2000 International CES会場レポート その3
~ MP3で録音可能なカセット型MP3プレーヤーが登場、など ~
会期:1月6日~1月9日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
Sands Expo and Convention Center
Las Vegas Hilton
Alexis Park
開幕初日にレポートしたようにCESでは、パソコン関連製品の出展は少ないものの、全くないわけではない。そこで、いくつか注目されるパソコン関連製品をレポートする。
■パソコン周辺機器
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「Maui」。展示されているカードは、リファレンスデザインのもの |
まず、目に付いたのがPhilipsが出展しているDTV受信用PCIカード「Maui」だ。これは、ATSC/NTSC DTVをデコードするためのカード。PCユーザーならこのカードがあれば、DTV対応テレビや、チューナーユニットを買わずにすむ。また、価格も150ドル程度になる予定とのことで、リーズナブルだ。出荷は2000年第2四半期だが、今のところ日本での製品化の予定はないのが残念だ。
次にTripathブースでは、PC内蔵用のデジタルオーディオアンプカード「TIO-TA1101B」が展示されている。ただしPC用といっても、PCケースの拡張カード用ブランケット使って固定し、電源をパソコンから供給するというだけ。入力や出力はブランケットに搭載されたジャックで行なうので、入力ソースはパソコンでなくてもかまわない。このカードは同社が「T級」と呼んでいるデジタルアンプ回路を搭載。このアンプ回路はソニーのMDを搭載したパソコン「VAIO MX」にも採用されている。TIO-TA1101Bの出荷は今月末からで、価格は59.95ドルとなっている。
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「TIO-TA1101B」。パソコンとの直接接続部分はカード中央の電源のみ |
入力デバイスの新製品としては、Datadeskの小型キーボード「LittleFingers」が目を引く。これは子供向けにキー自体を小さくしたものだが、手の小さな日本人が省スペースキーボードとして使うこともできそうだ。また、PS/2とADBポートの両方を装備しているので、PC/ATとMacintoshどちらでも使えるのも特徴だ。トラックボールを搭載したモデルと、搭載しないモデルが用意され、それぞれ79.95ドル、50ドル。既に出荷を開始しており、日本での販売も検討しているという。
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小型キーボード「LittleFingers」。比べてみると、その小ささがわかる |
また、ギミックとしても面白いのが、ThinkOutsideの折り畳み型キーボードだ。折り畳むと手帳サイズ(130×93×20mm)で、開くとキーピッチ19mmのキーボードが現われる。Palmシリーズ用2モデルと、Handspring Visor用1モデルがあり、2月頃には出荷可能としている。なお、日本での出荷も考えているとのことだ。
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こういう風に開いていく。折り畳むと胸ポケットに入る程度の大きさになる |
Microsoftは、今回のCESに合わせて数多くのニュースリリースを出した。しかし前回レポートしたとおり、展示会場内のブースでは、新製品に重きを置かず、使い方の提案をメインにしている。その中で、Windows Media Player for Plam-Sizeについては、何とか見ることができた。ただし、搭載されているのはカシオペアのみで、それ以外の機種用は、まだ用意できていないとのことだ。また、あいにく動画ファイルは用意されておらず、再生を確認できたのはMP3ファイルのみだった。
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カシオペアで実行中のWindows Media Player。MP3ファイルを再生しているのがわかる |
■MP3プレーヤー
今回のイベントでも、MP3関係の製品は数多く出品されている。すでに、MP3が再生できるというだけでは、ニュースバリューがなくなっているほど。その中から今回は、新しい機能をもったいくつかの製品を紹介する。
まず一番の注目がHun Wonの「M・Any」。以前、カセットテープ型のMP3プレーヤー「rome」が登場して話題を呼んだこともあり、今回も各社から同じような製品が出展されている。「M・Any」の他にない大きな特徴が、MMC(MultiMediaCard)スロットを搭載している点だ。本体内蔵メモリ32MB(64MBまで拡張可能)に加え、64MBまでのMMCを装着可能だ。これにより、普通のMP3プレーヤーとしてみても、必要十分な性能を備えたことになる。さらに驚くべきことに、再生専用モデルの他にMP3エンコーダ搭載モデルまでもが用意されている。「Voice Recorderモデル」では内蔵マイクを使ってMP3形式での音声の録音が、「Music Recorder」モデルではさらにカセットデッキを使って、MP3形式での“録音”が可能となっている。つまり普通のカセットテープと同じ操作で、MP3での録音/再生ができる。韓国での出荷は今月からで、再生モデルが40ドル、録音モデルが50ドル以上とのことだ。日本での出荷もディストリビュータが見つかれば、行ないたいとしている。
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M・Any。本体上部にMMCスロットを搭載している |
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iComboTechの「MP3 DISKMAN」。デザインが非常にすっきりしているが、まだモックアップの状態 |
また、ポータブルCDプレーヤー型の製品も数多く出品されている。実動モデルとしてはVertical Horizonが3モデル展示しているのが目を引く。外形が分厚いところが気になるが、スマートメディアスロットも搭載しており、パソコンから転送することも可能。ただし、CDからスマートメディアへのコピーなどはできない。そのほかにも、デザインでいえばiComboTechの「MP3 DISKMAN」がこなれている。ただし、展示されていたのはまだモックアップだった。
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Vertical HorizonではポータブルCD型以外にも、スマートメディアを使用したヘッドフォン型も用意している |
ポータブルCDプレーヤー型以外に、車載用も複数出展されている。empegの「empeg car」は、CPUにStrongARMを、OSにLinuxを採用する、6GBのHDDを搭載した車載用MP3プレーヤー。8月に発売が予定さており、価格は1,000ドルとなっている。日本での販売も検討されている。また、MultiChannel LabsのブースでもCD-R/RW対応の車載用MP3プレーヤーが参考展示されている。ただし、このプレーヤーはリファレンスデザインのため、市販されるものではない。価格は400ドル程度で提供できるとしている。また、MultiChannel Labsのブースでは、車載用のCDプレーヤーに接続する汎用のビデオCDデコーダユニットも展示されていた。ただし、詳細は明らかにされておらず、米国や日本での販売は難しいとのことだ。
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Linux搭載MP3プレーヤー「empeg car」 |
MultiChannel Labsの車載用MP3プレーヤのプロトタイプ「CAR-MP CD」 |
MultiChannel Labsの汎用ビデオCDデコーダユニット「CAR-VCD KIT」 |
据え置き型としては、PC/AT互換機をベースとしたREQUESTの「AudioREQUEST」や、ZapMediaの「ZapStaion」などが展示されている。AudioREQUESTはHDDを内蔵、ZapStaionはDVD-ROMドライブも内蔵しているので、DVDビデオの再生も可能だ。いずれも、家庭内でのメディアセンターを目指す。ベースがPC/AT互換機のため拡張性は高い。
同じ据え置き型でも、違った方向性を示しているのが、Hitech Information System。展示しているのはモックアップだが、CD-R/RWドライブとMP3エンコーダを搭載し、単体で音楽をCD-R/RWにMP3形式で書き込むことが可能だ。また、本体にデジタル光入出力端子が装備されているなど、至れり尽くせり。発売は6月で、価格は500ドル程度。日本でのOEM先を検討中とのことだ。
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「AudioREQUEST」 |
「ZapStaion」 |
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Hitech Information Systemの録音可能な、据え置き型MP3プレーヤー |
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東芝、SDオーディオプレーヤー |
また、スマートメディアのオーディオプレーヤーを発表した東芝は、SDメモリカードを使ったプレーヤーも参考出品している。これは、プレスと招待客向けにオープンしている会場で展示したもので、内蔵64MB、SDスロットを1基搭載している。発売は3月ごろ、価格は4万円程度が見込まれている。
■DVD関連製品
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VDR-1000 |
録画できるDVDの製品化ではパイオニアが先行したが、今回のCESでは、松下が4.7GBのDVD-RAMを採用したビデオレコーダ「VDR-1000」を正式発表した。録画方式はパイオニアの製品と同じDVDビデオレコーディング規格を採用している。出荷は夏ごろ。価格は3,000ドル程度とのことなので、パイオニアの製品(25万円)に比べ、少し割高だ。
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4.7GB対応DVD-RAMドライブ |
これに合わせてパソコン用の4.7GB対応DVD-RAMドライブも出展している。これにより、VDR-1000はパソコンとの親和性が高いとしているが、今のところ、DVDビデオレコーディング規格のPC用デコーダがないため、VDR-1000で録画した画像をパソコンで見ることはできない。将来的には考えているということだが、コンテンツメーカーとの話し合いが必要とのことだ。
また、パソコンとは直接関係ないが、今回のCESではポータブル型の液晶搭載DVDプレーヤーが各社から出展されていたのが印象的だ。現在、液晶搭載型ではシャープと、パイオニアが7インチワイド液晶モデルを出して先行している。今回は、ソニーと松下が7インチワイド液晶搭載モデルを出展。今までソニーはプレーヤーのみのモデル、松下は5インチ液晶搭載モデルを出していたが、今回2社とも本体をより薄くし、液晶を大型化することで、先行2社を追いかける格好となった。
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松下、7インチワイド液晶搭載ポータブルDVDプレーヤー |
ソニー、7インチワイド液晶搭載ポータブルDVDプレーヤー |
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AFREEY、ポータブル液晶DVDプレーヤー |
ただ、液晶搭載型DVDプレーヤーも既に日本のお家芸ではなく、台湾メーカーなども製造している。代表的なのがAFREEYの製品だ。6.8インチワイド液晶を搭載しており、性能的には国内メーカーと比べても遜色ない。899ドルという価格と、MP3の再生にも対応するという点が日本のメーカーには真似ができない特徴だ。
□2000 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
(2000年1月11日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]
ウォッチ編集部内PC Watch担当
pc-watch-info@impress.co.jp