。

 C-840Lで不満だったのは、単焦点であること。どうしても後ろに下がれなかったり、近くに寄れない状況で、単焦点ゆえの限界を感じることがあった。ズーム機も安くなったことだし、1台買おうか、という気になったのである。ただ、あんまり高価なものを買う気はなかった。これだけ頻繁にモデルチェンジするということは、まだまだ良くなることの証。写真でご飯を食べるプロの場合、仕事に必要なクオリティを得るためなら、予算は二の次にしなければならないこともあるだろうが、筆者にそんな事情はない(もう1つ、予算に制約がないのは、「趣味」の人だが、筆者はカメラ趣味でもない)。そこそこのヤツで十分なのである。むしろ、小型で軽く、持ち運びに便利な方が嬉しい。C-840Lの不満をもう1つ挙げれば、130万画素、単焦点というスペックの割には、(今となっては)大きいということがある。

■実売6~7万円の機種をリストアップ

 以上を踏まえた上で、筆者が候補に挙げたのは、FinePix1700Z(富士写真フィルム)、PowerShot S10(キヤノン)、RDC-5300(リコー)、COOLPIX 800(ニコン)、DC280J Zoom(コダック)の5台。いずれも購入時点で実売価格59,800円~69,800円の機種だ。当時の大ベストセラーであったC-2000ZOOM(オリンパス)は予算オーバー(当時実売89,800円)、というところで除外した(別にオリンパスに不満があったわけではないが、違うメーカーのを使ってみたい、という気も若干はあった)。

 130万画素のC-840Lで画質にあまり不満のなかった筆者は、5台の候補から絞り込む条件から、画質という要素を除いた。おそらく画質に違いはあるのだろうが、まぁどれでもそれほど極端に悪いことはあるまい、と思ったわけだ。代わりに重視したのは携帯性である。たとえば海外のイベント等に出かけた際、いくら筆者がプロのカメラマンではないとはいえ、全く写真をとらないというわけにもいかない。やっぱり、自分の原稿に入る写真は自分で撮る、というのが海外取材時の基本スタンスだ(もちろん、別途カメラマンを同行させてくれるというのであれば、大歓迎だが)。

 ただ、携帯性といっても、小さければ良い、というわけではない。もちろん小型軽量であることは、携帯性の基本だが、電源や形状も重要なポイントだ。たとえば特殊な電池(カメラ用のリチウム電池は、海外取材を考えれば十分特殊な電池である)しか使えないとか、充電式のバッテリでもやたらと充電器が大型であると、携帯性は悪い。個人的には、ポケットにスッポリ収まりやすい形状が好ましいと思うし、逆にレンズキャップ式は好きではない(実際になくすかどうかより、なくしちゃいけない、と意識してしまうのが嫌。一眼レフ等なら保護フィルタを付けてしのぐのだが)。

■FinePix1700ZとPowerShot S10から選ぶ

FinePix1700Z
 こうした点を踏まえて、筆者は候補をFinePix1700ZとPowerShot S10の2機種に絞った。要は、単三電池をあきらめて、小型を図った2機種である。RDC-5300は、筆者の予算枠で唯一200万画素と3倍ズームを両立させた機種だったが、上の2機種に比べればサイズが大きい。しかも、前作(RDC-5000)では形状が比較的フラットだったのに対し、RDC-5300は凸凹した形状になってしまったのもマイナスの印象となってしまった。COOLPIX 800は、単三電池で長時間利用可能というメリットがあるものの、凸凹した形状とレンズキャップ、さらには手にとった時の質感がマイナスに働いた。ちなみに、カタログにファインダーの視野率や内蔵ストロボのガイドナンバーまで明示してあるのはニコンだけであった(このあたりが、いわゆるニコン党を生むのだろうか)。DC280J Zoomは、せっかく沈胴式のレンズなのに、なぜレンズキャップにしてしまったのだろう。やはり大きさが問題になっただろうが、レンズバリア式なら候補に残したかもしれない。

 残った2機種のうちどちらを選ぶかについてはかなり悩んだが、結局はFinePix1700Zを選んだ。200万画素(PowerShot)より3倍ズーム(FinPix)を選んだことになる。もう1つの理由は、PowerShot S10に標準添付されるのがカメラ用リチウム電池の2CR5であり、充電池が別売オプション(標準価格1万円)であったことだ。ただでさえ、当時FinePix1700ZとPowerShot S10の間に実売価格で1万円の差があったのに、充電池まで別売ではその差がさらに開く。海外取材時の入手性はもちろん、マクロ撮影時など、事実上液晶ディスプレイの表示とストロボの両方が必要なシチュレーション(たとえばマザーボード上のチップのアップを撮る場合など)を考えれば、2CR5では実用性が低い。もし、ニッケル水素充電池が標準添付で、非常時に2CR5でも使えます、ということだったら、筆者はPowerShot S10を買ったと思う。

 これに対しFinePix1700Zは、リチウムイオン充電池が標準添付されている(リチウムイオンとニッケル水素のどちらが良いか、ということについては、それほどこだわらないが)。購入前に、充電器の大きさと重さも確認したが、小型軽量であり、海外に持っていっても苦にならないと判断した(もし、巨大な充電器が付属していたら、RDC-5300を選んだかもしれない)。

■画質は満足、しかし……

 さて現時点で、筆者はFinePix1700Zを2ヶ月あまり使っていることになる。専門家は何というかは知らないが、筆者は画質に関しては全く不満はない。小型軽量であることからくる携帯性の良さは、高く評価している。唯一の問題は、撮影したスマートメディアからデータが消失することがあることだ。カメラから取り出したスマートメディアをPCカードアダプタに入れてノートPCで読む、USB接続のスマートメディアリーダーで読む、といった方法にかかわらず、データが消えてしまうことがあるのである(シリアル接続は試していないが、これだけ画素数が増えては、シリアル接続の実用性は低い)。

 読めない時は、カードをPCにマウントしたにもかかわらず、ドライブレターが増えない、あるいはドライブレターは増えているが、スマートメディアが認識されなかったり、スマートメディアが空っぽだったりする。マウント直前に、カメラの液晶で写っていることを確認していても、である。しかも、一度こうなってしまうと、カメラに戻しても、もはやデータは復活しない。それどころか、スマートメディアが初期化されていない、というエラーになってしまう。

 いったいこのエラーはなぜ起こるのか。静電気なのか、端子面の汚れによるものなのか、原因がわからない。毎回起こるものではない(この2ヶ月で4回ほど)ことを考えると、静電気なのかもしれないが、実はC-840Lでは1度もこうしたトラブルを経験したことがない(ただしFinePix1700Zでは32MB、C-840Lでは8MBのメディアを使っている)。しかし、FinePix1700Zの問題かというと、どうもそうではないようだ。周囲に聞くと、こうしたスマートメディアに伴う原因不明のトラブルは、他社のデジカメでも結構生じているらしい。しかも1度データの「とび」が生じたメディアは、以後データが消失しやすくなるという(筆者のC-840Lによる経験は相当ラッキーだったようだ)。今度デジカメを選ぶ際は、メディアを抜き差しする回数が少なくなるように、USBインターフェイスを備えていること、を条件に付けなければならないのだろうか。

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(2000年2月2日)

[Text by 元麻布春男]


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