大容量のHDDを搭載したネットブックは、2台目/3台目のPCとしてでなく、1台目のPCとして購入するケースが増えていると聞く。 しかし1台目のPCとして使うにはいろいろな意味でDVDドライブがあった方がいい。USB接続の外付けドライブもあるが、接続の手間がかかってすぐに使えなかったりするので、できれば内蔵タイプが欲しくなる。そんな希望を叶えてくれるネットブックが登場した。マウスコンピューターの「LB-F1500W」だ。さっそく、その使い勝手などをご紹介したい。 ●初の2スピンドルネットブック
従来のネットブックはSSDを搭載した0スピンドル、もしくはHDDを搭載した1スピンドルばかりだった。これはIntelやMicrosoftの規定による制限なのか、コストやサイズの問題だったのか理由はわからないが、もともとはネットブックではなく、ミニノートとして登場して、あとでULCPC版のWindowsを搭載した工人舎の製品の例を除き、当初からネットブックとして登場した製品には、DVDドライブを搭載した2スピンドルのネットブックは存在しなかった。 【お詫びと訂正】2スピンドルのネットブックの例として工人舎の製品を追記いたしました。お詫びして訂正させていただきます。 諸外国はともかくとして、国内においてネットブックの使われ方は、当初パワーユーザーのセカンド、サードマシンとして登場し、画面の大型化と、HDDの搭載が増えるにつれ、初心者のファーストマシンになるケースも増加している。しかしPCを趣味として楽しむには、ソフトウェアのインストールはもちろんのこと、DVDビデオを観たり、音楽CDをリッピングしiPodへ転送したり、撮った写真をDVDに焼くなど、DVDドライブはあった方がより便利だ。後からUSB接続のDVDドライブを付ける事は可能であるが、スペースの問題や持ち歩きに不便など、どうしても使い勝手に差が出てしまう。 今回登場した「マウスコンピューター LB-F1500W」は、筆者の知る限り初のDVDドライブ搭載ネットブックだ。希望小売価格は64,800円。 主な仕様は、CPUにAtom N270(1.60GHz)、メモリ1GB、HDD 160GB、チップセットにIntel 945GSE Express、10.2型ワイド液晶(1024×600/WSVGA)、OSにWindows XP Home Edition SP3 ULCPC版を搭載。インターフェイスはUSB 2.0×2、ミニD-Sub15ピン、IEEE 802.11b/g無線LAN、Ethernet、SDカードスロット、130万画素Webカメラ、音声入出力を備えている。ここまでは普通のネットブック。特別変わった点は見当たらない。 加えて「DVD±R 2層書き込み対応最大8倍速DVDスーパーマルチドライブ」を搭載しているのがこのLB-F1500W最大の特徴だ。サイズ的には多くの10.2型液晶パネルのネットブックと変わらないにも関わらずDVDドライブがすっぽり本体に入っていることになる。ただし、DVDドライブがある分のスペース的な問題なのか、一般的なネットブックはUSBポートが3つあるのに、2つに減っている。
バッテリ駆動時間は、6セルのバッテリを使い約5.2時間と結構長めだ。本体サイズは266×203×35mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.6kg(6セルバッテリ時)。さすがに6セルバッテリとDVDドライブによってかなり重たくなっている。片手で持ち上げるのにも見た目よりズッシリ重く感じ、1kg前後の普通のネットブックとはだいぶ異なった印象だ。 ボディのデザインは、シンプルでスッキリしており、安っぽい雰囲気もなく、筆者的には好みだ。ボディカラーはホワイトのみ。 キーボードは余裕がありキーピッチは17mm確保されている。ストロークも程よい感じで、たわみも少なく非常に打ちやすいキーボードとなっている。配列も同社の「LB-G1000」のような不自然な感じはなく、「LuvBook U100」に近い、ごく普通の配列だ。タッチパッドやその周囲の面積も十分あり、パームレストの役割も申し分ない。 液晶はノングレアタイプで映り込みが少なく明るい見やすい画面。表示色も工場出荷状態でsRGBに結構近く、まだ若干青いものの、そのまま使っても違和感は無いだろう。ノイズ面は特に気にならないが、パームレスト部に手を乗せるとファンによるものらしい振動を少し感じる。また、パームレストの右側は、ほんのり熱を持っている。
プリインストールのアプリケーションは、DVDドライブ内蔵モデルだけあって「CyberLink DVD Suite」が入っている。従来のネットブックでも「PowerDVD」付属のものは結構あったのだが、「DVDドライブが無いのにどうするのだろう」と、筆者はいつも疑問に思っていた。しかし、このLB-F1500WはDVDドライブを内蔵しているため、必需品だ。 なお、リカバリCDは付属しない。リカバリイメージとしてHDD内に別パーティションで、2.08GBのNTFS領域が割り当てられている。Dドライブは無く、Cドライブが146GBの1パーティションだ。セキュリティ関係は「McAfee SecurityCenter」が付属する。 ベンチマークテストを行なった結果は以下の通りだ。ご覧のように多くのネットブックと似通ったスコアとなっている。
●DVDドライブを使う DVDドライブを使ってみよう。まずDVDビデオの再生。ネットブックでは標準的な10.2型液晶とは言え、画面が小さいこともあり、かなり近い位置から観ることになる。この時、DVDドライブの回転音などがうるさいと台無しなのだが、本機においては騒音は聞こえず快適だった。 さすがにドライブに直接耳を付けると回転音はするが、これなら十分DVDビデオを楽しめるだろう。もちろんコマ落ちなども全く無く、スムーズに再生される。この時のCPU使用率は30~50%。シングルコアのAtomプロセッサでもまだ余裕を残している。 前回のLaVie Light以来、スピーカーの位置が気になる筆者だが、このLB-F1500Wでは液晶の真下、メッシュの部分にステレオで埋め込まれているため非常に聞きやすい。ただ最大音量は気持ち小さめで、映画などを観る時には迫力不足になる可能性もある。それでも、パーソナルで観るDVDプレーヤーとしては十分な性能だと思われる。音質もスピーカーが小さい割りにそれなりにバランス良く鳴っている。DVDビデオの再生については、良好な結果と言っていいだろう。 DVD再生よりも軽い処理のiTunes for Windowsを使った音楽CDのリッピングと、USBからiPodへの転送は、もちろん難なくこなせる。 DVDの書き込みは試しに64bit版Windows 7βのISOイメージを焼いてみた。ファイルサイズは約2.46GB。CyberLink DVD SuiteはISOイメージにも対応しているのでクリック1発で簡単に作成できた。かかった時間は7分40秒。8倍速ドライブを搭載する、一般的なPCと比較しても遜色ない。書き込み時はそれなりの騒音が出てボディも振動するが、それも一般のPCと同じレベルで、特にうるさいということはない。
●1台目には最適なネットブック 筆者は普段、他のPCで同様の処理を行なっているため、ネットブックでDVDを使おうとは考えたことも無かったが、いざやってみると、これはこれで快適だ。ネットブック1台だけで日頃やっていることをすべて処理するためには、DVDドライブは必須だと痛感した次第だ。 筆者のように何台ものPCを持っているユーザーであれば、ネットブックに求めるものはまた違った要素になるのだが、1台目となると話は別。やはりDVDドライブを内蔵している方がビデオに音楽に写真にと使え何かと便利だ。そう考えると、これまでネットブックでDVDドライブを搭載した機種が無かったのが不思議なほどだ。 また、ネットブックがDVDドライブを搭載したことにより、安価なノートPCとの境目が無くなった。確かにCPUパワーや液晶パネルのサイズと解像度、グラフィック性能、最大メモリ容量など、依然としてネットブックとしてのハンデは背負っているものの、一般的なユーザーの用途としては、ほぼ全てまかなえるようになった。 メモリやHDDへ簡単にアクセスできず、そして頻繁に持ち歩くとなると約1.6kgの重量が厳しい点も、このような視点から見れば、XPでメモリ1GBなら普通は十分。HDD 160GBもあれば余るほど。普段は自分の部屋で使うと考えればデメリットにならない。 従ってこのLB-F1500Wは、ネットブックであることの意味などあまり関係なく、単に安価でコンパクトなノートPCとして十分魅力的な製品に仕上がっている。明らかに1台目として選ばれることを想定して作られたネットブックとえよう。 □関連記事 (2009年2月16日) [Reported by 本城網彦]
【PC Watchホームページ】
|